契約不適合責任とは【売主の責任範囲】を定めたもの!具体的な内容や瑕疵担保責任との違いを解説します

契約不適合責任とは

契約不適合責任とは、文字どおり契約に不適合があったとき、売主にどのような責任があるか定めたものです。

不動産売買では、引き渡された物件の状態が、契約内容に適合するかどうかが重要となります。

売主側としては、契約不適合責任に問われると契約解除や損害賠償といったリスクがあるため、自分の知りえる瑕疵はすべて買主に伝えることが大切です。

不動産売却にあたって契約不適合のリスクが気になる人は、不動産買取業者に物件を直接買い取ってもらうことも検討してみましょう。

買主が不動産業者の場合、契約不適合責任は免責されるのが一般的なので、契約解除や損害賠償といったリスクをなくすことができます。

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この記事のポイント!
  • 契約不適合責任とは、売買契約における売主の責任を定めた法律。
  • 契約不適合責任が成立すると、買主は売主に対して5つの権利を請求できる。
  • 契約不適合責任のトラブルを防ぐには、契約締結前に契約書の内容をしっかりチェックすることが大切。
目次
  1. 契約不適合責任とは売買契約における売主の責任を定めた法律
  2. 売主が契約不適合責任で気をつけるポイント
  3. 買主が契約不適合責任で気をつけるポイント
  4. 不動産の売買契約はしっかり契約内容を確認することが大切

契約不適合責任とは売買契約における売主の責任を定めた法律

売買契約において、売主は契約内容に合わせて適切な品物を引き渡す義務があります。

契約内容と引き渡した品物が適合しないとき、売主側の負うべき責任について取り決めたものが契約不適合責任です。

民法第562条
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

引用:e-Govポータル「民法第562条」

契約不適合責任が成立すると、売主は買主から、品物の修理や代替物の引き渡しなどを求められる恐れがあります。

不動産売買で売主が契約不適合責任を回避するには、契約前に物件の状態を正しく把握し、瑕疵(欠陥や欠点)があれば包み隠さず買主に伝えることが大切です。

どんなケースで契約不適合責任が成立する?

契約不適合責任があてはまるケースとしては、次の3つがあります。

  • 1.「種類」が契約に適合しない
  • 2.「品質」が契約に適合しない
  • 3.「数量」が契約に適合しない

契約内容と実際の品物が一致するかどうかが基準となるため、売買契約時に売主側が瑕疵を把握していなくても、契約不適合責任が成立します。

各条件の具体的な内容を、次の項目から解説していきます。

1.「種類」が契約に適合しない

種類の契約不適合は、購入したものと違う種類のものを引き渡したときに成立します。

例としては、契約上の物件とは違う場所にある不動産を引き渡したり、倉庫を住居と偽って売却した場合などです。

また、土地の借地権を所有権と偽って売却するなど、売買目的である権利が違う場合も種類の契約不適合となります。

不動産を売却するときは、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、物件の権利関係を正確に把握しておくとよいでしょう。

2.「品質」が契約に適合しない

品質の契約不適合は、売買契約にない瑕疵が発覚した場合に成立します。

不動産における瑕疵は4つに分けられ、主な例は次のとおりです。

瑕疵の種類 内容
物理的瑕疵 物件そのものにある物理的な瑕疵。雨漏りや水漏れ、シロアリ被害や土壌汚染など。
心理的瑕疵 物件に心理的な嫌悪感を抱く瑕疵。自殺や他殺、孤独死や火災があった事故物件など。
環境的瑕疵 物件の近隣に嫌悪施設があるなどの瑕疵。周辺に墓地や火葬場、暴力団施設やゴミ処理場がある物件など。
法的瑕疵 法律上、なんらかの問題がある瑕疵。建築基準法や消防法に違反している物件など。

これらの瑕疵がある場合、売主は買主に告知する必要があります。

瑕疵を告知しなかった場合、仮に売主側に買主を騙そうとする悪意がなくても、損害賠償などを請求されてしまいます。

そのため、売主としては売却前に物件の瑕疵を洗い出し、事前に修繕するか、瑕疵の内容を買主側に承知してもらった上で売買契約を結ぶことが必要です。

3.「数量」が契約に適合しない

数量の契約不適合は、契約内容と数が合わない場合に成立します。

不動産売買では、土地面積や建物の延床面積が契約内容より狭いという事例が代表的です。

とくに、土地面積は隣接地との境界があいまいであったり、測量したのが数十年前で実際の面積と大きくズレているケースが珍しくありません。

土地を売却するときは、事前に最新の技術で測量し、隣接地との境界を明確にしてから売り出すようにしましょう。

契約不適合責任が成立したときに買主が請求できる5つの権利

契約不適合責任が成立した場合、買主側は次の権利を行使できます。

  • 「追完請求」による修理や代替品の請求
  • 「代金減額請求」による売買代金の減額請求
  • 「催告解除」による売買契約解除の請求
  • 「無催告解除」による強制的な売買契約解除
  • 「損害賠償請求」による損失の補填

個々の案件によっては、行使できる権利とできない権利に分かれる場合もあります。

契約不適合責任の権利フローチャート_pc

実際に請求するときは、弁護士と相談しながら手続きを進めるとよいでしょう。

「追完請求」による修理や代替品の請求

追完請求とは、引き渡された品物の不足分を補うよう請求することをいいます。

不動産売買では、主に物理的瑕疵があったとき、追完請求で修繕費用を売主に出してもらいます。

例えば、購入前に「給排水管に問題はない」と聞いていたのに、実際に住んでみると詰まりや水漏れが発生していた場合、追完請求によって修理費用を売主に出してもらえます。

また、そもそも給排水管に問題があるかどうかを確認していない場合も、実際に詰まりや水漏れが発生していると「住むための機能を満たしていない」とみなせるため、追完請求が可能です。

ただし、築年数の古い物件や、長いこと放置されて外観からも損傷の激しさがわかるような物件は、物理的瑕疵による追完請求ができない場合もあります。

上記のような物件はなんらかの瑕疵があることを容易に想像できるため、売主側から「瑕疵はない」という明言がない場合、責任を問えない恐れがあります。

そのため、買主側は購入前に物理的瑕疵の有無を聞いておくことが大切です。売主側に瑕疵はないと明言してもらうことで、購入後に瑕疵が発覚したときの追完請求が可能になります。

参照:e-Govポータル「民法第562条」

「代金減額請求」による売買代金の減額請求

代金減額請求とは、売買代金を減額するよう求めることをいいます。

原則として、売主側が追完請求を無視や拒否した場合、もしくは追完請求ができない場合(心理的瑕疵のように修理ができない瑕疵など)に代金減額請求をおこないます。

減額できる金額は、発覚した瑕疵が最初からわかっていた場合の適正な売買価格との差額とするのが一般的です。

例えば、3,000万円で購入した物件が事故物件であったと発覚し、本来の価格相場が2,000万円であった場合、差額の1,000万円について減額を請求できます。

参照:e-Govポータル「民法第563条」

「催告解除」による売買契約解除の請求

催告解除とは、売主に売買契約の解除を請求する行為です。

催告解除は、売主が追完請求を無視、もしくは拒否した場合におこなえる方法です。違約金を支払う必要なく売買契約を解除し、すでに支払った代金を返還してもらえます。

ただし、瑕疵の程度が小さい場合、催告解除が認められないケースもあります。

例えば、壁に小さなひび割れがある場合や、瓦が一部だけ剥がれている場合など、居住への影響がほとんどない瑕疵については、催告解除はできません。

催告解除ができるかどうかの線引きは個々のケースによるので、詳しくは弁護士に相談してみましょう。

参照:e-Govポータル「民法第541条」

「無催告解除」による強制的な売買契約解除

催告解除のように売主に請求するのではなく、買主の意思で強制的に売買契約を解除することを無催告解除といいます。

物件の不具合が大規模で、居住という目的を果たせない(契約の履行ができない)場合などに無催告解除をおこなえます。

また、売主が物件の引き渡し自体を拒絶する(契約の履行を拒絶する)場合も無催告解除が可能です。

参照:e-Govポータル「民法第542条」

「損害賠償請求」による損失の補填

損害賠償請求は、契約の不適合によって買主が受けた損害を、売主側に補填してもらう権利です。

契約不適合責任で請求できる損害賠償は、信頼利益と履行利益の2種類があります。

信頼利益は売買契約を結ぶにあたって実際に支払った費用、履行利益は物件に問題がなければ得られたはずの利益を指します。

損害の種類 内容
信頼利益の損失 契約が有効であると信じたことで受けた損害。
登記費用や不動産会社に支払った仲介手数料など。
履行利益の損失 契約が有効であれば得られた利益を失った損害。
購入した物件を貸し出した場合の賃料や転売利益など。

ただし、損害賠償請求をおこなうためには「売主の責めに帰すべき事由」が必要です。

つまり、売主が故意に瑕疵を隠していた場合や、売主の不注意やミスなどの過失があるケースでのみ、損害賠償を請求できます。

参照:e-Govポータル「民法第415条」

買主が請求できる期間は「不適合を知ってから1年以内」

契約不適合責任は、買主が不適合を知ってから1年以内に、売主へ通知しなければ無効となります。不適合の通知さえすれば、権利の行使自体は1年を過ぎても可能です。

契約不適合責任の期限_pc

ただし、上記は原則的なルールであり、買主・売主の取り決めで期間を延ばすことや、あるいは短くすることもできます。

また、買主の権利行使は、物件の引き渡しから10年間、もしくは売主への通知をおこなってから5年間でおこなわないと、時効によって消滅するので注意しましょう。

民法第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

引用:e-Govポータル「民法第166条」

条文の1項にある「権利を行使することができることを知った時」は買主が不適合を知ったときのこと、2項にある「権利を行使することができる時」は物件の引き渡しのことを指します。

契約不適合責任の時効_pc

上記をまとめると、次のようになります。

・契約不適合が発覚して1年以内に売主へ通知しても、物件の引き渡しから10年間、もしくは発覚から5年間のうち期日の早いほうまでに権利を行使しなければ、買主の請求権は消滅。
・契約不適合が発覚しなければ、物件引き渡しから10年間で時効となり買主の請求権は消滅。

個人間売買なら「契約不適合責任を無効にする特約」を設定できる

不動産を個人間で売買する場合、契約不適合責任の免責特約を設けることも可能です。

免責特約では、契約不適合責任そのものを無効にしたり、指定した瑕疵について契約不適合責任を問わないなど、買主側の権利を限定することができます。

実際に免責特約を設けるときは、売主と買主の双方が納得し、売買契約書に免責事項をわかりやすく記載しておくことが大切です。

宅建業者や法人が売主の場合は特約があっても無効にならない

売主が宅建業者や法人で、買主が一般の消費者(事業として不動産を買わない人)の場合、契約不適合責任をすべて免責にすることはできません。

専門的な知識をもたない一般消費者が、宅建業者や法人に不利な特約を設けられないよう、法律で保護されています。

仮に契約不適合責任をすべて無効にする特約を結んでいても、売主が宅建業者や法人で、買主が一般の消費者であれば、不適合があったときの権利の行使が可能です。

参照:e-Govポータル「宅地建物取引業法第40条」

参照:e-Govポータル「消費者契約法第8条」

不動産業者が買主の場合は契約不適合責任が免責されるのが一般的

物件を直接買い取る「買取業者」に依頼した場合、契約不適合責任は免責されるのが一般的です。

不動産業者なら買取前に自社でリスクを判断できますし、業者側でリフォームやリノベーションをして再販するので、瑕疵があってもトラブルにならないのです。

契約不適合責任によるトラブルをなくし、スムーズな売却をおこなうなら、ぜひ買取業者に相談してみましょう。

法改正前の「瑕疵担保責任」との違い

契約不適合責任は、2020年4月の民法改正で新たに施行されたルールです。改正前は瑕疵担保責任という法規制がありました。

法改正前の瑕疵担保責任では、現行の契約不適合責任と比較して次のような違いがあります。

  • 1.「契約に適合するか」ではなく「隠れた瑕疵の有無」で判断された
  • 2.買主が請求できるのは「契約解除」と「損害賠償」の2つだけ
  • 3.契約締結から引き渡しまでに発生した瑕疵は対象外
  • 4.買主が権利を行使できるのは「引き渡しから1年以内」だった

法改正前に結ばれた売買契約は瑕疵担保責任が適用されるため、2020年3月以前に不動産を売買した人は、どのような違いがあるのか把握しておきましょう。

1.「契約に適合するか」ではなく「隠れた瑕疵の有無」で判断された

瑕疵担保責任と契約不適合責任の一番大きな違いは、隠れた瑕疵があったかどうかで判断されていた点です。

法制度 判断のポイント
瑕疵担保責任 隠れた瑕疵(買主が注意していても契約前に知ることのできなかった瑕疵)があるかどうか。
契約不適合責任 契約内容と引き渡したものが適合しているかどうか(契約書に記載されているかどうか)

瑕疵担保責任では、買主が瑕疵を知っていた場合、もしくは注意すれば瑕疵を把握できた場合は認められませんでした。

しかし、法改正で「契約の内容に適合しているかどうか」を基準としたため、買主が瑕疵を把握していたかや、注意を払えば把握できたかという点は関係なくなりました。

2.買主が請求できるのは「契約解除」と「損害賠償」の2つだけ

瑕疵担保責任では、買主が請求できる権利は「契約解除」と「損害賠償」の2つだけであり、それぞれの要件にも細かい違いがあります。

買主が請求できる権利 瑕疵担保責任での要件 契約不適合責任での要件
契約解除 契約の目的達成が不可能な瑕疵のみ 不適合が軽微な場合を除き可能
損害賠償 ・売主の故意や過失がなくても可能
・信頼利益のみ
・売主の故意や過失があるときのみ可能
・信頼利益と履行利益

瑕疵担保責任の契約解除は「物件を購入した目的を達成できないケース」に限られていましたが、契約不適合責任では「軽微なものを除き可能」としています。

例えば、住宅に心理的瑕疵(事件・事故)や地盤の傾きがあっても、居住という目的を達成できないとはいえないため、瑕疵担保責任による契約解除は基本的に認められませんでした。
一方、契約不適合責任では「不適合が軽微な場合を除き可能」としているため、上記のようなケースでも契約解除を認められる可能性があります。

損害賠償については、瑕疵担保責任では売主の故意や過失がなくても請求できましたが、範囲は信頼利益に限定されています。

契約不適合責任では売主の故意や過失が要件ですが、損害賠償の請求範囲を履行利益にまで拡大しています。

3.契約締結から引き渡しまでに発生した瑕疵は対象外

瑕疵担保責任では、売主の責任を問えるのは契約締結時までにあった瑕疵だけでした。

つまり、売買契約を結んでから実際に引き渡すまでに発生した瑕疵は、買主側が負担するというルールだったのです。

一方、契約不適合責任では、引き渡しまでに発生した瑕疵は原則として売主側が負担することになっています。

例えば、売買契約の締結後に台風が発生し、屋根が剥がれたり床下浸水があった場合だと、瑕疵担保責任を問えませんでした。
しかし、契約不適合責任では上記のようなケースでも、売主側が修繕費用を負担するのが原則であり、買主側から契約解除を請求することも可能になっています。

4.買主が権利を行使できるのは「引き渡しから1年以内」だった

瑕疵担保責任の権利行使は、買主側が瑕疵に気づいたタイミングとは関係なく、物件の引き渡しから1年以内が期日とされていました。

しかし、基礎部分の腐敗や地下深くにある埋設物など、引き渡しから発覚までに時間がかかる瑕疵も多く、期日が過ぎていたために買主が権利を行使できないケースも多々ありました。

契約不適合責任では「契約不適合を知ってから1年以内」とされているので、引き渡しの1年以上後に瑕疵に気づいた場合でも、買主は権利を行使できるようになっています。

売主が契約不適合責任で気をつけるポイント

不動産の売買にあたって、売主が契約不適合責任を問われないようにする方法は次のとおりです。

  • 1.売買契約書の内容を弁護士などにチェックしてもらう
  • 2.ホームインスペクションで建物の瑕疵を調べておく
  • 3.土地の埋設物や土壌汚染の調査をしておく
  • 4.売却先を弁護士と連携した不動産買取業者にする

基本的には、瑕疵の有無など物件の現状を正確に把握し、漏れなく買主に伝えることが大切です。

また、売却相手を不動産の専門知識をもつ買取業者にすることで、契約不適合責任のリスクを減らせます。

それぞれの詳しい内容を、次の項目から見ていきましょう。

1.売買契約書の内容を弁護士などにチェックしてもらう

売買契約書に記載漏れやあいまいな取り決めといった不備がないか、弁護士などの法律家にチェックしてもらいましょう。

契約は口頭であっても成立しますが、トラブルがあったときは契約書の記載内容が重要な証拠となります。

契約書に記載する表現がわずかに変わるだけで、法律的な解釈も変わってしまう恐れがあります。

適切な契約書を作成するには、法律家にチェックしてもらうか、作成そのものを依頼するとよいでしょう。

不動産売買の契約書について相談できる法律家は、弁護士のほか、司法書士もあげられます。

付帯設備表の作成は必須

契約不適合責任が施行されてからは、付帯設備表の作成は不動産売買に必須となっています。

付帯設備表とは、物件と一緒に引き渡す設備や家具・家電を記したものです。それらの設備や家具・家電に不具合があれば、あわせて記載します。

例としては、次のようなものをリストアップし、使用状況や修理・交換の必要性を記入します。

  • 給湯設備
  • トイレや浴室などの水回り
  • 冷暖房などの空調設備
  • 照明設備
  • 網戸や畳などの建具
  • 火災報知器

2.ホームインスペクションで建物の瑕疵を調べておく

瑕疵について事前に買主へ伝えるためには、どのような瑕疵があるか把握しておく必要があります。

建物の現状を調査するために、ホームインスペクション(住宅診断)をおこないましょう。

ホームインスペクションを受ければ、建物の改修が必要なところやその費用、将来的に発生する不具合やその時期まで調べてもらえます。

ホームインスペクションの結果を買主に渡すことで、物理的瑕疵による契約不適合責任のリスクを大幅に減らせるのです。

建物の構造や調査項目によってホームインスペクションの費用も変わりますが、一般的には5万円~12万円程度が相場となっています。

参照:さくら事務所ホームインスペクション「ホームインスペクション費用の相場はいくらくらい?」

3.土地の埋設物や土壌汚染の調査をしておく

土地についての瑕疵は、主に埋設物と土壌汚染の2つに分けられます。

埋設物に関しては国土交通省が、土壌汚染については環境省が、調査業者の登録制度を実施しています。

それぞれの制度に登録している業者なら、信頼できる調査業者といえるでしょう。

登録制度 調査できること 管轄 登録業者の検索
地質調査業者登録 埋設物や地盤の調査 国土交通省 建設関連業の登録業者に関する情報提供システム
土壌汚染対策法にもとづく指定調査機関 有害物質など土壌汚染の調査 環境省 指定調査機関の一覧情報

業者によっては上記の登録をどちらもおこなっている場合もあるため、調査業者の会社概要からチェックしてみましょう。

費用は、調査する地域や方法、土地の状況によって変わります。埋設物や地盤の調査に関しては25万~80万円程度、土壌汚染調査に関しては20万~30万円程度が相場です。

参照:協和地下開発株式会社「地盤調査の技術」

参照:株式会社セロリ「土壌調査の費用」

4.売却先を弁護士と連携した不動産買取業者にする

建物や土地の瑕疵を調査するには、多額の費用や手間がかかってしまいます。

また、調査をしたからといって、完璧に瑕疵を調べられるとは限りません。もしも調査業者が瑕疵を見落としてしまえば、高額な調査費用が無駄になってしまいます。

そこで、物件を不動産買取業者に売却することで、契約不適合責任に問われるリスクを抑えることが可能です。

売却先が不動産の専門家になるため、売主自身で調査をする必要がありません。現状のまま物件を売却し、早ければ2日程度で現金化することもできます。

さらに、弁護士と連携している不動産買取業者なら、契約書の不備による契約不適合責任を問われることも防げるのでおすすめです。

買主が契約不適合責任で気をつけるポイント

不動産売買の買主側が気をつけるべきポイントは、次の2つです。

  • 1.売買契約書のうち免責特約や容認事項を細かくチェックする
  • 2.物件に瑕疵が見つかったらすぐに弁護士へ相談する

買主は引き渡し前に物件を直接調べることはできないので、契約内容で不利な取り決めがないか確認することが重要です。

また、個々の事例によって請求できる権利や範囲が変わるため、瑕疵が発覚したときは弁護士に相談しましょう。

1.売買契約書のうち免責特約や容認事項を細かくチェックする

契約に適合しているかどうかは、契約書の記載内容を基準とするのが原則です。そのため、契約を結ぶ前に免責特約や容認事項がどのように書かれているか確認する必要があります。

  • 契約不適合責任の請求期間が短期間の設定になっていないか
  • 追完請求や損害賠償請求の金額を限定されていないか
  • 事前にわかっている瑕疵について、内容や程度が詳細に書かれているか

自分で判断するのが難しければ、弁護士や司法書士に相談して不当な取り決めがないか確認してもらうとよいでしょう。

2.物件に瑕疵が見つかったらすぐに弁護士へ相談する

物件の購入後、契約にない瑕疵を見つけたときは速やかに弁護士に相談しましょう。自己判断で行動を起こしてしまうと、契約不適合責任を問えなくなる恐れがあります。

例えば、土地に埋設物が見つかったとき、売主に通知する前に撤去をしてしまうと証拠がなくなってしまい、契約の不適合を立証できなくなる可能性があります。

まずは弁護士に相談し、個々の状況に合わせて適切な対処を取ることが大切です。

また、瑕疵の発覚後は、売主側と交渉して具体的な請求方法や金額を決めます。交渉がまとまらない場合、裁判所に調停や訴訟を申し立てる必要もあります。

売主との交渉や調停・訴訟手続きも、弁護士に相談すれば一貫して任せることが可能です。

不動産の売買契約はしっかり契約内容を確認することが大切

不動産の売買契約を結ぶときは、売主と買主の双方が、契約内容を充分に理解しておくことが大切です。

売主には契約内容に適合する物件を引き渡す義務があり、物件になんらかの瑕疵があれば事前に説明をする必要があります。

一方、買主側も自分に不利な取り決めで損失を受けないよう、瑕疵の有無や免責特約は細かく確認しましょう。

契約不適合責任で余計なトラブルを生まないためには、売主・買主双方の努力が重要です。

契約不適合責任についてよくある質問

契約不適合責任とはなんですか?

契約不適合責任とは、契約内容と引き渡した品物が適合しないとき、売主側の負うべき責任について取り決めたものです。引き渡された品物の種類や品質、数量が契約の内容に適合しない場合、売主は買主から品物の修理や代替物の引き渡しなどを請求されます。

瑕疵担保責任とは違うのですか?

2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任が契約不適合責任に改正されたました。「売買契約で売主が負うべき責任に関するルール」という点は同じですが、責任の範囲や買主の請求できる権利が変更されています。

どんなケースで契約不適合責任が成立しますか?

不動産売買の場合、売買契約にない瑕疵(欠点や欠陥)が発覚した場合や、土地面積が契約内容より小さい場合などに契約不適合責任が成立します。

契約不適合責任が成立した場合、買主はどんなことを請求できますか?

修理や代替品・代金減額の請求、契約解除や損害賠償請求が可能です。実際にどんな請求をできるかは、瑕疵の程度などに左右されます。

契約不適合責任のトラブルを避けるにはどうすればよいですか?

不動産の売買契約を結ぶとき、売主と買主の双方が、契約内容を充分に理解しておくことが大切です。弁護士に契約書を確認してもらうなど、瑕疵の記載漏れや一方に不利となる特約を結ばないよう注意することが重要です。

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