共有持分の相続登記は要注意!共有持分の相続登記で発生するデメリットと対処法もあわせて解説します

相続登記

被相続人が亡くなったとき、不動産を相続するためには登記が必要です。

しかし、相続する遺産が共有持分だった場合はどのように相続登記するべきなのでしょうか?

結論から言ってしまうと、共有持分の相続登記はおすすめできません。

共有持分の相続登記を避けるために、遺産分割協議をおこない不動産は誰か1人の名義で相続登記しましょう。

この記事では、共有持分を相続登記する方法や手順も紹介していますが、共有持分の相続登記を避けるべき理由を、デメリットやトラブル例、解決方法とあわせて解説しています。

この記事のポイント!
  • 共有持分の相続登記は可能だがデメリットが多いため、遺産分割協議をおこない1人の名義で相続登記しよう。
  • 相続登記に期限はないが相続税申告のタイミングにあわせて10ヶ月以内にするのがよい。
  • 共有持分の相続登記が適しているケースは「相続人が少なく、遺産の売却をあらかじめ決めている」とき

共有持分とは共有状態にある不動産の権利の割合のこと

1つの不動産を複数人で所有することを「不動産の共有」といい、その権利の割合のことを共有持分といいます。

共有持分は割合に対して「◯分の◯」や「◯/◯」というように表記されます。

例えば、ある不動産の共有持分を兄弟で半分ずつ持っていたとすると「ある不動産の共有持分を1/2所有している」ことになります。

この記事で共有持分や共有不動産について詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。

共有不動産 共有不動産とは?不動産共有におけるトラブル例と私道の共有持分をわかりやすく解説

「資金を出し合って不動産を購入した場合」「不動産を分割して相続した場合」に共有持分が発生する

「資金を出し合って不動産を購入した場合」と「不動産を分割して相続した場合」に共有持分が発生します。

  • ・夫婦で資金を半分ずつ出し合って不動産を購入した
  • ・亡くなった父の土地を子供3人で相続した

以上の2つが共有持分が発生する状況の例です。

共有持分は不動産購入時の負担額で決まる

資金を出し合って不動産を購入する場合、負担額に応じて共有持分を決める必要があります。

例えば、夫婦で協力して5,000万円の土地を「夫が4,000万円」「妻が1,000万円」ずつ出し合って購入したとします。

この場合の共有持分は「夫が4/5」「妻が1/5」と登録する必要があります。

もしも、購入負担額を無視して決めてしまうと、資産の贈与があったとみなされ、妻に贈与税の支払いが義務付けられるかもしれません。

共有持分だけでも相続登記できる

ある人が亡くなって不動産の相続が発生したとき、法務局で相続登記の申請をする必要があります。

相続登記は「亡くなった被相続人から相続人へと不動産を相続する」ことを明確にしなければなりません。

また、相続登記は「1つの不動産に対して1人の所有者しか登記できない」というわけではなく共有持分だけの登記も可能です。

共有持分をさらに分割して相続登記できる

被相続人が共有持分を所有していた場合、その共有持分をさらに分割して相続登記できます。

例えば、被相続人が土地の1/2の共有持分を持っていたとします。

それを相続人の子供2人が1/2ずつ相続登記したとすると、子供2人ずつの共有持分は1/4になります。

相続登記に期限はないが10ヶ月以内にするのがよい

じつは「相続登記はいつまでにしなければならない」というような期限は決められていません。

相続発生から数十年後に登記しても法的には何も問題ありませんし、相続登記をしないからといって国から罰金が科せられることもありません。

しかし、不動産の相続登記をせず放置していると、不動産の売却ができなかったり、権利関係がこじれて複雑になったりと、後々にトラブルの原因となってしまいます。

このようなトラブルを防ぐためにも、相続税申告のタイミングにあわせて、相続発生から10ヶ月以内に相続登記をするとよいでしょう。

共有持分の相続登記申請に必要な書類や手順

共有持分に関わらず不動産を相続するには、相続登記申請書を作成し登記申請をする必要があります。

また、相続登記申請は司法書士などの専門家に依頼する場合が多いですが、相続人でも相続登記申請はできます。

次の項目から共有持分の相続登記申請に必要な書類や手順を説明していきます。

必要な書類を集める

相続登記申請に必要な書類は主に以下の5つです。

  • 登記申請書
  • 登記事項証明書
  • 被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 最新年度の固定資産評価証明書

また、場合によっては以下の書類も必要になります。

  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 遺言書

遺産分割協議で相続割合を決める場合、遺産分割協議書の作成も必要になります。

以下の記事で、遺産分割協議書の作成方法を詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

遺産分割協議書 遺産分割協議書は相続人が作れる!ひな形通りの正しい書き方や作成依頼先も解説

相続登記申請書を作成する

相続登記をするためには、相続登記申請書を作成する必要があります。

共有持分を相続する場合も相続登記申請書の記載内容は、1つの不動産を1人で相続するときの記載内容とほとんど変わりません。

記載内容が変わるのは、「登記の目的」だけです。

共有持分を相続登記申請する場合は、登記の目的に「〇〇持分全部移転」と記載します。(〇〇には非相続人のフルネームが入ります)

そして、相続される不動産の共有持分の全体をもとに、相続する割合を「持分◯/◯」と記載します。

例えば、1/2の共有持分を1人で相続する場合は「持分1/2 △△」と記載します。(△△には相続人のフルネームが入ります)

また、1/2の共有持分を2人で相続する場合は「持分1/4 △△」と「持分1/4 **」のように記載します。(△△及び**には相続人のフルネームが入ります)

法務局へ書類を提出する

相続登記申請書が完成したら、法務局に書類を提出し相続登記申請しましょう。

申請方法は「窓口申請・郵送申請・オンライン申請」の3種類ありますが、郵送申請とオンライン申請は難易度が高いため、比較的簡単にできる窓口申請をおすすめします。

相続登記に必要な費用は登録免許税と書類の取得にかかる実費

相続登記を全て自分でおこなっても、登録免許税や実費がかかってしまいます。

専門家に依頼しなかったからといって、0円で相続登記申請できるわけではなく、登録免許税や書類申請などの実費が必要です。

以下の項目から相続登記にかかる費用について詳しく解説します。

登録免許税は土地の資産価値と共有持分によって決まる

共有持分の相続にかかる登録免許税は、不動産全体の価値ではなく相続する持分の割合に応じて決まります。

例えば、1,000万円する土地を1人で相続する場合は

1,000万円 × 0.4 = 4万円

になりますが

1,000万円する土地の1/2の共有持分を相続する場合は

1,000万円 × 0.4 × 1/2 = 2万円

になります。

相続する土地の資産価値と共有持分によって、登録免許税が求められることを覚えておきましょう。

書類取得に必要な費用

相続登記に必要な書類の費用は以下のようになっています。

  • 戸籍謄本 1通450円 程度
  • 除籍謄本 1通750円 程度
  • 相続人の住民票 1通300円 程度
  • 登記事項証明書 1通300円 程度

これはあくまで一例で、市区町村や役所によって金額が変動しますので、必ず最寄りの役場で金額を確認してください。

また、被相続人が本籍地を転々とさせている場合は戸籍謄本が何通も必要になりますし、相続人が多い場合は住民票が何通も必要になります。

書類1つ1つは少額かもしれませんが、登記申請に必要な枚数だけ書類を取得したとしても結構な金額が必要になるかもしれません。

共有持分の相続登記はデメリットが多いが適しているケースもある

ここまでは共有持分の相続登記が可能であることや、共有持分の相続登記の仕方について説明しました。

しかし、残念ながら共有持分の相続登記は非常にデメリットが多いため避けるべきです。

次の項目から共有持分の相続登記によって発生するデメリットと、共有持分の相続登記が適しているケースを説明します。

共有者間で意思疎通ができないと不動産を自由に扱えない

不動産を活用するためには、当たり前ですが不動産の所有権が必要です。

1つの不動産に対して全ての所有権を持っていれば、その不動産は所有者1人の意志で扱えます。

しかし、1つの不動産を複数人で相続登記した場合、相続人全員の意志が統一できないと不動産を自由に扱えません。

例えば、1つの不動産を4人で1/4ずつ共有持分を相続登記したとします。

そこで、相続人4人のうち3人が不動産を売却したいと考えても、1人が売却に反対するとその不動産は売却できません。

このように、共有持分を複数人で相続登記してしまうと、自らの意志だけでは不動産を自由に扱えません。

自分の知らないところで共有者が増える可能性がある

共有持分の所有者が亡くなったとき、共有持分は遺産として相続登記される場合があります。

ですので、ある共有者が亡くなりその相続人達が相続したとすると、新たに共有持分の所有者が増えてしまいます。

このように、共有持分の相続登記によって共有者が増えてしまうと、誰が共有者なのかも把握できなくなり、権利関係がより複雑になってしまうかもしれません。

共有持分の相続登記が適しているケース

相続人が少なく、不動産の売却を共有者間で決めている場合は、共有持分の相続登記に適しているといえます。

例えば「相続人が2人の兄弟」で「被相続人の遺産が少ない貯金と、相続人が利用する予定のない不動産」だとします。

この場合だと均等な遺産分割は難しいため、不動産を兄弟の共有名義で相続登記した後に、不動産を売却して手に入ったお金を分割しました。

このケースであれば共有持分を相続登記するデメリットが発生する前に問題解決できたといえるでしょう。

相続登記におけるトラブルを回避するために遺産分割協議をしよう

相続が発生したとき遺産分割協議をおこなうべきです。

もしも、遺産分割協議をおこなわず、法定相続分にもとづいて相続登記すると、不動産の活用が難しくなってしまいます。

共有持分を相続しないために遺産分割協議をおこない、被相続人の不動産は誰か1人の名義で相続すべきでしょう。

また、遺産分割協議をおこなった場合は、登記申請にも用いられる遺産分割協議書を作成するとよいでしょう。

遺産分割協議については、前の項目で関連記事とあわせて紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

不動産の共有持分は相続登記せず単独の所有者を決めることが重要

被相続人の共有持分をそのまま相続登記したり、共有持分を更に分割して相続できますが、将来的にトラブルが発生する可能性が高いため、避けるべきでしょう。

また、共有持分によるトラブルを解消するためには、相続時に遺産分割協議をおこない共有持分を相続登記しないことが重要です。

もしも、被相続人が共有持分を遺産として残している場合、その遺産の共有持分を所有する他共有者と相談するのもよいかもしれません。

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