法定相続分とは?遺産分割における法定相続分の割合と優先順位をわかりやすく解説します

法定相続分とは

相続発生時、遺産の分割割合を決める必要がありますが、遺産の分割割合を決める方法は何種類かあることをご存知でしょうか。

「遺言書」通りに遺産分割する方法や「遺産分割協議」という協議をして、遺産分割をおこなう方法があります。

また、遺産分割時における割合の「目安」を法律で定めたものを「法定相続分」といいます。

法定相続分について理解しておくと、遺産分割の割合を決めるときに非常に役立ちます。

この記事では、法定相続分で定められている、遺産分割の割合や法定相続分における優先順位などをわかりやすく解説しています。

また、相続人が既に死亡していた場合に発生する「代襲相続」も解説しています。

この記事のポイント!
  • 法定相続分とは遺産相続の際に遺産分割の目安を法律で定めたもの。
  • 被相続人の配偶者は必ず相続人になるが、それ以外は優先順位によって相続分が決まる。
  • 代襲相続とは相続人が既に死亡している際に相続人の子供へ相続権が引き継がれること。
  • 遺産分割協議が調う場合は遺産分割協議結果に基づいて分割すべき。
目次
  1. 法定相続分とは法律で定められた遺産相続時における遺産分割の「目安」
  2. 法定相続分で定められている遺産分割割合と法定相続分の一例
  3. 代襲相続とは相続人が既に死亡している際にその子供へ相続権が引き継がれること
  4. 被相続人に非嫡出子がいる場合は嫡出子と同じ割合の相続分が認められる
  5. 法定相続分はあくまで「目安」なので遺産分割協議結果に基づいて遺産分割するとよい

法定相続分とは法律で定められた遺産相続時における遺産分割の「目安」

相続発生時、遺産の分割割合を決める必要があり、その中の一つに「法定相続分」というものがあります。

法定相続分とは法律で定められた、遺産相続時における遺産分割の「目安」のことです。

遺産の相続発生時「誰が」「どのくらい」相続権を持つのか、法定相続分で定められています。

ただし、法定相続分は目安でしかないので「必ずしも法定相続分通りに遺産分割しなくてはならない」ということはありません。

法定相続人とは法律で定められた遺産相続時に「相続する権利を持つ人」

被相続人が亡くなって遺産相続が発生したとき、遺産分割の方法を決める必要があります。

被相続人の遺言書がない場合は、法律で定められた人が「法定相続人」になります。

法定相続人とは法律で定められた、遺産相続時における「相続する権利を持つ人」のことです。

被相続人の配偶者や子供、兄弟、親などが法定相続人になります。

法定相続人の範囲は、後の項目でくわしく説明しているので、ぜひ参考にしてください。

遺言書がなく遺産分割協議が調わない場合に法定相続分によって遺産分割される

遺言書がある場合は原則、遺言書の記載通りに遺産相続されます。

法定相続分は相続発生時に遺言書がなく、遺産分割協議が調わない場合に用いられます。

なぜなら、遺言書がある場合は遺言書通りに遺産分割しなければなりませんし、遺産分割協議が調った場合は、遺産分割協議の結果通りに遺産分割した方がよいからです。

ですので、被相続人による遺言書がなく、遺産分割協議が調わないときに、法定相続分に基づいて遺産分割されます。

遺産分割協議 とは 遺産分割方法は相続人全員で協議しよう!相続発生時における遺産分割協議の基礎知識と流れを解説します。

遺言書とは被相続人が遺産を「誰に」「どれだけ」相続させるか記載した書類

被相続人が生前中に、遺言書を用意している場合があります。

遺言書とは被相続人が、自分の遺産を「誰に」「どれだけ」相続させるか記載した書類です。

また、遺言書には「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があります。

公正証書遺言は公証人の指示のもと作成されるため、法的な強制力を持ちます。

一方で、自筆証書遺言は被相続人本人が作成したもので、記入ミスや記載漏れなどが多く、法的な強制力を持たないケースが多いです。

被相続人が遺した遺言書が、公正証書遺言であればその記載通りに遺産分割できます。

しかし、自筆証書遺言であれば、その遺言書が法的に認められるかどうか、裁判所に確認を依頼する必要があります。

※公証人とは・・・職権を利用し、ある事実を公的に証明する公務員のこと。

遺産分割協議とは「相続人全員」でおこなう遺産の分け方を決める協議のこと

遺産相続が発生し遺言書がない場合、法定相続分にもとづき相続するよりも「遺産分割協議」をおこなうべきです。

遺産分割協議とは「相続人全員」でおこなう遺産の分け方を決める話し合いのことです。

遺産分割協議は相続人全員でおこなう必要があり、1人でも参加しなかった遺産分割協議の結果は、法律で無効にされてしまいます。

また、遺産分割協議は、相続人全員が納得する結果であれば、自由に遺産相続の割合を決められます。

遺留分とは被相続人の「配偶者」「子供」「親」などに認められる最低限の保証分

稀に見られるケースですが、遺言書の記載内容が相続人にとって、非常に不利益な場合があります。

そのような場合、相続人には「遺留分」という権利が認められています。

遺留分とは被相続人の「配偶者」「子供・孫」「親・祖父母」に認められる、遺産相続における最低限の保証分のことです。

遺言書の内容に納得がいかない場合に、相続人に対して遺留分を請求する権利があります。

例えば、被相続人に対して「配偶者と息子1人」の相続人がいたとします。

そのとき、被相続人による遺言書に「財産は全て愛人に贈与する」という旨が記載されていたとしても「配偶者と息子」は遺産を受け取る愛人に対して、遺留分の請求をできます。

また、遺留分で請求できる遺産の割合は以下の式で計算できます。

(相続財産+生前贈与-債務)×遺留分割合 = 遺留分

遺留分の請求はトラブルになる可能性が高く、裁判まで発展するケースも多いので弁護士に相談・依頼するとよいでしょう。

被相続人の兄弟や甥姪には遺留分は適用されない

後の項目でくわしく説明しますが、被相続人の兄弟や甥姪にも法定相続分は認められます。

しかし、被相続人の兄弟や甥姪には、遺留分は適用されません。

被相続人の兄弟や甥姪に遺留分が適用されない理由は、法律では明確にされていませんが、一般的に「配偶者や子供、親に比べて相続関係が遠いから」とされています。

このことから、被相続人の兄弟や甥姪には、遺留分の権利が認められていません。

法定相続分で定められている遺産分割割合と法定相続分の一例

この項目では、法定相続分で定められている遺産分割の割合を紹介します。

また、それぞれのケースに応じて「誰が」「どの割合を」相続するか、例を挙げて解説します。

被相続人の配偶者は必ず相続人になり多くの割合を相続できる

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人となり多くの割合を相続します。

なぜなら「被相続人と配偶者は協力して財産を所有している」と考えられるためです。

ですので、被相続人の配偶者は必ず相続人になり、遺産の多くを相続する権利を持ちます。

なお、被相続人が再婚していた場合は、前妻(過去に別れた妻)には一切の相続権がなく、後妻(被相続人の死亡時の妻)に対してのみ相続権が認められるので覚えておきましょう。

法定相続人の優先順位は法律によって定められている

法定相続分にもとづき、遺産相続する場合、法定相続人の優先順位が高い順から相続権が認められます。

法定相続人の優先順位は、法律によって定められています。

法定相続分で定められている優先順位は以下の通りです。

法定相続分の優先順位
第1順位 子供
第2順位 両親
第3順位 兄弟

相続の優先順位はこの表のようになっており、高い優先順位にあたる相続人がいない場合、相続権は下の優先順位の相続人に引き継がれていきます。

ですので、被相続人に子供がいる場合は、第1順位にあたる子供が相続人になり、被相続人に子供がいない場合は、第2順位にあたる両親が相続人になります。

また、子供も両親もいない場合は、第3順位にあたる兄弟が相続人として認められます。

配偶者がいない場合は法定相続分で定められた優先順位が高い人が相続する

被相続人が未婚である場合や、先に配偶者が亡くなっていた場合「配偶者に認められている相続分」を無視して、法定相続分で定められた優先順位によって相続します。

例えば、被相続人の配偶者が先に死亡していて、被相続人の子供3人が相続人になる場合「子供一人ずつに1/3」の相続分が認められます。

第1順位相続の場合「配偶者に1/2、子供で1/2」で分割される

第1順位で相続する場合は「配偶者に1/2、子供で1/2」の相続分が認められます。

例えば相続人が「配偶者と子供2人」だとすると、法定相続分に基づいた相続割合は「配偶者に1/2、子供2人それぞれに1/4ずつ」です。

第1順位相続人がいない場合は第2順位相続の「配偶者に2/3、親で1/3」で分割される

第1順位相続人がおらず、第2順位で相続する場合は「配偶者に2/3、親で1/3」の相続分が認められます。

例えば、相続人が「配偶者と被相続人の両親」だとすると、法定相続分に基づいた相続割合は「配偶者に2/3、両親それぞれに1/6ずつ」です。

被相続人に子供がおらず、両親より先に亡くなった場合はこのように相続分が決められます。

なお、相続権が発生するのは被相続人の両親だけで、配偶者の両親に法定相続分は発生しません。

第2順位相続人もいない場合は第3順位相続の「配偶者に3/4、兄弟で1/4」で分割される

第2順位相続人もおらず、第3順位で相続する場合は「配偶者に3/4、兄弟で1/4」の相続分が認められます。

例えば相続人が「配偶者1人と被相続人の兄弟が2人」だとすると、法定相続分に基づいた相続割合は「配偶者に3/4、兄弟それぞれに1/8ずつ」です。

被相続人に子供も両親もいない場合、このように相続分が決められます。

代襲相続とは相続人が既に死亡している際にその子供へ相続権が引き継がれること

遺産相続発生時、被相続人よりも先に、相続人が亡くなっているケースがあります。

相続人が先に亡くなっている場合、相続人の子供に「代襲相続」する権利が認められます。

代襲相続とは相続発生時に「相続権を持つ相続人」が既に亡くなっていた際に「相続人の子供」へ相続権が引き継がれることです。

例えば、父の遺産を相続をするとき、本来第1順位である「子」が既に死亡していたら「子の子(被相続人の孫)」が「子」と同じ相続分を引き継げます。

代襲相続は第1順位(子供や孫、ひ孫)や第2順位(両親、祖父母)の場合、相続人が確定するまで引き継がれます。

しかし、第3順位における代襲相続は、甥姪までしか認められていません。

被相続人に非嫡出子がいる場合は嫡出子と同じ割合の相続分が認められる

被相続人に非嫡出子がいる場合は、嫡出子と同じ割合の相続分が認められます。

非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女間で生まれた子供のことで、嫡出子とは婚姻関係にある男女間で生まれた子供のことです。

例えば、被相続人に隠し子(非嫡出子)がいることが判明したとき、その非嫡出子は嫡出子と同じ割合の遺産を相続できます。

法定相続分はあくまで「目安」なので遺産分割協議結果に基づいて遺産分割するとよい

法定相続分は、遺産分割の割合を法律で定めた「目安」です。

ですので「必ずしも法定相続分通りに遺産分割しなくてはならない」ということはありません。

遺産分割協議をおこない、相続人全員が納得できる場合は、遺産分割協議結果に基づいて遺産分割するとよいでしょう。

また、被相続人の配偶者は必ず相続人になること、他の相続人は優先順位が定められていることを把握しておきましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です