共有持分を売る時・買う時にもっとも重要視されるのが「売買価格」です。
売主は当然「高く売りたい」と考えますし、買主も「安く買いたい」と思うはずです。
とはいえ「共有持分はいくらで売買するのが適切か?」について、ルールや相場を理解している人は少ないでしょう。
売主側は「共有持分を安く買い叩かれない」ために、買主側は「共有持分を高く売りつけられない」ために、お互いに共有持分の価値を正しく理解しておくことが大切です。
なるべく高値で共有持分を売却したい場合、共有持分の専門買取業者に買取してもらいましょう。無料査定を利用すれば、市場相場やその他のアドバイスも聞くことも可能です。
- 共有持分の売買価格の相場は「共有不動産全体の価格×持分割合×1/2」
- 実際の共有持分の売買価格は売主と買主で相談して決める
- 共有持分の売買価格を知りたい場合、不動産買取業者の査定を受けよう
共有持分の持分割合は「いくら出資したか?」で決まる
はじめに「そもそも共有持分とは何か?」をおさらいしておきましょう。
「共有持分」とは、1つの不動産を複数人で共同所有している「共有不動産」において、それぞれの共有者が所有している断片的な所有権のことです。
つまり、土地や建物を物理的に分けるのではなく、土地や建物の権利だけを分けて、それぞれの共有者へ分け与えている状態になります。
そして、共有不動産に対して「誰がどのくらいの権利を持っているか?」を示す割合、つまり所有している共有持分の大きさを「持分割合」といい、「◯/◯」という形で表します。
・兄の持分割合=1/2
・弟の持分割合=1/2
このとき、それぞれの共有者が所有する持分割合は「共有不動産を取得するためにいくら出資したか?」によって決定します。
持分割合=出資額/不動産の取得にかけた総額
それぞれの共有者の持分割合は次の計算式で求めることができます。
- 持分割合=出資額/不動産の取得にかけた総額
わかりやすいように具体例を使って解説します。
この場合、夫と妻の持分割合は出資額に比例して次のようになります。
・夫の持分割合:700万円/1,000万円=7/10
・妻の持分割合:300万円/1,000万円=3/10
ちなみに「自分の出資額/不動産の取得にかけた総額」よりも持分割合が大きい場合、贈与税が課税されてしまうため注意しましょう。
しかし、夫と妻が平等になるように持分割合を1/2ずつ設定したとします。
・妻が持分割合1/2を取得するために必要な費用=500万円
・実際に妻が出資した費用=300万円
この場合、妻が出資していないはずの200万円は夫から妻への贈与と扱われて、贈与税が課税されてしまいます。
持分割合に応じて認められる行為が変わる
なぜ持分割合が重要視されるのかというと、所有する持分割合の大きさに応じて、それぞれの共有者が共有不動産に対して認められている行為が変わるためです。
行為 | 具体例 | 必要な持分割合 |
---|---|---|
保存行為 | 共有不動産の修理など | 持分割合に関係なく可能 |
管理行為 | 共有不動産の貸し出しなど | 過半数の持分割合が必要 |
変更行為 | 共有不動産の売却など | すべての持分割合が必要 |
例えば、共有持分だけを所有していても、共有不動産自体を売却することはできません。
そのため、共有不動産を自由に扱うために「より多くの持分を取得したい」「持分をすべて取得したい」という需要があるため、共有持分の売買が成立するのです。
持分割合に応じてできる行為・できない行為に関しては、こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
共有持分の割合はどう決まる?計算方法や持分割合に応じてできることを詳しく解説します
共有持分の売買価格の決まり方
共有持分を売却・購入する場合、売買価格はどのように決めるのでしょうか?
過去の不動産売買をみる限り、共有持分の売買価格はある程度の相場が決まっています。
- 共有持分の価格相場=共有不動産全体の価格×持分割合×1/2
とはいえ、最終的には売主と買主で相談して金額を決めるため、共有持分の売買価格はケースバイケースとしかいえません。
この項目では、共有持分の売買価格の相場と価格の決め方について詳しく解説します。
共有持分の価格相場は「共有不動産全体の価格×持分割合×1/2」
共有持分の売買価格の相場は「共有不動産全体の価格×持分割合×1/2」が目安といわれています。
しかし実際には、持分割合1/2の共有持分を売買する場合、売買価格は250万円程度まで安くなってしまうケースが多いです。
先述したとおり、共有持分のみを購入しても共有不動産を自由に扱えるわけではないので、一般的に買主からの需要が少なく売買価格も安くなりやすいのです。
共有不動産よりも面積あたりの単価は安くなりやすい
共有持分だけを所有していても、共有不動産自体は勝手に売却できず、持分割合によっては共有不動産を貸し出すこともできません。
大抵の場合は共有持分を購入しても、共有不動産に出入りできる程度しかメリットがないと考えられます。
つまり、共有不動産に比べて使い道が限られてしまうので、共有持分だけ購入してもコストパフォーマンスが悪いのです。
そのため、共有持分のみを売買する場合、共有不動産を売買する場合に比べて面積あたりの単価が安くなってしまうケースが多いです。
最終的には売主と買主で相談して決める
ここまで解説した共有持分の売買価格はあくまで一般論でしかなく、共有持分の売買価格について法律上のルールもありません。
「いくらで共有持分を売買するか?」は最終的に売主と買主が相談して決定します。
一般的には、共有持分を購入しても使い道が限られるため、買主が「安く売ってほしい」と値切り交渉を求めてくるケースが多いです。
しかし、他の共有者が「絶対に自分の名義にしたい」と考えていれば、相場より高い価格でも持分を購入してくれるケースもあります。
つまり、買主が金額に納得しているのであれば、共有持分も高値で売却できるのです。
共有持分を高値で購入してくれる買主
ちなみに共有持分を高く売りたい場合、次の売却先へ売却するとよいでしょう。
- 一緒に不動産を共有している「他共有者」
- 共有持分を専門に扱う「買取業者」
共有者の中には「共有不動産をすべて買い取って自由に扱いたい」と考えている方も多いので、関係ない第三者へ売る場合よりも高値で購入してくれる可能性が高いです。
また共有持分専門の買取業者であれば、買取した持分を運用して利益をあげる方法を熟知しているので、相場より高値で買取してもらえるケースも少なくありません。
共有持分の売買価格を調べる方法
共有持分を売却・購入する場合、もっとも気になるのが売買価格でしょう。
共有持分の売買価格を調べる場合、大きく分けて2種類の方法があります。
- 不動産買取業者の査定を受ける
- 共有不動産全体の価格を調べて逆算する
基本的には、手間がかからない上に実際の売買価格に近いので、不動産買取業者の査定を受けることをおすすめします。
ただし、持分を購入する買主側の場合、不動産業者の査定を受けられないこともあるので、必要に応じて共有持分の売買価格を自分で計算して予想するとよいでしょう。
それぞれの方法について、1つずつ解説していきます。
1.不動産買取業者の査定を受けるのがベスト
「不動産業者」には、一般人同士の不動産売買を取り持つ「仲介業者」と、自社で不動産を買取する「買取業者」の2種類があります。
「共有持分がいくらで売れるか?」を正確に知りたい場合、買取業者の査定を受けましょう。
買取会社の査定を受ければ、最新のデータを参考に共有不動産の立地や条件も加味して、あなたの共有持分の価値を正しく評価してもらえます。
また買取業者であれば、査定額どおりの価格で共有持分を売買できますし、買主を探す手間もかからないため、そのまますぐに共有持分を買取してもらうことも可能です。
メールや電話で無料査定を受けられる買取業者がほとんどなので「まだ共有持分を売るか迷っている」という方も、一度査定を受けてみるとよいでしょう。
査定額どおりに買取してもらえる
買取業者の査定を受ける最大のメリットは、査定額と買取価格が相違ないことです。
同じ不動産業者でも仲介業者の査定額は、あくまで仲介業者が予想した売買価格であり、実際の売買価格は買主と相談して決めるため、査定額と売買価格は異なります。
しかし、買取業者は自社で共有持分を買い取るので、提示した査定額どおりの値段で共有持分を買取してもらえます。
複数社で査定を受けると高値がつきやすい
共有持分を高値で査定してもらいたい場合、複数の買取業者で査定を受けましょう。
1社しか査定を受けない場合、その買取業者の査定額が適正かどうかわからないため、相場より安く査定されてしまうかもしれません。
複数の買取業者で査定を受ければ、1社が安くても他社の査定額が高い場合、高値をつけてくれる業者を選んで、高く売ることができます。
また複数社の査定額を比較することで、売りたい共有持分の正しい相場もわかります。
査定額が高いのは「共有持分専門の買取業者」
共有持分の売買価格を調べるときは「共有持分専門の買取業者」で査定を受けると高値をつけてもらいやすいです。
大手不動産業者など、共有持分の扱いに慣れていない買取業者の場合、持分を買取しても利益が出ないため、安く査定されたり買取拒否と判断されるケースも少なくありません。
一方、共有持分専門の買取業者であれば、共有持分を運用して利益をあげるノウハウを熟知しているので、問題なく買取できるだけでなく高値で査定してもらいやすいです。
例えば、共有持分専門の買取業者の中には弁護士と提携している業者もあり、次のような方法で買取した共有持分を有効活用しています。
- 他共有者の持分もすべて買い取って、不動産全体を自社所有にする
- 弁護士と協力して他共有者を説得することで、共有不動産を高値で売却する
ほとんどの「共有持分専門の買取業者」は無料査定をおこなっているので、価格の目安を調べるためにも、身軽に査定を申し込んでみましょう。
2.共有不動産全体の価格を自分で調べて逆算する
もう1つの方法として、共有不動産全体の売買価格を自分で調べて、そこから逆算することで共有持分の価格を予想する方法があります。
不動産売買の目安として、国や地方自治体では次の3種類の金額を公表しています。
種類 | 金額 |
---|---|
実勢価格 | 査定額と同等 |
公示地価 | 査定額より約10%安い |
基準地価 | 査定額より約10%安い |
これらの金額から共有不動産全体の価格を調べて「共有不動産全体の価格×持分割合×1/2」へ当てはめることで共有持分の売買価格を予想できます。
ただし、これらの金額はあくまで共有不動産のあるエリアの相場や過去のデータから算出した大まかな目安でしかありません。
ケースごとに金額を算出している買取業者の査定に比べて、実際の売買価格とかけ離れてしまう可能性が高い点は理解しておきましょう。
3種類ある金額について、概要や調べ方を1つずつ解説していきます。
1.過去の売買における平均額「実勢価格」
実勢価格とは、過去にあった不動産売買のデータから国が算出した平均価格のことです。
過去に不動産売買がおこわれた場合はその取引金額を実勢価格として、取引がない場合は周辺の取引事例などから実勢価格を推定します。
過去にあった不動産売買から算出するため、実際の売買価格には比較的近いですが、すべての不動産売買を調査している訳ではないので、あくまで参考価格でしかありません。
実勢価格については、国土交通省のホームページから閲覧できます。
参照:「不動産取引価格情報検索」(国土交通省)
2.国が調べた土地価格の相場「公示地価」
「公示地価」とは、土地売買における取引価格の目安にするために国が公表している土地の価格指標です。
国が選定した「標準地」という土地の毎年1月1日時点での地価を不動産鑑定士が調査して、毎年3月下旬に発表しています。
ただし、あくまで国が定めた標準地の価格指標であり、自分の共有不動産が標準地からから遠い場合、公示地価はあまり参考になりません。
過去の調査でも、実勢価格と公示価格に1.5倍以上も差が出た事例もあるため、実際の共有不動産の売買価格とはかけ離れているケースが多いです。
実勢価格:坪単価167.5万円(2009年の年間平均)
公示地価:坪単価99.5万円(2010年1月1日時点)
乖離率:168.3%
参照:不動産マーケット情報(三井住友トラスト不動産)
公示地価についても、国土交通省のホームページから確認できます。
参照:「地価公示・都道府県地価調査」(国土交通省)
3.都道府県が調べた土地価格の相場「基準地価」
「基準地価」とは、土地取引をおこなう際の目安として、国土利用計画法施行令に基づいて各都道府県が発表している適正価格です。
各都道府県が選んだ「基準地」という土地の毎年7月1日時点での価値を不動産鑑定士が評価して、毎年9月下旬に発表されます。
標準地と基準地は重複することもあるため、公示地価と基準地価が両方発表される土地もありますが、自分の共有不動産と基準地が近くない限り基準地価は参考になりません。
基準地価は各都道府県のホームページや図書館などで閲覧可能です。
参照:「東京都基準地価格」(東京都財務局)
高値がつきやすい共有持分の特徴
せっかく共有持分を売るのであれば、なるべく高値で売却したいところです。
どのような共有持分であれば、高値で取引されやすいのでしょうか。
過去の不動産売買の実績をみると、次のような共有持分は高値で売買されやすい傾向にあります。
- 所有している持分割合が大きい
- 他共有者が共有不動産の売却に同意している
基本的に持分割合が大きいほど、共有不動産へ認められる行為が多いため、高値で売買されやすいです。
また持分割合が小さい場合でも、他共有者が共有不動産の売却に同意していれば、持分割合が同じでも通常より高額で売買されます。
この項目では、高値がつきやすい共有持分の特徴をみていきましょう。
所有している持分割合が大きい
持分割合が大きいほど、単純に共有不動産に対する権利が大きくなるだけでなく、共有者が共有不動産へおこなえる行為も増えるため、高額で売買される傾向にあります。
このとき「持分割合が過半数あるか?」によって共有持分の売買価格は大きく変わります。
持分割合の過半数があれば、その共有者は共有不動産に関する賃貸契約を自由に結ぶことができます。
そのため、持分割合が過半数を超える場合、通常の共有持分に比べて、大幅に高値で売買される可能性が高いです。
他共有者が共有不動産の売却に同意している
基本的に共有持分だけを売るより、共有不動産そのものを売却したほうが面積あたりの単価が高いです。
ですので、他共有者が共有不動産の売却に同意している場合、共有不動産の売却額を持分割合に応じて分配した金額が得られるため、共有持分が高値で売買されやすいです。
この場合、共有不動産を売却すると、売却益の1,000万円はそれぞれの共有者へ500万円ずつ分配されます。
そのため、お互いに共有不動産の売却に同意していれば、持分割合1/2の共有持分を500万円前後で売買できる可能性が高いです。
とはいえ、共有者全員が共有不動産の売却に同意しているケースは少ないので、そうした場合は共有持分専門の買取業者へ依頼して説得してもらうとよいでしょう。
買取業者の説得によって他共有者が売却に納得してくれるケースも多く、売却を反対されていた当初の査定額より高値で共有持分を買取してもらえる可能性もあります。
共有持分の価値がわからないときは専門の買取業者に相談しよう
この記事では、共有持分の売買価格がいくらになるかを解説しました。
共有持分の売買価格の相場は「共有不動産全体の価格×持分割合×1/2」で算出できます。
ただし、共有持分の売買価格の決め方は法律上のルールがあるわけではないので、最終的には売主と買主で決めた金額が売買価格になります。
より正確に「自分の共有持分がいくらで売れるか?」を知りたい場合、とりあえず共有持分専門の買取業者へ相談することをおすすめします。
ただし、買取業者によって査定額はもちろん査定にかかる時間も異なるため、1社ではなく複数の買取業者で査定を受けるとよいでしょう。
共有持分についてよくある質問
共有持分の売買価格には、ある程度の価格相場もありますが、最終的には売主と買主が相談して売買価格を決定するので、ケースバイケースです。
共有持分の価格相場は「共有不動産全体の価格×持分割合×1/2」です。ただし、売却相手や不動産の条件によっては、高額で売却できる可能性もあります。
所有している持分割合が大きい共有持分や、他共有者が共有不動産の売却に同意している共有持分は買主側のメリットが大きいため、高値で売買される傾向にあります。
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他の不動産会社が買取を断った物件でも「共有持分専門の買取業者」なら、売却できる可能性があります。共有不動産は権利関係が複雑なため、コストを気にする会社では取り扱いを断る場合があるのです。共有持分の専門買取業者なら共有持分に関するノウハウがあるので、積極的に買い取ってもらえます。