複数人で共有している私道を「共有私道」といい、共有者それぞれの所有権は「私道持分」といいます。
家の土地が私道にしか面していない場合、私道持分に関わるトラブルが発生すると、日常生活に大きな支障をきたすかもしれません。
私道持分に関するトラブルが起きた場合は、共有者と直接交渉するか、私道に面している土地も含めて売却することで解決しましょう。
共有者との交渉に関しては、弁護士に依頼して代わりに交渉してもらうのがおすすめです。
私道持分や私道に面した土地を売却する場合は、共有持分専門の買取業者に相談してみましょう。とくに、弁護士と連携した買取業者ならトラブルが起きている土地でもスピード買取が可能です。
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- 私道持分は共有者と管理方法に関してトラブルになりやすい。
- 共有私道は「共同所有型私道」と「相互持合型私道」の2つ。
- 共有私道の管理や利用は共有者との話し合いが重要。
- 私道持分に関するトラブルは弁護士に相談するか、そのままの状態で専門買取業者に買い取ってもらうのがおすすめ。
私道持分は共有者と管理方法に関してトラブルになりやすい
私道持分とは、複数人で共有している私道において、共有者それぞれの所有権を指す言葉です。
私道を共有している場合、その管理には共有者との協議が必要です。言い換えれば、私道持分をもっている人は私道の管理方法に対して権利と責任があるといえます。
複数人で管理するため、意見が対立することも珍しくありません。とくに、家が私道と接している場合はトラブルが起こると日常生活に大きな影響がでてきます。
共有私道の概要と、私道持分の重要性をしっかりと理解しておきましょう。
共有私道の種類には2つある
共有私道には、大きくわけて次の2種類があります。
- 1つの私道を複数人で共有している「共同所有型私道」
- 私道を分筆してもちあう「相互持合型私道」
どちらも私道を共有している状態ではありますが、権利上は大きな違いがあります。
私道持分のトラブルが発生したときは、問題になっている私道がどちらの種類なのか確認しましょう。
私道の権利関係については、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得すれば確認できます。
1つの私道を複数人で共有している「共同所有型私道」
共同所有型とは、1つの私道が複数人の名義になっている状態です。「私道の所有権を何割もっているか」というように表します。
「持分」とは共有名義における所有権の割合を指す言葉です。そのため、本来は共同所有型私道の場合にのみ「私道持分」という言葉が使われます。
私道を分筆してもちあう「相互持合型私道」
相互持合型とは、私道を分筆して別々の名義にしている状態を指します。分筆とは土地を切りわけることをいいます。
名義としては単独なので、厳密には「私道持分」という言葉は使いません。しかし、相互持合型であっても便宜上、各共有者の所有している土地を私道持分と表す場合があります。
共同所有型私道は管理に共有者との話し合いが必要
共同所有型私道に限らず、共有名義の不動産は管理に共有者との話し合いと同意が必要です。
なにをするかによって、どれだけの同意が必要かは異なります。
保存行為 | どの共有者も単独の判断でおこなえる | 現状を維持する行為(私道を部分的に舗装するなど) |
---|---|---|
管理行為 | 共有持分の過半数の同意が必要 | 性質を変えない範囲での利用・改良(私道を全面舗装しなおすなど) |
変更・処分行為 | 共有者全員の同意が必要 | 大規模な改変や処分(坂道の私道を階段にするなど) |
管理行為に必要な同意は「共有者の過半数」ではなく「共有持分の過半数」である点に注意しましょう。1人で1/2を超える私道持分をもっていれば、その人のみで上記の管理行為が可能です。
参照:法務省「共有私道の保存・管理等に関する事例研究会 最終とりまとめ概要」
共有持分の割合はどう決まる?計算方法や持分割合に応じてできることを詳しく解説します通行だけなら共有者との話し合いがなくても可能
管理に共有者の同意が必要な共同所有型私道ですが、通行に関しては私道持分をもっていれば自由です。
民法第249条
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
「共同所有型私道だから部分的にしか通行できない」といったことはないので、安心してください。
相互持合型私道は「自分の所有していない部分の管理」に共有者との話し合いが必要
相互持合型私道の場合、それぞれが所有している部分に関しては自由に管理や処分ができます。
しかし、実際は周囲の私道と相互に影響しあうため、なんでも自由におこなえるとは限りません。
例えば、自分の私道部分にガス管などライフラインを引き込もうとしても、途中で他の人が所有する私道を通らなければいけない場合、通過するすべての私道の所有者から許可をもらう必要があります。
自分が所有していない部分でも「家の出入りのため」の通行はできる
相互持合型私道だと「自分の所有していない部分は通行できないの?」と不安に思う人がいるでしょう。
しかし、相互持合型私道であっても、家の出入りのために必要な通行は可能です。
相互持合型私道では明確な取り決めがなくても、家を出入りするための通行地役権を相互にもっているとみなされます。
民法第280条
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。
ただし、通行料など対価の設定は協議によって決めることもできます。
実際には具体的な取り決めをせず、暗黙的に無償の通行を認めているケースがほとんどです。
そのため、長年使っていた私道の所有者が変わることで、突然通行料を請求されてトラブルになるケースもあります。
私道持分のトラブル解決は「弁護士に相談」がおすすめ
共有私道は共有者全員に利用する権利があるため、それぞれが自分の権利を主張して対立するケースが珍しくありません。
権利の実態やトラブルに至る経緯によって法律的な判断も異なるので、当事者同士では解決できない場合がほとんどです。
そのため、私道持分のトラブル解決は弁護士に相談しましょう。
不動産問題に強い弁護士なら、個別の事情にあわせて的確なアドバイスが可能で、共有者との交渉も任せられます。
「弁護士と連携した買取業者」ならトラブル解決から売却まで相談できる
弁護士に相談すれば適切な対処をしてもらえますが、それでもトラブルの解決まで多少の時間や費用はかかってしまいます。
「弁護士に相談するのは面倒」「トラブル解決に時間をかけたくない」という人も多いでしょう。なかには、トラブル解決ではなく「トラブルの起きている不動産の処分」が目的という人もいます。
そのような場合、私道持分のトラブルはそのままで共有持分専門の買取業者に買い取ってもらうという方法がおすすめです。
共有持分専門の買取業者なら、私道持分に関する知識や実績が豊富にあるため、トラブルが起こっていても高額かつスピード買取ができます。
とくに、弁護士と連携している買取業者であれば、私道持分のトラブル解決から売却まで一貫したサポートが可能です。無料査定を利用して、具体的なアドバイスを聞いてみましょう。
私道持分に関するトラブル例と対策
私道持分はトラブルが起きやすいと解説しましたが、具体的にどのようなトラブルがあるのか気になると思います。
そこで、主なトラブル例を5つ紹介し、その対策も解説していきます。
私道持分をすでにもっている人も、これから取得するという人も、これらのトラブル例を知っておけば冷静な対処ができるようになるでしょう。
【トラブル例1】共有者からインフラ工事の許可が下りない
共有持分に関わるトラブルでもっとも多いのは、インフラ工事の許可についてです。
共同所有型ではライフラインの引き込みにともなう工事は管理行為とみなされるため、共有持分の過半数から同意をもらう必要があります。
相互持合型はすでに解説したとおり、ライフラインを埋め込むときに通過するすべての土地所有者の許可が必要になります。
【対策】弁護士と相談しつつ掘削承諾を得る
ライフライン工事は地面を掘り起こす必要があるため、私道の共有者から掘削承諾を得ておきましょう。文字どおり「地面を掘る、および削る行為の承諾」です。
口約束だけでなく、書面に起こして工事内容などを具体的にしておくとよいでしょう。
なかなか承諾を得られない場合は弁護士と相談しながら、粘り強く交渉していく必要があります。
【トラブル例2】共有私道が劣化して通行に支障がある
地面の陥没やひび割れなどによって、共有私道の通行に支障をきたす場合があります。
修繕工事をしようとしても「自分で勝手に工事をしても大丈夫なのか」「だれに許可を取ればよいのか」と悩む人は多いでしょう。
また、だれに修繕責任があるかでトラブルとなるケースも少なくありません。
【対策】共有者と協力して修繕工事をする
共同所有型の場合、部分的な損傷の修繕は保存行為のため単独でおこなえますが、私道全体を舗装しなおす場合は管理行為になるため「私道持分の過半数」からの同意が必要です。
相互持合型では、自分の所有している部分は単独で修繕できますが、範囲が私道全体になる場合は共有者全体の同意が必要になるでしょう。
また、修繕自体は単独で可能でも、工事のための機材や車両の通行に共有者の承諾が必要な場合もあります。
工事の規模に関わらず、共有私道の修繕工事は他の共有者と協力しておこないましょう。
他のだれも修繕に協力してくれない場合は、弁護士と相談しながら共有者と交渉することをおすすめします。
【トラブル例3】共有者が私道の税金や修繕費用を負担しない
私道も不動産の1つなので、所有していると固定資産税がかかります。
相互持合型の場合、各所有者に固定資産税の請求がきます。
一方、共同所有型は代表者に納税通知書が送られ、その人が各共有者から各自の負担分を回収して納税しなければいけません。
税金の負担を拒否されると、ほかの共有者が立替える必要がでてきます。
また、共同所有型も相互持合型も、私道の修繕をおこなった際に共有者が費用を負担しないというケースがあります。
【対策】共有者と交渉しつつ費用軽減の方法も考えてみる
固定資産税も修繕費用も、私道持分に応じて負担するのが原則です。支払いを拒否する共有者に対しては、弁護士と相談しつつ交渉を続けましょう。
また、場合によっては固定資産税や修繕費用を抑えられる公的制度が使えます。
例えば、共有私道が共有者の利用だけでなく、一般の人など不特定多数の通行に必要であると判断されれば、公衆用道路と認められ非課税となります。
自治体によっては共有私道の修繕費用を助成する制度もあるため、役所の窓口で相談してみるとよいでしょう。
【トラブル例4】私道のどこにゴミ捨て場を設置するかで揉めている
「共有私道のどこにゴミ捨て場を設置するか」も、トラブルになりやすい問題です。
臭いや景観の悪さから、自分の家の近くにゴミ捨て場を設置されるのはだれでも避けたいものでしょう。
平和的に解決できればよいのですが、多くの場合は話がこじれてしまいます
【対策】共有者間で話し合い過半数の同意で場所を決める
共同所有型の場合、ゴミ捨て場の設置は管理行為にあたるため共有持分の過半数が同意すれば設置場所を決められます。
しかし、設置される場所に近い家の人から同意を得るなど、充分に話し合って配慮する必要があるでしょう。
相互持合型の場合も、自分の土地にゴミ捨て場を進んで起きたいという人は少ないでしょう。トラブルを回避するためには、共有者で話し合ってなるべく全員が納得する必要があります。
話し合いがうまくいかない場合、ゴミ捨て場に近い家からは設置費用を取らないなどの配慮を検討してみましょう。
【トラブル例5】私道の共有者と連絡が取れない
引っ越しや相続によって、私道共有者の所在がわからなくなるケースは少なくありません。
連絡が取れないと、私道の管理にあたって共有者の同意を確認できません。
連絡が取れないからと勝手に工事などをすると、後で連絡が取れたときにトラブルとなる恐れがあります。
【対策】登記簿や住民票から共有者を調査する
私道共有者の所在地は、登記簿や住民票から調べられます。
登記簿は、法務局で申請すればだれでも閲覧できます。住民票も「義務の履行や権利の行使」といった、正当な理由があれば取得可能です。
実際に調査する際は、各種申請の代行が可能である弁護士に相談するとよいでしょう。
また、共有者が不明な共有私道の売却方法は関連記事で解説しています。こちらもぜひ参考にしてください。
共有者不明の共有私道は売却できる?売却方法や売却先を解説します私道に面した土地を売却するときの注意点
私道に面した土地は、公道に面した土地より売却に注意が必要です。
通行許可や掘削承諾がないと、買主が土地を利用できなくなる恐れがあります。
当然、買主としても私道に面した土地の購入は慎重になるため、通常の不動産売却より売りにくくなるでしょう。
そこで、私道持分や私道に面した土地の売却は、共有持分専門の買取業者に買い取ってもらうことをおすすめします。専門買取業者なら、高額かつスピード買取が可能です。
通行許可や掘削承諾を明確にしておく
すでに解説したとおり、私道持分に関連するトラブルでもっとも多いのが通行許可や掘削承諾についてです。
通行許可で自分の土地に繋がる通路を確保しておかないと、土地の出入りもできません。
私道の共有者と「どのように」「どれくらいの頻度で」通行するのか、明確に取り決めましょう。
掘削承諾は、土地に建物を建てるときのインフラ工事には必須です。「どんな工事をするのか」も含めて、共有者に確認して承諾をもらう必要があります。
通行許可も掘削承諾も、売却前に共有者と話し合い、取り決めを書面に起こしておきましょう。そうすれば、買主も安心して購入できるので私道に面した土地でも売りやすくなります。
私道のみに面している土地は売却価格を低く想定しておく
私道のみに面している土地を売却する場合、売却価格は市場価格より低くなりやすいことに注意しましょう。
ここまで解説したとおり、共有私道の管理には手間や費用がかかるうえ、トラブル発生のリスクも高いといえます。公道に繋がっている土地と比べて、需要が低くなるのは当然です。
単に需要が低いだけではなく、私道の状態によっては銀行の住宅ローン融資を受けにくい場合があります。仮に購入希望者が現れても、住宅ローンを契約できず購入をキャンセルされる恐れがあるでしょう。
高値で売却したいときは「共有持分の専門買取業者」に相談しよう
私道のみに面した土地を売り出しても買主がつきにくく、仮に売れても安価になる恐れが高いといえます。
しかし、いつまでも土地を売却できないと維持費もかかりますし、なるべく早く売却したいという人は多いでしょう。
そこで、私道に面した土地は専門買取業者に買い取ってもらうことをおすすめします。
専門買取業者は土地を直接買い取るので、最短数日で現金化ができます。加えて、私道に囲まれているような土地でも活用ノウハウをもっているので、高額買取が期待できるでしょう。
とくに、弁護士と連携している共有持分専門の買取業者であれば私道持分に関するトラブル解決もサポートできますし、トラブルを抱えたままの土地でも買い取れます。
無料査定を利用して、私道持分のトラブルから私道に面した土地の売却まで、具体的なアドバイスを聞いてみましょう。
私道トラブルのある不動産は買取業者に現状のまま買い取ってもらおう
私道持分に関するトラブル例や、私道に面した土地の売却について解説しました。
共有私道は管理に共有者との話し合いが必須です。補修工事などは勝手におこなわず、共有者と相談しながら共同で実施するようにしましょう。
私道持分に関するトラブルが発生した場合、その私道に面する土地も含めて私道持分を売却してみるのも解決方法の1つです。
共有持分専門の買取業者ならトラブルがある私道持分や土地でも買い取ってもらえるので、ぜひ無料査定で相談してみてください。
私道持分のトラブルに関してよくある質問
私道持分とは、共有私道における各共有者の所有権を表す言葉です。共有私道には2種類あり、1つの私道を複数で共有する「共同所有型私道」と、私道を分筆して単独名義でもちあう「相互持合型私道」があります。私道持分は本来「共同所有型私道」における所有権の割合を示すものですが、便宜上「相互持合型私道」でも各自の所有している私道部分を指す場合があります。
とくに多いのは、共有者からインフラ工事の許可がもらえないケースです。インフラ工事では道路を掘り返すので、各共有者に「掘削承諾」をもらう必要があります。そのほかのトラブルに関しても、共有者との話し合いがうまく進まないためにトラブルとなるケースがほとんどです。
私道の種類と修繕工事の規模によって、必要な共有者の同意数も異なります。共同所有型の場合、私道全体を修繕するには「私道持分の過半数」の同意が必要になります。相互持合型では、私道全体を修繕するには「共有者全員」の同意が必要です。個々の状況によって判断は異なるため、詳しくは弁護士に相談してみましょう。
登記簿や住民票から、共有者を捜索しましょう。自分で調べることも可能ですが、弁護士に依頼すれば捜索に必要な手続きを代行してもらえます。
共有持分専門の買取業者に買い取ってもらうのがおすすめです。とくに、弁護士と連携している買取業者であればトラブルを抱えた私道持分や土地であっても、スムーズかつ高額で買い取ってくれるでしょう。。→弁護士と連携した買取業者はこちら