共有不動産の管理や処分には共有者同士での話し合いが必要ですが、共有者が行方不明になっていて話し合いができないケースは少なくありません。
共有者が行方不明の場合、まずは住民票などから捜索することになりますが、どうしても見つからないときは裁判所を介して共有名義の解消や共有不動産全体の売却をすることが可能です。
ただし、裁判所での手続きは手間がかかり、1年以上待たなければいけない場合もあります。
そのため、すぐに共有名義を解消したい人や、早く売却して現金を手に入れたい人は、自分の共有持分だけ売却することをおすすめします。
行方不明の共有者がいても自分の共有持分だけなら売却できるので、短期間での持分買取が可能な共有持分専門の買取業者に相談してみましょう。
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- 共有者が行方不明のまま共有持分を放置するとリスクが多い。
- 自分の共有持分だけなら行方不明の共有者がいても売却できる。
- 裁判所を介して共有名義の解消や共有不動産全体の売却も可能。
共有者が行方不明の共有持分を持ち続けるリスク
共有者が行方不明の共有持分を持ち続けると、次のようなリスクがあります。
- 共有不動産の管理負担が発生し続ける
- 空家の場合は固定資産税の増額や強制解体になる恐れがある
- 相続を繰り返して権利関係がさらに複雑化する
具体的なリスクの内容を見ていきましょう。
1.共有不動産の管理負担が発生し続ける
共有持分を持っていると、共有不動産の管理負担をしなければいけません。
通常、日々の見回りや草木の手入れ、設備の補修など、不動産を管理するための作業は共有者全員が分担しておこないます。
また、修繕費や固定資産税など、共有不動産に関する出費は持分割合に応じて負担するのが原則です。
しかし、行方不明の共有者がいる場合、他の共有者がこれらの負担を肩代わりしなければいけません。
しかし、片方が行方不明だと、1人で修繕費を全額負担することになってしまいます。
2.空家の場合は固定資産税の増額や強制解体になる恐れがある
共有不動産が空き家の場合、自治体から「特定空家」に指定される恐れがあります。
「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
特定空家に指定されると、土地の固定資産税の軽減措置が解除されて税額が上がったり、50万円の過料を科される恐れがあります。
改善命令を無視し続けると、最終的には自治体による「行政代執行」で強制解体され、一般的な相場より高額の解体費用を請求されてしまいます。
3.相続を繰り返して権利関係がさらに複雑化する
共有持分は、相続があると遺産分割の対象となります。
相続人が複数いると共有持分もさらに細分化される恐れがあり、共有者がねずみ算式に増えていってしまうのです。
権利者が増えれば、共有不動産の管理・処分の話し合いがむずかしくなります。だれが共有者なのかの把握も困難となり、行方不明の共有者も増えてしまうかもしれません。
共有者が行方不明のときに自分の共有持分を売却する方法
共有者が行方不明でも、自分の共有持分だけ売却すればすぐに共有名義を解消できます。
自分の共有持分であれば他共有者の同意がなくても売却できるので、共有者が行方不明でも問題なく売りに出せます。
ただし、共有持分だけを購入したいと考える人は少なく、通常の不動産と同じように売り出しても買主はつきません。
そのため、自分の共有持分だけを売却するときは「共有持分専門の買取業者」に相談しましょう。
「共有持分専門の買取業者」に自分の共有持分だけ売却する
共有持分専門の買取業者は、共有持分を直接買い取る不動産会社です。
自社で買取をするため買主を探す必要がなく、最短2日のスピード買取も可能というメリットがあります。
買い取った共有持分は、行方不明の共有者を探すなどして権利関係を調整した後、運用・再販して利益を得ます。
専門業者なら買い取った後の収益システムを効率化しているので、買取価格を高く設定できるのです。
共有持分のみを短期間かつ高値で現金化したいなら、ぜひ共有持分専門の買取業者に相談してみましょう。
行方不明の共有者が持つ共有持分は売却できる?
自分の共有持分なら自由に売却できますが、行方不明の共有者が持つ共有持分に関しては、勝手に売却することは不可能です。
共有持分は各共有者に固有の資産であり、本人にしか売却の決定権はありません。
仮に家族や親戚など血縁関係であっても、本人以外が勝手に共有持分を売却することはできないのです。
ただし、次の項目から紹介する「共有者が行方不明のときに共有名義を解消する方法」では、共有持分の権限を行方不明の共有者から別の人へ移す方法を解説しています。
共有持分の権限を移して共有名義を解消すれば、自分の共有持分と行方不明の共有者が持つ共有持分を一緒に売却することが可能となります。
共有者が行方不明のときに共有名義を解消する方法
共有者が行方不明のときに共有名義を解消する方法としては、次の2つがあげられます。
- 不在者財産管理人を選任して共有名義を解消する
- 失踪宣告をして共有名義を解消する
両方とも裁判所へ申請が必要なので、実際に手続きをするときは弁護士へ相談するとよいでしょう。
不在者財産管理人を選任して共有名義を解消する
不在者財産管理人は、行方不明の人の財産を管理し、本人や利害関係者の利益を保護するための制度です。
不在者財産管理人に選任された人は行方不明者の権限を代行し、財産を処分できるようになります。
不在者財産管理人と話し合い、共有不動産全体の売却や共有者同士の持分売買をおこなえば、共有名義を解消することが可能です。
不在者財産管理人については、下記の関連記事でも解説しているので参考にしてください。
不在者財産管理人とは?仕事内容や選任方法をわかりやすく解説失踪宣告をして共有名義を解消する
失踪宣告は、一定の要件を満たす行方不明者を、法律上死亡したものとみなす制度です。
失踪宣告の要件は、
- 7年間生死が不明
- 戦争、船舶の沈没、震災などで失踪してから1年間生死が不明
のどちらかにあてはまることです。
失踪宣告が成立すると、行方不明者の財産は死亡したときと同じように相続人へ引き継がれます。
相続人と話し合い、共有不動産全体の売却や共有者同士の持分売買をおこなえば、共有名義を解消できます。
参照:裁判所「失踪宣告」
共有者が行方不明のときに不動産の管理や処分を可能にする2つの新制度
2022年現在、行方不明の共有者がいる共有不動産全体を管理・処分するには、先に解説した「不在者財産管理人制度」や「失踪宣告制度」を利用するしかありません。
しかし、共有者が行方不明のときに不動産を円滑に管理・処分できるよう、2023年4月1日から2つの新制度が利用できるようになります。
- 裁判で「所在不明の共有者が持つ共有持分」を取得する制度
- 裁判で「不動産全体を売却する権限」を取得する制度
簡単な手続きで共有名義の解消や共有不動産全体の売却ができるようになるので、制度の詳しい内容や手続き方法をしっかり把握しておきましょう。
1.裁判で「所在不明の共有者が持つ共有持分」を取得する制度
1つ目の制度は、裁判所に請求して「所在不明の共有者が持つ共有持分」を買い取る制度です。
行方不明の共有者が持つ共有持分を買い取ることで、共有名義を解消します。買取代金は裁判所が決定し、裁判所が指定する供託所(法務局)に預けます。
なお、3人以上が共有している状態で、1人が所在不明のときに他2人が同時にこの請求をする場合、各共有者の持分割合に応じて買い取ることになります。
上記の例で共有名義を解消するには、A・Bの間で改めて解消方法を協議する必要があります。
参照:e-Govポータル「民法(令和5年4月1日施行)第262条の2」
参照:e-Govポータル「非訟事件手続法(令和5年4月1日施行)第87条」
2.裁判で「不動産全体を売却する権限」を取得する制度
2つ目の制度は、裁判所に請求して「共有不動産全体を売却する権限」をもらう制度です。
この制度を使えば、共有者が行方不明のままでも不動産全体の売却が可能になります。
ただし、裁判所は売却の権限を付与するだけなので、買主を探す売却活動は自分たちでおこなう必要があります。
なお、共有者が3人以上の場合、所在不明の人以外の全共有者が同意しなければ、この制度は使えません。
また、仮に所在不明だった共有者が後から見つかった場合、その所在不明だった共有者は、自分の持分割合相当の売却益を他共有者へ請求することが可能です。
参照:e-Govポータル「民法(令和5年4月1日施行)第262条の3」
新制度が使えないケースもある
ここで紹介した2つの新制度は、対象の共有持分が相続財産となっている場合は利用できません。
具体的には、下記の2つが新制度を使えないケースにあてはまります。
- 複数の相続人で不動産を相続することになったが、相続人のなかに行方不明者がいて遺産分割を完了していない。
- 行方不明だった共有者を捜索したところすでに死亡しており、その相続人たちが遺産分割を完了していない。
いずれのケースも「だれがどれくらいの割合で共有持分を持つのか」が確定しないため、新制度を利用できないのです。
ただし、相続開始から10年間が経過した場合、上記のケースにあてはまっても新制度の利用が可能とされています。
10年間経過してから利用する場合、遺産分割は法定相続分で確定したとみなして手続きをおこないます。
法定相続分については、下記の関連記事も参考にしてください。
法定相続分とは?遺産分割における法定相続分の割合と優先順位をわかりやすく解説します参照:e-Govポータル「民法(令和5年4月1日施行)第262条の2第3号、第262条の3第3号」
新制度を利用する流れ
新制度の手続きは、どちらも基本的な流れは同じです。
- 裁判所へ申請
- 裁判所による3ヶ月間の公告
- 供託金の納付(所在不明共有者の持分を買い取る場合)
- 登記申請
手続きは自分でおこなうこともできますが、不安な場合は弁護士へ相談するとよいでしょう。
行方不明の共有者を探す方法
不在者財産管理人や失踪宣告の申請は、前提として「共有者が行方不明であること」を証明する必要があります。
つまり、事前に自分で共有者を探す必要があるということです。
共有者を探すときは、最初に共有不動産の登記簿から、行方不明の共有者の住所を確認しましょう。
その住所地に現在住んでいなくても、役所で住民票を取得すれば本籍地がわかります。
本籍地の役所で戸籍の附票を取得すれば、引っ越しの履歴を調べることが可能です。
弁護士なら行方不明者の住民票や戸籍から行方不明者の捜索が可能
行方不明者の住民票や戸籍の附票は、利害関係者であれば取得が可能です。「共有不動産を処分するために行方不明の共有者を探している」という理由であれば、取得を認められるでしょう。
ただし、自分で手続きをおこなうのは多くの手間がかかるため、実際に捜索するときは弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士には「職務上請求」という権限があり、職務で必要なときは自由に戸籍や住民票を取得できるので、スムーズに捜索してもらえます。
共有者が死亡していた場合は相続人が共有持分を引き継ぐ
捜索したところ共有者の死亡が把握した場合は、相続人が共有持分を引き継ぐことになります。
相続人が相続登記を済ませているのであれば、共有持分を取得した相続人と、共有名義の解消や共有不動産全体の売却について話し合いましょう。
相続登記が済んでいない場合は、相続人に相続登記を済ませるよう促して、遺産分割を確定してもらう必要があります。
相続人がいない場合は相続財産管理人を選任する
行方不明だった共有者が死亡しており、なおかつ相続人もいなかった場合、相続財産管理人を選任します。相続財産管理人は、相続人のいない相続財産を管理・整理するための制度です。
相続する人がいない共有持分は、相続財産管理人が相続財産の調査や債権の支払いなどをしたのち、他共有者へ持分割合に応じて分配されます。
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
相続財産管理人の選任については、下記の関連記事で解説しているので参考にしてください。
相続財産管理人とは?必要なケースや選任方法をわかりやすく解説まとめ
共有者が行方不明であっても、裁判所での手続きを介することで、共有名義の解消や不動産全体の売却は可能です。
ただし、手続きには専門的な法律知識が必要になるため、弁護士などの法律家に相談するようにしましょう。
また、自分の共有持分だけであれば自由に売却できるので、行方不明の共有者がいてもすぐに現金化できます。
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共有者が行方不明のときによくある質問
行方不明者の住民票や戸籍から捜索することが可能です。実際の捜索は、弁護士へ依頼することができます。
裁判所に「不在者財産管理人制度」や「失踪宣告」などを申し立てることで、行方不明者の共有持分を処分可能にし、共有名義を解消することができます。
死亡した共有者の相続人が共有持分を引き継ぐので、その相続人に共有名義の解消や共有不動産全体の売却を相談します。相続人がいない場合、相続財産管理人を選任すれば、死亡した共有者の共有持分は他の共有者へ分配されます。
はい、共有持分のみでも売却は可能です。共有持分は共有者それぞれの所有権なので、自分の意思で自由に売却できます。
共有持分専門の買取業者がおすすめです。共有持分は需要が低く売れにくいのですが、専門に取り扱う買取業者なら高額買取りと最短数日での現金化ができます。→【共有者との連絡不要】今すぐ共有持分を売るならこちら