共有不動産を売却するときは、通常の不動産売却時に加えて「共有者全員の実印と印鑑登録証明書」など、特別必要となる書類がいくつかあります。
そのため、不動産売却経験のある人でも、今一度この記事を参考に確認をしてください。
また、共有不動産の売却には共有者全員の同意と立会いが必要です。
もしも共有者の同意が得られないときは、持分のみの売却を検討してみてはいかがでしょうか。
共有持分の売却は通常の不動産業者よりも、共有持分の取扱いに慣れた共有持分専門の買取業者へ依頼することで高値での売却が期待できます。
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- 共有不動産の売却では、通常の不動産売却よりも必要書類が多い。
- 共有不動産の売却には、共有者全員の同意と立会いが必要。
- 共有者の同意が得られないときは、持分のみの売却も検討しよう。
共有不動産の売却に必要な書類と入手先
共有不動産を売却するときに必要な書類は、基本的に通常の不動産売却のときと変わりません。
しかし、なかには「共有者全員分」必要な書類があるため、とくに共有者が遠方に住んでいるなどの場合は、早めに準備をした方がよいでしょう。
以下は、共有不動産の売却に必要な書類と入手先の一覧です。
※不動産取得時に入手しているものは「不動産取得時」と記載しています。
書類 | 入手先 |
---|---|
共有者全員の実印と印鑑証明 | 自治体窓口 |
固定資産評価証明書 | 自治体窓口 |
登記済権利証(登記識別情報) | 不動産取得時 |
共有者全員の身分証明書 | 各共有者 |
間取図 | 不動産取得時 |
建築確認済証・検査済証(一戸建ての場合) | 不動産取得時 |
地積測量図・境界確認書(土地の場合) | 不動産取得時・法務局 |
管理規約・使用細則(マンションの場合) | 不動産取得時・管理会社 |
固定資産税・都市計画税納税通知書 | 自治体より毎年送付 |
委任状(立会い不可の場合) | 各共有者 |
上記のほかにも、不動産の状態によっては必要な書類が発生する可能性もあるため、媒介契約を結ぶ際に不動産業者へ確認しましょう。
ほとんどの書類はすでに手元にあったり、新規で取得する場合も数百円程度ですが、登記済権利証が見当たらないときは5~10万円程かかってしまいます。
不動産取得時に入手済みで、手元に見つからない書類があるときは仲介業者や管理会社へ相談してみましょう。
また、印鑑証明書と身分証明書はマイナンバーカードを所有していれば、コンビニ交付を利用できます。
コンビニ交付が可能な都道府県や取得方法については、以下のページを参照してください。
参照:コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付「コンビニ交付」
共有不動産の売却には共有者全員の同意と立会いが必要
共有不動産の売却は必要書類を揃えるだけでなく、共有者全員の同意と立会いが必要です。
しかし、相続を繰返していたりなど、共有関係が複雑で共有者全員の把握が難しいケースは珍しくありません。
また、共有者が認知症を患って判断力が低下し、売却の同意を得るのが難しいこともあるでしょう。
次の項目から、共有者の同意や立会いが難しいときの対処法をお伝えします。
立会えない共有者がいるなら委任状を作成して代理人を選任する
売却には同意しているけれど、遠方に住んでいたり病気で入院しているなど売却時の立会いが難しい共有者がいることは珍しくありません。
その場合、委任状を作成して代理人を選任するとよいでしょう。
委任状があれば、選任した代理人へ売却活動の権限を委任できます。代理人は家族や親戚でもよいですが、弁護士へ依頼するケースが多いです。
また、売却の条件に共有者全員が同意している場合、立会えない共有者が複数いても委任状は一通のみ作成し、連名で記載すれば問題ありません。
以下の記事では、委任状のひな形や委任状作成時の必要書類など、委任状の作成について詳しく解説していますので参考にしてください。
共有名義不動産を売却する時の委任状はどう書く?ひな形で書き方を解説!代理人の選定方法もあわせて説明します共有者が行方不明なら不在者財産管理人を選任する
共有者の居場所がどうしてもつかめないケースもあるでしょう。
その場合は、不在者財産管理人を選定すると、行方不明の共有者に代わって不在者財産管理人が売却活動をおこなえます。
第二十五条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
不在者財産管理人を選任するには、家庭裁判所への申立てが必要です。
以下の記事では、不在者財産管理人の選任を申立てるための必要書類などを解説していますので、行方不明の共有者がいるときは参考にしてください。
不在者財産管理人とは?仕事内容や選任方法をわかりやすく解説共有者が認知症などで判断力がないときは成年後見人制度を利用する
共有者が認知症などを患い、判断力が低下して共有不動産の売却への同意を求めるのが難しい場合もあるでしょう。
その場合は、成年後見人制度を利用して売却への同意を得る方法があります。
成年後見人は、一般的に弁護士が選任され判断力の低下した共有者に代わって不動産売却などの契約をおこなえます。
不動産売却時に成年後見人制度を利用したい場合は、一度法律にも詳しい不動産業者へ相談してみるとよいでしょう。
共有名義を一括売却以外で解消する方法
「どうしても共有者が売却に納得してくれない」「共有者が多すぎて手続きが面倒」
共有不動産を売却しようと思っても、上記のような理由でなかなか手続きが進まないケースは多いです。
その場合、一括売却以外の方法で共有名義を解消することも考えるとよいでしょう。
具体的には、以下の方法で共有名義を解消できます。
- 共有者へ持分を売却する
- 共有不動産が土地のみなら分筆して売却する
- 共有持分を放棄する
- 自身の持分のみを売却する
次の項目から、それぞれ詳しくお伝えします。
共有者へ持分を売却する
「共有不動産を手放したくない」と主張する共有者の多くは、その不動産に住んでいたり不動産を活用したいと考えています。
そのため、共有者へ持分の売却を持ちかけてみるとよいでしょう。
共有不動産は個人の意思では建替えや売却ができず、共有者にとっても単独名義にできるのはメリットがあるため、応じてくれる可能性は高いです。
その場合、知った仲だからと売却価格を相場よりも大幅に低くすると、贈与とみなされて買い手に贈与税が課せられる可能性があります。
贈与税は、贈与を受ける金額が年間110万円以下なら控除されるので、上手く活用するとよいでしょう。
共有不動産が土地のみなら分筆して売却する
共有不動産が土地のみであれば、共有者へ分筆を持ちかけてみるのもよいでしょう。
分筆とは、土地を共有持分に応じて分け、それぞれ単独名義の土地とすることです。
分筆した後は、単独名義の不動産なので売却も自由にできます。
ただし、分筆には測量や移転登記が必要なため、数十万円の費用がかかります。また、土地の陽当たりなどでトラブルになる場合も少なくありません。
共有不動産の分筆に関しては、以下の記事で手順や費用、メリット・デメリットな度を詳しく解説しているので参考にしてください。
共有持分にそって土地を分筆する手順|分筆のメリットとデメリットも解説!共有持分を放棄する
共有持分は放棄することが認められており、放棄した持分は持分割合に応じて各共有者へ帰属します。
第二百五十五条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
共有持分の放棄は他共有者の同意なくできますが、その後の登記には共有者の協力が必須です。
また、帰属された持分は共有者間で贈与されたとみなされて、他共有者へ贈与税が課せられる場合があるので、持分を放棄するときは他共有者の同意を得てからの方がよいでしょう。
持分放棄で土地の共有名義を解消できる!持分放棄をすべき状況も解紹介します自身の持分のみを売却する
共有持分は、自身の持分のみであれば自由に売却が可能です。
第二百四十九条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
そのため、共有者との意思疎通が難しいときは、自分の持分のみの売却も検討するとよいでしょう。
ただし、共有持分は需要が低く通常の方法ではなかなか買手が見つかりません。そのため、共有持分専門の買取業者へ依頼するのがおすすめです。
次の項目で、共有持分専門の買取業者について詳しくお伝えします。
共有持分の売却は専門の買取業者への依頼がおすすめ
ここまでお伝えしたように、共有不動産は共有者全員の同意と立会いがなければ売却や建替えができないため、扱いが難しい不動産です。
そのため、通常の不動産業者では買取を断られることも少なくありません。
しかし、共有持分専門の買取業者は共有持分を運用するノウハウや、活用する経験が豊富なため共有持分の買取を積極的におこなっています。
共有者の同意を得られず困っている共有持分があれば、共有持分専門の買取業者へ一度相談してみましょう
共有不動産の売却は書類だけでなく共有者の同意が必要
共有不動産の売却に必要な書類は、基本的に通常の不動産売却時と変わりません。
ただし、印鑑証明書や身分証明書など、共有者全員必要な書類もあるため売却が決まったら早めに共有者全員へ通知して準備しましょう。
また、共有不動産の売却には共有者全員の同意と立会いが必要です。
立会えない共有者がいるときは、委任状を作成して代理人を立てれば売却が可能ですが売却の許可がとれない場合は、不動産の一括売却以外の方法も視野に入れましょう。
共有持分のみの売却も可能なので、共有持分を素早く現金化したい場合はまず、共有持分専門の買取業者の無料査定を利用してみてはいかがでしょうか。
共有不動産の売却に関するよくある質問
共有不動産の売却には、共有者全員の同意と立会いが必要です。
そのため、個人の意思での売却はできません。
委任状を作成して代理人を立てるとよいでしょう。
代理人は家族や親戚でもよいですし、弁護士へ依頼も可能です。
売却内容や委任状の内容に共有者全員が同意しているのなら、一通だけ作成すれば大丈夫です。
委任者を記載する欄に、共有者を連名で記載しましょう。
共有持分は、自身の持分のみなら売却や放棄が自由にできます。
売却する場合は、共有持分専門の買取業者へ依頼すると高値での売却が期待できます。
弁護士や司法書士へ「本人確認情報」を作成してもらいましょう。
本人確認情報があれば、登記識別情報の代わりに使用できます。
ただし、本人確認情報の作成には5万円から10万円程かかります。