法務局で登記した不動産の情報に変更が生じた場合、変更登記の申請が必要です。
引越しで名義人の住所が変わる際や結婚などで名前が変わる場合は、変更登記をおこないます。
変更登記をせずに放置していると、売買や贈与ができなくなったり、トラブルが起きたときに自分の所有権を主張できなくなります。
変更登記は司法書士に代行してもらうこともできますが、所有権の移転登記や相続登記と比べると手続きは簡単なので、費用を抑えたい場合は自分で申請しましょう。
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- 「登記簿」と「現在の情報」に差異が生じたときに変更登記申請が必要。
- 変更登記が必要な具体例は「売却」「引越し」「結婚・離婚」など。
- 変更登記申請は不動産の所有者本人でもできる。
変更登記とは「登記簿」と「現在の情報」に差異が生じたときにおこなう登記のこと
不動産の変更登記とは「登記簿」と「現在の情報」に差異が生じたときにおこなう登記のことです。
登記簿とは、不動産の権利関係と情報を示した帳簿のことで、法務局で管理されています。
不動産を購入したときや、相続したときに登記をおこないますが、その登記をした当時の情報と、現在の情報に差異が生じた時に変更登記が必要です。
変更登記と似た登記に「所有権移転登記」がある
所有権移転登記とは売買や相続などによって、不動産の所有者が変わるときにおこなう登記のことです。
「変更登記」と「所有権移転登記」はよく似た手続きですが、状況によってどちらが必要か変わってきます。
変更登記は「登記簿」との差異が生じた時に必要な登記で、所有権移転登記は不動産の所有者が変わるときに必要な登記であることを押さえておきましょう。
期限や強制力はないが変更登記はするべき
変更登記には期限や強制力がないため、変更登記をしなかったからといって罰則やペナルティなどはありません。
しかし、後々のトラブルを防ぐためにも変更登記はするべきでしょう。
もしも、変更登記をしないと、その不動産を所有している事実を証明できないため、不動産の売買や贈与ができない恐れがあります。
変更登記は所有権移転登記の前提として必要になるケースが多い
変更登記は多くの場合、所有権移転登記の前提としておこなわれます。
所有権移転登記をするには「登記簿情報」と「現在の情報」が同一でなければなりません。
この2つの情報を一致させるために、変更登記がおこなわれるケースが多いです。
「売却」「引越し」「結婚・離婚」のときに変更登記が必要
前の項目でも説明しましたが、変更登記は登記簿との差異が生じた時に必要です。
それでは、具体的にどのような状況で変更登記が必要なのでしょうか。
変更登記が必要な状況の例は「売却」「引越し」「結婚・離婚」です。
以下の項目から、それぞれの状況毎に詳しく説明します。
不動産を売却した場合
不動産を売却する場合、売主から買主へと所有者が移転するため、所有権移転登記が必要です。
しかし、売却の際に売主の「登記簿情報」と「現在の情報」が異なっていると、所有権移転登記ができません。
このような場合、所有権移転登記をする前提として変更登記が必要です。
引越しをして住所変更があった場合
不動産を取得して登記をしたのちに、引越しをして住所変更があった場合は変更登記が必要です。
引越しをした際に「住民票の住所変更手続き」は忘れずおこなうと思いますが、不動産を所有している場合は「不動産の登記簿情報の住所」も変更する必要があります。
もしも、住民票だけ住所変更手続きしたとすると「住民票の住所は引越し後の住所」になっているにもかかわらず「登記簿上の住所は引越し前の住所」となってしまいます。
このように、住民票と登記簿上の情報に差異があると、本人確認ができず諸手続きがおこなえません。
結婚や離婚をして氏名が変わった場合
結婚や離婚をして氏名が変わった際も変更登記が必要です。
しかし、氏名が変わったという理由だけで、変更登記手続きがおこなわれる例は少ないです。
なぜなら、氏名が変わった際の変更登記は、不動産の名義変更など他の手続きとあわせておこなわれることが多いからです。
不動産を相続する場合は変更登記ではなく相続登記が必要になる
不動産を相続する場合、変更登記をせずに相続登記をおこないます。
もしも、被相続人の登記情報が不動産取得時と変わっていたとしても、変更登記申請する必要はありません。
相続登記についてはこちらの記事で詳しく説明していますので、ぜひご参照ください。
共有持分の相続登記は要注意!共有持分の相続登記で発生するデメリットと対処法もあわせて解説します変更登記申請は本人でもできる
変更登記申請は、専門家に依頼し代行してもらうケースが多いですが、不動産を所有する本人でも変更登記申請できます。
所有権移転申請や相続登記申請よりも、比較的安易に手続きできますので、ご自分で変更登記申請されてみてはいかがでしょうか。
変更登記に必要な書類及び取得方法
変更登記申請に必要な書類は「登記事項証明書・住民票の写し・収入印紙」の3つです。
以下の項目からそれぞれの取得方法を解説していきます。
登記事項証明書
登記事項証明書とは、登記簿のデータを専用の用紙に印刷した書類です。
登記事項証明書の請求方法は「法務局の窓口で申請する」「郵送で交付申請する」「オンラインで申請する」方法があります。
インターネット環境が整っている場合は、オンライン申請する方法がおすすめです。
オンライン申請するメリットは「他の申請方法に比べて手数料が安い」「簡単なインターネット操作だけで申請できる」「自宅に書類を郵送できる」などです。
また、オンライン申請は書類や印鑑などを用意する必要もありません。
以下のリンクでオンライン申請の方法が詳しく解説されています。
参照:法務局ホームページ「登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です」
住民票の写し
本人確認のために住民票の写しが必要です。
住民票の写しは市区町村の役場で請求できます。
また、市区町村によっては、マイナンバーカードがあればコンビニでも交付できます。
以下のサイトでコンビニ交付の方法や、コンビニ交付が可能かどうかを調べられます。
参照:コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付「コンビニ交付」
収入印紙
変更登記申請には「登記する不動産1つに対して」1,000円の税金がかかり、収入印紙で納める必要があります。
法律上、土地と建物は別の不動産として定められているので、土地と不動産をあわせて変更登記する場合
となるので注意しましょう。
また、登録免許税で納める収入印紙は役所で購入できます。
変更登記申請書の作成方法をひな形を使って解説
法務局が公開している記載例を基に、変更登記申請書のひな形を作成しました。
このひな形は引越しによって変更登記申請する場合のものです。
ひな形を参考にしながら、変更登記申請書を作成してみてください。
また、売却や氏名変更による変更登記申請書の作成方法は以下のリンクを参照にしてみてください。
参照:法務局ホームページ「不動産登記の申請書様式について(11)登記名義人住所・氏名変更登記申請書(住居表示実施の場合)」
書類のタイトルとして「登記申請書」と記載する
用紙の上から6mm程度の空白をとり、書類のタイトルとして登記申請書と記載しましょう。
タイトルは用紙中央に記載すると、書類としてきれいに整います。
登記の目的に「所有権登記名義人住所変更」と記載する
登記の目的として「所有権登記名義人住所変更」と記載します。
登記の目的とは変更登記をする理由のことです。
原因に住民票の表記通りの日付・住所移転と記載する
原因として、住民票に記載されている住所移転の日を記載し、続けて「住所移転」と記載します。
住民票の表記通りに日付を記載しないと、申請が却下されてしまいます。
変更後の事項に住民票の記載通りに新しい住所を記載する
変更後の事項として「住所」と記載し、続けて住民票通りに住所を記載します。
このとき、変更登記する不動産の住所ではなく、引越し先住所の記載が必要なので注意しましょう。
申請人の欄に住民票の記載通りの住所と氏名を記載する
申請人の欄に、住民票通りに住所と名前を記載します。
また、氏名の下に平日の日中に連絡可能な電話番号を記載します。
携帯電話番号でも構いません。
添付情報に「登記原因証明情報」と記載する
添付情報に「登記原因証明情報」と記載します。
登記原因証明情報とは、登記申請書とあわせて提出する住民票の写しのことです。
申請日とその不動産を管轄する法務局名を記載する
変更登記の申請日と提出先の法務局名を記載します。
法務局名には、相続する不動産を管轄する法務局を記載しましょう。
法務局のホームページから該当不動産の管轄を調べられます。
登録免許税に不動産1つに対して1,000円と記載する
登録免許税に登記する不動産1つに対して「金1,000円」と記載します。
土地と家をあわせて変更登記する場合は「金2,000円」と記載します。
不動産の表示に「所在」「地番」「地目」「地積」登記簿通りに記載する
登記事項証明書の記載どおりに、不動産の表示を記載します。
そのとき記載すべき点は以下の4点です。
- 所在
- 地番
- 地目
- 地積
また、家を変更登記する場合は、以下の5点もあわせて記載しましょう。
- 所在
- 家屋番号
- 種類
- 構造
- 床面積
登記申請書が完成したら管轄法務局へ提出する
登記申請に必要な書類を用意し、登記申請書の記載が終わったら、管轄法務局に提出し変更登記申請しましょう。
登記申請には「窓口申請」「郵送申請」「オンライン申請」があります。
しかし、オンライン申請は電子証明書の取得や、専用ソフトのインストールが必要なので事実上、司法書士専用の申請方法になっています。
また、郵送申請は書類の不備や記載ミスがあったときに修正ができず、結果として窓口に行かなくてはならない可能性が高いです。
ですので、登記申請を初めておこなう方や申請手続きが不安な方には、局員と確認しながら手続きできる窓口申請がおすすめです。
変更登記申請にかかる費用と変更登記を依頼できる専門家
この項目では、変更登記申請にかかる費用と依頼先を説明します。
もしも、変更登記申請を全て自分で手続きしても、書類取得や登録免許税などの実費がかかります。
登録免許税は登記する不動産1つに対して「1,000円」かかり、土地と家をあわせて登記する場合は「2,000円」かかります。
住民票や登記事項証明書は一通500円ほどで取得できます。
変更登記申請の依頼は司法書士へ
変更登記申請を専門家に依頼する場合、司法書士事務所に依頼するとよいでしょう。
司法書士事務所の多くが、変更登記に必要な書類取得や登記申請書の作成など、変更登記申請に必要な全てを代行してくれます。
司法書士報酬の相場「1万円」+「実費」が司法書士に依頼するときの費用
変更登記の司法書士報酬の相場は「1万円」といわれています。
司法書士に依頼する場合、司法書士報酬の「1万円」に「登録免許税や書類取得費用」などの実費を足した金額が必要です。
また、地域や司法書士事務所によって、司法書士報酬は変動するので、何件かの司法書士事務所に見積り依頼するとよいでしょう。
登記簿に登録されている情報と差異が生じたときは忘れず変更登記しよう
変更登記には期限や強制力はありません。
しかし、登記簿の情報と現在の情報に差異が生じたにもかかわらず、不動産を放置してしまうと、将来的に手続きが増えてしまいトラブルの原因になってしまいます。
このようなトラブルを防ぐためにも、登記簿情報との差異が発生したときは、変更登記申請をすべきでしょう。
変更登記は流れや方法を理解していれば本人でも申請できるので、この記事を参考に変更登記申請してはいかがでしょうか。
共有持分の変更登記についてよくある質問
共有持分とは、複数人が共有する不動産において「各共有者がどれくらいの所有権をもっているか」を指すものです。「持分1/2」というように、割合で表記します。
売却や引越し、結婚・離婚などで登記簿の情報が変わったとき、内容を変更するためにおこなう登記申請を変更登記といいます。
変更登記は、名義人の氏名・住所の他、賃借権の期間、地目の種類などを変更するときにおこないます。一方、所有権移転登記は所有者が別の人に変わるときにおこなうものなので、目的が異なります。また、相続登記は相続を原因として所有権が変わるときにおこなう登記であり、登記の目的・原因が異なります。
自分でも申請可能です。ただし、一般的には登記の専門家である司法書士に代行してもらいます。
共有持分の売買や贈与ができなくなったり、トラブルが起きたときに自分の所有権を主張できなくなってしまいます。