他共有者の持分が差し押さえられたらどうなる?ケースごとの対処法を紹介します

共有者の持分 差し押さえ

共有持分も不動産の所有権の1種であるため、差し押さえの対象となります。

もしも、他共有者の共有持分が差し押さえられてしまうと、どうなるのでしょうか?

結論をいうと、差し押さえを受けるのは「当事者の共有持分のみ」であり、自分の持分を失うことはありません。

ただし、他共有者の持分が差し押さえられると、共有不動産が知らない第三者との共有状態になったり、共有物分割請求で競売にかけられる恐れがあります。

他共有者の持分が差し押さえられた場合、自分の共有持分を売却することも検討してみましょう。共有持分を売却して共有名義を解消すれば、不動産トラブルを避けられます。

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この記事のポイント!
  • 他共有者の持分が差し押さえられると、当事者の持分のみが競売にかけられる。
  • 共有不動産を手放したくないなら、他共有者の持分を買い取ろう。
  • 共有不動産が必要ない場合は「共有不動産そのものの売却」か「自分の持分のみの売却」を検討しよう。

共有持分は差し押さえの対象となる

差し押さえとは、借金・ローンなどの返済を怠っている人の財産を、強制的に取り立てることです。

債務者の財産を取り上げて、換金することを目的としています。差し押さえの対象には「不動産」も含まれています。

そして「不動産の共有持分」も差し押さえ対象です。

共有持分は独立した権利であるため、単独の財産とみなされ差し押さえの対象となります。

ちなみに、共有持分は差し押さえを受けた後、競売にかけられるケースがほとんどです。

債務を滞納した際に共有持分を差し押さえられる恐れがある

差し押さえは、債務を滞納したときにおこなわれます。

借金を数ヶ月滞納し、裁判所からの通知も無視していると、共有持分が差し押さえられてしまうかもしれません。

また、共有持分に抵当権を設定したにもかかわらず、住宅ローン返済がされないときも差し押さえが実行されます。

実際には、以下のようなときに共有持分が差し押さえられます。

・兄弟で不動産を共有していて、兄が借金を滞納した
→兄が所有する共有持分のみが差し押さえられる

債務滞納によって、共有持分が差し押さえられる恐れがあることを覚えておきましょう。

共有者の持分が差し押さえられたらどうなる?

借金を滞納したり、ローンの返済が滞ってしまうと、共有持分が差し押さえられる恐れもあります。

もしも、他共有者の持分が差し押さえられてしまったら、共有不動産はどうなるのでしょうか?

結論からいうと、他共有者による債務の滞納で差し押さえられるのは「当事者の共有持分のみ」です。

他共有者の持分が差し押さえられたからといって、自分の持分を失うことはありません。

次の項目から、他共有者の持分が差し押さえられるとどうなるか、確認していきましょう。

競売によって不動産が第三者との共有状態になる

共有持分 差し押さえ 競売

差し押さえられた共有持分は、競売にかけられることが一般的です。

競売にかけられた共有持分が落札されると、差し押さえられた共有持分は「共有持分の購入者(第三者)」のものとなります。

つまり、所有している共有不動産が、第三者との共有状態になってしまいます。

例えば、兄弟で共有持分を1/2ずつ所有していました。

しかし、兄は借金を返済できず、兄の共有持分が差し押さえられることに。

兄の共有持分は競売にかけられ、それを不動産会社Cが購入しました。

このとき、弟の持分1/2、不動産会社Cの持分1/2で共有される不動産となります。

弟は所有権を失いませんが、第三者との共有状態になることで、管理・処分がより困難になってしまいます。

共有持分が差し押さえられると、第三者と不動産を共有することになります。

ちなみに、競売に出された共有持分を購入するのは、投資家や不動産会社がほとんどです。

不動産の権利関係がより複雑になり管理・処分が困難になる

共有不動産の管理・処分には、共有者の同意が必要と定められています。

例えば、共有不動産全体を売却するためには、共有者全員の同意が必要です。

行為 必要な持分割合の同意 主な例
保存行為 持分割合に関わらず単独で可能 不動産の修繕、不法入居者の明け渡し請求など
管理行為 過半数(持分割合の1/2超) 不動産の使用方法や使用者の決定、短期の賃貸借契約など
変更(処分)行為 全員(全持分) 不動産の売却、建て替え、抵当権設定、長期の賃貸借契約など

いままでは、親戚・家族間で共有していたことから、共有不動産の扱いで揉めることは少なかったかもしれません。

しかし、第三者が共有者となることで、共有不動産の管理・処分をおこなうことが困難になる恐れがあります。

民法251条

各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
引用:e-Govポータル、民法251条

民法252条

共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
引用:e-Govポータル、民法252条

なお、自分の共有持分については上記のルールは適用されないため、自由に売却することができます。

「トラブルを避けたい」「不動産の管理から解放されたい」という人は、共有持分の売却も検討してみましょう。専門の買取業者なら、他社では断られるような共有持分でも高額で買い取ってもらえます。

共有物分割請求によって共有状態の解消を求められる恐れがある

差し押さえられた共有持分は、競売にかけられ売却されます。

競売で共有持分を購入した買主(第三者)が、共有物分割請求を提起するかもしれません。

共有物分割請求とは・・・不動産における共有状態の解消を求める手続き。各共有者がいつでも請求できる。

共有物分割請求がおこなわれると、不動産の共有状態が解消されます。

民法256条

各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。
引用:e-Govポータル、民法256条

また、共有物分割請求にはによる不動産の分割方法には3種類あり、以下のようになっています。

  • 「現物分割」=共有不動産を物理的に分ける
  • 「代償分割」=共有者間で金銭を授受する
  • 「換価分割」=共有不動産を売却して分け合う

請求内容によっては物件全体が競売にかけられる恐れもある

共有持分の買主によって、共有物分割請求を提起されるケースもあります。

そして、共有不動産に建物も含まれている場合、現物分割は不可能なので、代償分割か換価分割が検討されます。

つまり、持分の買主による共有物分割請求によって、差し押さえられた持分に応じた価額を支払えないかぎり、物件全体が売却されてしまいます。

共有物分割請求については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

共有物分割請求とは 共有物分割請求とは?共有物の分割方法や訴訟の手順・費用を詳しく解説

他共有者の持分が差し押さえられたときの対処法

これまで説明した通り、他共有者の持分が差し押さえられたら、第三者との共有状態になってしまったり、共有物分割請求を提起される恐れがあります。

ケースによっては、今まで住んでいた不動産を手放さなければなりません。

もしも、他共有者の持分が差し押さえられたら、どうすべきなのでしょうか?

次の項目から「共有不動産の所有を続けたい場合」と「共有不動産が必要ない場合」にわけて、対処法を見ていきましょう。

共有不動産の所有を続けたい場合

共有不動産に自宅として居住しているなら、共有不動産そのものが競売になることは避けたいところです。

共有不動産の所有を続けたいなら、差し押さえられた他共有者の持分を、入手する必要があります。

具体的には、以下2つの方法を検討してみましょう。

  • 他共有者の持分を買い取る
  • 競売にかけられた持分を落札する

次の項目から、それぞれ紹介していきます。

1.差し押さえられる前に他共有者の持分を買い取る

共有不動産の所有を続けるための方法の1つは、他共有者の持分を買い取ることです。

その場合、共有不動産の所有を続けたいなら、持分を買い取るのがおすすめです。

共有持分の買主から「不動産の所有を続けたいなら、持分を買い取りませんか?」といった連絡がくるケースもあります。

また、他共有者の持分を差し押さえられる前に、他共有者から借金・ローンなどの相談があった場合は、その段階で共有持分の買取を提案してもよいかもしれません。

2.競売にかけられた持分を落札する

もしも、他共有者との話し合いがうまくまとまらなかったり、すでに持分が差し押さえられてしまった場合は、競売にかけられた持分の落札を検討しましょう。

競売の仕組みは、オークションと同じですので、高い価格をつけることで優先して落札できます。

ちなみに、競売物件の価格は、通常物件よりも安いケースがほとんどです。

共有物分割請求 競売 自己競落 共有物分割請求で競売にかけられた不動産を自己競落する方法

共有不動産が必要ない場合

共有不動産以外に、住居をもっている場合など、共有不動産が必要ないケースもあるかもしれません。

共有持分の差し押さえをきっかけに、共有不動産を手放す際には、以下2つの方法を検討してみましょう。

  • 共有者と協力して不動産そのものを売却する
  • 自分の共有持分だけを売却する

次の項目から、それぞれ紹介していきます。

1.共有者と協力して不動産そのものを売却する

共有者全員の同意があれば、共有不動産そのものを売却可能です。

借金・ローンを返済できない共有者は、お金に困っているはずなので、不動産売却の同意が得られやすいでしょう。

共有者と協力して、共有不動産そのものを売却できれば、以下のようなメリットが得られます。

  • 他共有者の共有持分が差し押さえられることはない
  • 共有持分のみを競売にかけるときよりも高値で売却できる

借金・ローンの返済に困っている共有者がいたら、まずは「協力して共有不動産を売らないか?」と相談してみましょう。

2.自分の共有持分だけを売却する

他共有者と話し合っても、共有不動産の売却同意が得られないケースもあるでしょう。

そのような場合は、自分の共有持分のみを売却することも検討してみてください。

自分の共有持分だけであれば、他共有者の同意なしでも売却できます。

なお、共有持分だけを売るとき、一般の買主を探すことは困難です。共有持分を売るなら、共有持分専門の買取業者へ売却するとよいです。

以下のフォームから、共有持分専門の買取業者による無料査定を受けられます。共有持分を手放すなら、まずは査定を受けてみるとよいでしょう。

他共有者の持分が差し押さえられたら持分の売却・買取を検討しよう

他共有者の借金・ローンなどの滞納が続くと、共有持分が差し押さえられてしまいます。

このとき、差し押さえを受けるのは「当事者の共有持分のみ」です。他共有者の持分が差し押さえられたからといって、自分の持分を失うことはありません。

ただし、共有者の持分差し押さえによって、不動産が第三者との共有状態になったり、共有物分割請求によって不動産そのものが競売にかけられる恐れがあります。

他共有者の持分が差し押さえられたとき、所有を続けたいなら持分を買い取る必要があります。

反対に、共有不動産が必要なければ、他共有者と協力して不動産を売却したり、自分の共有持分のみを売却するとよいです。

共有持分の差し押さえについてよくある質問

どんなときに共有持分が差し押さえられる?

差し押さえは、債務を滞納したときにおこなわれます。例えば、住宅ローン返済がされないときも差し押さえが実行されます。

共有者の持分が差し押さえられたらどうなる?

他共有者による債務の滞納で差し押さえられるのは「当事者の共有持分のみ」です。他共有者の持分が差し押さえられたからといって、自分の持分を失うことはありません。

差し押さえられた持分が競売されるとどうなる?

競売にかけられた共有持分は、投資家や不動産会社に購入されることがほとんどです。その後、持分の買主から持分の売却・買取を持ち掛けられるケースが多いです。

他共有者の持分が差し押さえられたとき、不動産の所有を続けたい場合はどうすべき?

「差し押さえられる前に他共有者の持分を買い取る」「競売にかけられた持分を落札する」ことで、共有不動産の所有を続けられます。

持分が差し押さえられたとき、共有不動産が必要ない場合はどうすべき?

他共有者と協力して不動産そのものを売却するとよいです。また、他共有者と交渉がまとまらないときは、自分の共有持分のみを売却することも検討しましょう。【他共有者とトラブル中でも売却できる】共有持分専門の買取業者はこちら

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