共有物分割請求とは、共有不動産の分割を他共有者に求める手続きで、共有持分をもっていれば、持分割合に関係なく誰でも共有物分割請求が可能です。
共有物分割請求が起こると、共有者全員で共有不動産の分割に関する話し合い、あるいは裁判をおこなう必要があります。
共有者同士で和解ができない場合、最終的には裁判で「共有不動産の競売」の判決が出されます。
競売の落札価格は、一般的な市場価格より大幅に安くなるのが一般的なので、競売で共有不動産を手放すより、自分の共有持分のみ売却したほうが高値で売れる可能性が高いでしょう。
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- 共有物分割請求が起きると、共有者同士の話し合い・第三者を介した話し合い・裁判の順に進行する。
- 共有不動産の分け方には「現物分割」・「代償分割」・「換価分割」の3種類がある。
- 共有不動産を手放してよい場合「持分売却」で他共有者と話し合わずに共有関係を解消できる。
「共有物分割請求」とは共有関係の解消を求める話し合い
共有不動産は自分ひとりでは売ることや貸すことができないため、できることなら「共有不動産を単独名義不動産にしたい」あるいは「自分の持分だけお金に変えてしまいたい」と感じている方は多いですよね。
そこで「他の共有者との共有関係を解消したい」と思っても「どのように共有不動産を分割するか?」や「いくらで共有持分を買い取るか?」で揉めることも少なくありません。
共有者同士の話し合いだけでは解決できず、第三者に仲介してもらったり、裁判が必要になる場合もあります。
そうした共有不動産の分け方を決める話し合いをまとめて「共有物分割請求」といいます。
まずは「共有物分割請求」がどのような流れで進んでいくのか、確認していきましょう。
「共有物分割請求」は3段階で進行していく
共有者が共有関係の解消を求めることで「共有物分割請求」がスタートします。
共有不動産の共有者には、以下のように「共有不動産を分割したい旨を主張できる」権利が法律で認められているため、いつ「共有物分割請求」が起きてもおかしくありません。
民法第256条
1.各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。(中略)引用:e-Govポータル「民法第256条」
「共有物分割請求」が起きると、以下のような3ステップで進行していきます。
- 「共有物分割協議」=共有者のみで話し合う
- 「共有物分割調停」=調停委員を介して再び話し合う
- 「共有物分割請求訴訟」=裁判官に最終判断を委ねる
それぞれのステップを、実際の流れと同じ順番で解説していきます。
①共有者のみで話し合う「共有物分割協議」
共有者が共有不動産の分割を求めると、まずはじめに「共有物分割協議」が起こります。
「共有物分割協議」とは、共有者同士での話し合いです。
「共有不動産をどのような形に分けるのか?」や「そもそも共有不動産を分割するのか?」などの点について、共有者のみで話し合いをします。
ただし、あくまでも話し合いに過ぎないため、共有者全員の合意が得られない限り「共有物分割協議」では共有不動産を分割できません。
②調停委員を含めて話し合う「共有物分割調停」
共有者同士の話し合いで解決しない場合、つづいて「共有物分割調停」に進みます。
簡易裁判所に「共有物分割調停」を申し立てることで、今度は裁判所の「調停委員」を含めて、再び共有者同士で共有不動産の分け方について話し合いができます。
裁判所の調停委員を間に入れて各共有者の主張を整理できるので、共有者のみで話し合う「共有物分割協議」よりは結論がまとまりやすいです。
しかし、「共有物分割調停」も話し合いに過ぎないため、共有者全員の合意が得られない限り、共有不動産を分割できない点は「共有物分割協議」と変わりありません。
そのため「共有物分割調停」をスキップして、共有者同士の話し合いから「共有物分割請求訴訟」の裁判に直接進むことも可能です。
③共有物の分け方を裁判所に決定してもらう「共有物分割請求訴訟」
調停委員を間に挟んでも共有不動産の分け方が決まらない場合、最終的に「共有物分割請求訴訟」で解決します。
地方裁判所に「共有物分割請求訴訟」を申し立て、共有不動産の分け方を裁判官に決めてもらいます。
裁判所の判決には法的拘束力があるため、各共有者は「共有物分割請求訴訟」で決められた共有不動産の分け方に従わなければなりません。
どうしても話し合いでは解決できない場合に、強制的に共有不動産の分け方を決められる最終手段が「共有物分割請求訴訟」と覚えておくとよいでしょう。
最終的に共有不動産を物理的または金銭的に分ける
共有者間の話し合いで結論が出たり、裁判の判決で解決方法が示されると、さまざまな形で共有関係が解消されます。
たとえば広い土地など、共有不動産を物理的に分けられる場合、それぞれの共有者の単独名義不動産として分配します。
ただし、すべての家や土地が物理的に分割できるとは限りません。
ですので分譲マンションなど、共有不動産が物理的に分けられない場合、共有者間で金銭を授受することで解決します。
また、裁判所の判決によっては、共有不動産が競売にかけられることも少なくありません。
いずれの方法にせよ「共有物分割請求」することで、共有不動産を物理的あるいは金銭的に分割して、各共有者で分け合うことが可能です。
「共有物分割請求訴訟」と「遺産分割審判」は別物
よく誤解されることが多いですが、遺産分割の際におこなわれる「遺産分割審判」と「共有物分割請求訴訟」は別物です。
相続前の不動産は故人の物なので、自分にも他の被相続人にも所有権がないため、ここまで紹介した共有不動産とは扱いが異なります。
相続前の不動産の分け方で揉めている場合「共有物分割請求訴訟」ではなく「遺産分割審判」を申し立てましょう。
「共有物分割請求」における分割方法は主に3パターン
「共有物分割請求」が起こると、最終的に共有不動産はどう分けられるのでしょうか。
「共有物分割請求」による共有不動産の分け方は主に3つです。
- 「現物分割」=共有不動産を物理的に分ける
- 「代償分割」=共有者間で金銭を授受する
- 「換価分割」=共有不動産を売却して分け合う
より具体的にいうと、すべての共有者に不動産が分け与えられるパターンや、誰かひとりが不動産を丸ごと買い取るパターン、すべての共有者が不動産を手放すパターンなど、さまざまな分け方があります。
3パターンある共有不動産の分け方を、それぞれ見ていきます。
①共有不動産そのものを物理的に分ける「現物分割」
まず1つ目の方法は、共有不動産そのものを物理的に分ける「現物分割」です。
「文筆」という手続きで、ひとつの共有不動産を複数の単独名義不動産に分けてから、それぞれの共有者に分配する方法になります。
以下のように、持分割合に応じて不動産を分けるため、持分割合の多い共有者ほど、大きい不動産を取得できるのが一般的です。
たとえば、100㎡の土地をAさん1/2:Bさん1/2という持分割合で所有していたとします。
この場合、50㎡と50㎡の2つの土地に分けた上で、Aさん・Bさんそれぞれが50㎡の土地を受け取ります。
わかりやすくいうと、共有不動産を誕生日ケーキのように各共有者で分けるイメージです。
②共有者同士で金銭をやりとりする「代償分割」
2つ目の方法は、共有者同士で金銭をやりとりして共有関係を清算する「代償分割」です。
すべての共有者が必ずしも共有不動産を必要としているとは限らず、共有不動産を売りたい人や手放したい人も少なくありません。
しかし、対価を得ずに無償で共有不動産を譲ってしまうと、手放した側の共有者は一方的に損をしてしまいます。
また、共有不動産を「現物分割」しても、各共有者に分けられる不動産は異なるため、得をする人と損をする人が出てしまう恐れもあります。
そうした場合、金銭を介して各共有者間の差を埋めることで、全員が損しないように共有不動産を分ける方法が「代償分割」です。
共有不動産を文筆して分けるか、誰かひとりが買い取るかによって、「代償分割」は2パターンに分けられます。
- 「一部価格賠償」=共有不動産を分けて対価を支払う
- 「全面的価格賠償」=共有不動産そのものを1人が買い取る
それぞれのパターンを見ていきます。
共有不動産を分けつつ差額を払う「一部価格賠償」
共有不動産を現物分割することで、それぞれの価値に過不足が起こる場合「一部価格賠償」をおこないます。
「一部価格賠償」とは、共有不動産を現物分割してから、大きさや条件から生まれる差額を金銭で支払って過不足を解消する分割方法です。
たとえば、100㎡の土地をAさん50㎡:Bさん50㎡で均等に分けたとします。
しかし、Aさんの土地は日当たりのよい南向きの土地、Bさんの土地は日当たりの悪い北向きの土地と分けてしまうと、それぞれの土地の市場価値に差が出てしまい、平等ではありません。
この場合、AさんからBさんに対して、それぞれの土地の市場価値の差額が支払われることになります。
要約すると「現物分割」で分けた不動産の個体差を金銭で埋めるイメージになります。
1人が持分をすべて買い取る「全面的価格賠償」
「共有不動産を取得したい」という共有者が1人だけの場合「全面的価格賠償」をおこないます。
「全面的価格賠償」では、共有者のうち誰かひとりが他共有者の持分を全て買い取ることで、単独名義不動産として取得します。
たとえば、1,000万円の土地をAさん1/2:Bさん1/2で共有していたとします。
しかし、土地の上にはAさんの建物があるので、物理的に分けることは難しいです。
さらに、Bさんも必要ないというので、Aさんが土地を全て取得することになりました。
この場合、AさんからBさんに対して、持分の価値に相応する金額500万円が支払われることになります。
共有者のひとりがばらばらの権利となっている共有持分を全て買い集めて、1つの不動産として取得し直すイメージです。
③共有不動産を売却して利益を分け合う「換価分割」
3つ目の方法は、共有不動産そのものを売却して利益を分け合う「換価分割」です。
すべての共有者が「共有不動産を必要ない」と感じていて、売却に納得した場合に多く取られる方法です。
「換価分割」では、共有不動産を分割せずにそのままの形で売却してから、共有者全員で売却益を分け合います。
誰ひとり共有不動産を取得することなく、全員が共有不動産を手放すので、もっとも平等な分け方が「換価分割」といえるでしょう。
売却益は持分割合に応じて分配される
「換価分割」による売却益は、それぞれの持分割合に応じて分配されることが多いです。
たとえば、3,000万円の価値がある土地をAさん1/3:Bさん1/3:Cさん1/3で共有していたとします。
この場合、土地を丸ごと売却してから、売却益3,000万円をAさん1,000万円:Bさん1,000万円:Cさん1,000万円で分け合います。
結果的に、売却益を持分割合に応じて正当に分ける代わりに、すべての共有者が共有不動産の権利を手放すことになります。
裁判所命令の競売にかかるケースも存在する
ちなみに「換価分割」の売却方法には2種類あり、共有者自らが不動産業者などに売却するパターンと、裁判所の判決で競売にかけるパターンがあります。
- 【換価分割での共有不動産の売却方法】
- 共有者自らが買主を探して売却する
- 裁判所命令で競売にかけられる
以下のように「現物分割」が難しいと判断される場合、裁判所命令で「換価分割」の判決が下されることが多いです。
- 【換価分割されやすい共有不動産】
- 物理的に現物分割できない共有不動産
- 現物分割すると価値が損なわれてしまう共有不動産
競売にかけられた場合、不動産業者に売却する場合に比べて、売却益が70%~80%にしかならない恐れもあるため注意しましょう。
合理的必要のない共有物分割請求訴訟は「棄却」される
「共有物分割請求訴訟」で判決が出れば、共有不動産を強制的に分割できますが、ごく稀に棄却されるケースも存在します。
以下のように、共有不動産を分割する必要性が感じられなかったり、共有不動産を分割することで生活に支障のあるケースでは、請求が棄却されることも少なくありません。
- 【共有物分割請求訴訟が棄却されるケース】
- 共有不動産を分割されてしまうと住む場所がなくなる共有者がいる場合
- 代償分割しても他共有者に対価を支払う資力がない場合
- 共有物分割請求している側の持分割合が明らかに少ない場合
実際の裁判でも、以下のように共有物分割請求訴訟が棄却された判例があります。
いわゆる全面価格賠償の方法により共有物を分割することの許される特段の事情の存否について審理判断することなく競売による分割をすべきものとした原審の判断に違法がある
引用:裁判所ウェブサイト最高裁判所 判例( 平成10年2月27日)
ですので「共有物分割請求」したからといって、確実に共有関係が解消できるとは限らないため注意しましょう。
「共有物分割請求訴訟」の裁判を起こす手順と判決までにかかる期間
「共有関係を解消したいけれど、共有物分割請求訴訟の起こし方がわからない・・・」という方は少なくありません。
また「他の共有者から共有物分割請求訴訟を起こされて、どう対応すればよいか困っている・・・」という悩みもよく聞かれます。
しかし「共有物分割請求訴訟」を起こされてから何も対応しないと、相手側の主張が通りやすく裁判で不利になってしまう恐れがあります。
そうならないためにも「共有物分割請求訴訟」を起こすための手順と、その後の裁判の進み方を確認しておきましょう。
訴訟を起こすには訴状などの必要書類を用意しよう
「共有物分割請求訴訟」を起こす場合、まずは共有不動産の所在地を管轄する地方裁判所に申立てをします。
まずは地方裁判所に提出する「共有物分割請求訴訟」の必要書類を用意しましょう。
- 【共有物分割請求訴訟の必要書類】
- 訴状
- 固定資産税評価証明書
- 不動産登記事項証明書
ただし、裁判所に請求したい内容によって、必要書類が異なるため注意が必要です。
たとえば「現物分割」を求める場合、分割することで価値が下落しないかなどを証明するため、測量士による現物分割案の図面などが必要になります。
また「代償分割」を求める場合であれば、価格の適切性を示す資料や、支払い資力があることを証明する書類が必要です。
必要書類を添付した訴状を地方裁判所へ提出して訴訟が開始される
「共有物分割請求訴訟」を起こすには、用意した必要書類を地方裁判所へ提出しなければなりません。
ただし、提出書類に必要事項を記入しなければならない場合があるため注意しましょう。
たとえば、提出する訴状には「どのように共有不動産を分割したいか」や「なぜ共有不動産を分割したいのか」といった内容を記入します。
- 【訴状に記載する内容】
- 自分と他共有者の住所や氏名
- 共有物分割請求の趣旨
- 共有物分割請求の原因
これら必要書類の提出をもって「共有物分割請求訴訟」がスタートします。
もし訴状の書き方や提出する書類が分からないようであれば、弁護士に相談するとよいでしょう。
共有物分割請求訴訟の判決までにかかる期間は約6カ月
訴状を提出することで「共有物分割請求訴訟」が開始されると、それぞれの共有者が書類提出や出廷をおこない、裁判で共有不動産の分け方が議論されます。
ただし「共有物分割請求訴訟」で共有不動産の分け方が決まるまでには、約6カ月かかるため早急に解決したい方は注意が必要です。
ここからは「共有物分割請求訴訟」の裁判がスタートした後の流れを見ていきます。
訴状提出から約1カ月で「第1回口頭弁論」が開かれる
「共有物分割請求訴訟」がはじめると、まずは訴状提出から約1カ月後に「第1回口頭弁論」が開かれます。
口頭弁論とは、それぞれの共有者の主張を裁判官が聴くために開かれる話し合いのことです。
自分が訴訟される側の場合「第1回口頭弁論」の期日を伝えるために呼出状と答弁書が送られてきます。
ですので、第1回口頭弁論の1週間前までに、自分の主張したい内容を記入した答弁書を裁判所へ送付しましょう。
「共有物分割請求訴訟」は出廷しなくても問題ない
「共有物分割請求訴訟」は必ず出廷しなければならない訳ではありません。
出廷が必要になるのは、どちらの発言が正しいか裁判官が判断できない場合のみです。
共有物分割請求訴訟においては事実関係が食い違うことは少ないため、ほとんどのケースは答弁書を送付するだけで問題ありません。
ただし、出廷しない場合は裁判で不利になり、相手の主張が通りやすくなる可能性もあるため注意しましょう。
判決が出れば強制的に共有不動産を分割できる
「共有物分割請求訴訟」では、口頭弁論での発言内容や提出された答弁書の内容から、各共有者の主張を汲み取って、裁判官が共有不動産の分け方を検討します。
そして最終的に、訴状提出から約6カ月ほどで、共有不動産の分け方を決める判決が裁判官から言い渡されます。
もし判決に納得しない共有者がいても、裁判官の判決には法的な拘束力があるため、強制的に共有不動産の分割が可能です。
、一度言い渡された判決を覆すことはむずかしいため、共有不動産を手放したくない方は注意しましょう。
「共有物分割請求訴訟」を起こすために必要な裁判費用は3種類
共有物分割請求訴訟を起こすには、さまざまな裁判費用も必要になります。
具体的には、以下のような費用を負担しなければなりません。
- 【共有物分割請求訴訟を起こすために必要な費用】
- 貼用印紙額=数万円程度
- 予納郵便料=6,000円程度
- 分割する共有不動産の鑑定費用=20~30万円程度
それぞれの費用について、1つずつ解説していきます。
訴訟にかかる手数料「貼用印紙額」の計算方法
まず1つ目は、共有物分割請求訴訟にかかる手数料である「貼用印紙額」です。
共有物分割請求訴訟を起こすために必要な申立手数料は、現金ではなく「収入印紙」という形式で送付します。
この収入印紙については、訴状に貼って送付されるため「貼用印紙」とも呼ばれます。
貼用印紙の価格は裁判によって異なるため、計算方法を覚えておくとよいでしょう。
貼用印紙代を求めるには相手に請求する価格「訴訟物の価額」を計算する
「貼用印紙額」を求めるには、まず「訴訟物の価額」を知る必要があります。
「訴訟物の価額」とは、裁判で請求する物や金銭の価格のことです。
「共有物分割請求訴訟」の場合であれば、共有不動産の固定資産税評価額を元に「訴訟物の価額」が求められます。
ただし、共有不動産の固定資産税評価額がそのまま「訴訟物の価額」になるわけではなく、土地か建物かによっても金額が異なります。
- 【共有物分割請求訴訟における訴訟物の価額】
- 土地の場合 = 共有不動産全体の固定資産評価額 × 1/6 × 持分割合
- 建物の場合 = 共有不動産全体の固定資産評価額 × 1/3 × 持分割合
分割したい共有不動産の「固定資産税評価額」は、以下の方法で確認できます。
- 【固定資産税評価額の確認方法】
- 毎年送られてくる固定資産税の「納税通知書」
- 市役所で取得できる「固定資産税評価証明書」
「固定資産税評価額とは何か」などをより詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
【共有持分の価格を知ろう】共有不動産の評価基準を徹底的に解説します!訴状提出にかかる印紙の価格「貼用印紙額」を求める
「共有物分割請求訴訟」をおこなう場合「訴訟物の価額」を元に計算できる「貼用印紙額」が必要です。
あくまで一例ですが、以下のように「訴訟物の価額」に応じた「貼用印紙額」が決められています。
訴訟物の価額 | 貼用印紙額 |
---|---|
10万円以下 | 1,000円 |
90万円~100万円 | 1万円 |
480~500万円 | 3万円 |
950~1,000万円 | 5万円 |
「訴訟物の価額」がわかることで、対応する「貼用印紙額」を求められます。
上記にない「訴訟物の価額」と「貼用印紙額」の対応表は、裁判所のホームページを参考にしてください。
貼用印紙額と同額の「収入印紙」を購入する
「貼用印紙額」が算出できたら、同じ金額の「収入印紙」を購入しましょう。
「収入印紙」とは、現金の代わりに送付するための証書で定額小為替や小切手のようなものです。
低額の「収入印紙」であればコンビニでも購入できますが、裁判費用などの高額な「収入印紙」は郵便局で購入する必要があるため注意しましょう。
こうして購入した「収入印紙」は、「訴状」に貼り付けて地方裁判所へ提出します。
裁判所が各共有者に書類送付するための「予納郵便料」
2つ目は、裁判所が各共有者に書類を送付するための「予納郵便料」です。
「共有物分割請求訴訟」では、口頭弁論の開催を伝える呼出状や答弁書など、裁判所から各共有者に書類が送付されます。
こうした裁判に必要な書類を送付するための費用は「共有物分割請求訴訟」を起こす原告が負担しなければなりません。
予納郵便料の収め方は郵便切手で収めなければならない裁判所が多いですが、現金で収められる裁判所もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
予納郵便料は裁判所によって異なるが6,000円前後が多い
「共有物分割請求訴訟」のために収める予納郵便料は全国一律ではなく、各裁判所ごとに料金が異なります。
予納郵便料は約6,000円ほどかかる場合が多く、共有者の人数が増えるごとに約2,000円ほど増えます。
ただし、書類が何度も送付される裁判などでは、追加で予納郵便料が請求される場合もあるため注意しましょう。
金額は裁判所のホームページからも確認できるので「共有物分割請求訴訟」を起こしたい裁判所の予納郵便料を確認しておくとよいでしょう。
分割したい共有不動産の価格を調べる「不動産鑑定費用」
そして3つ目が、分割したい共有不動産の市場価値を調べる「不動産鑑定費用」です。
たとえば、共有不動産を「代償分割」したい場合、共有不動産の市場価値がわからないと支払うべき対価を決めることができません。
ですので「共有物分割請求訴訟」では、共有不動産の市場価値を調べるために「不動産鑑定士」という専門家に鑑定を依頼します。
このときの不動産鑑定費用も「共有物分割請求訴訟」を起こす原告が負担しなければなりません。
不動産鑑定費用の相場は約20~30万円
不動産鑑定をおこなう場合、国家資格保有者である不動産鑑定士がさまざまな知識や法律を基に不動産の価値を判断するため、それ相応の費用がかかります。
依頼する不動産鑑定士によって異なりますが、以下のように20~30万円ほどかかる場合が多いです。
鑑定したい不動産 | 鑑定費用の相場 |
---|---|
土地のみ | 20万円~ |
戸建住宅の建物のみ | 20万円~ |
戸建住宅の土地と建物 | 25万円~ |
マンション | 30万円~ |
ちなみに公平を期すために依頼する不動産鑑定士は裁判所が決定するため、不動産鑑定費用を抑えることは不可能と考えておきましょう。
手間なく共有関係を解消したいときは「持分売却」がおすすめ
ここまで解説したとおり「共有物分割請求」には手間や費用がかかります。
とくに「共有物分割請求訴訟」に発展してしまうと、裁判費用だけでも数万円はかかるため経済的負担は少なくありません。
しかし、持分を専門買取業者に売却してしまえば、他の共有者と話し合うことなくスムーズに共有関係を解消できます。
「共有物分割請求」を行わずに共有不動産を解消できる「持分売却」の方法を解説します。
「共有物分割請求」を起こさずに共有関係を解消できる
あまり知られていませんが、共有不動産そのものはなく「共有持分」のみであっても売買が可能です。
このように自分の持分を買取業者などに売ることを「持分売却」といいます。
持分売却をすると、以下のように自分の持分が買取業者に移ります。
Aさん5/10:Bさん3/10:Cさん2/10の持分割合で、不動産を共有していたとします。
ここでCさんがD社に持分売却すると、Aさん5/10:Bさん3/10:D社2/10の共有不動産となり、Cさんは共有関係から抜けられます。
さらにD社から買取価格が支払われるので、Cさんは持分を現金化しつつ、共有関係を解消できるのです。
自分の持分に応じた金額を得られるので「換価分割」や「全面的価格賠償」と同じように持分を現金化できます。
共有不動産を手放しても構わないのであれば「持分売却」を検討するのもよいでしょう。
自分の持分は他共有者の許可なく自由に売却できる
自分の持分だけであれば、他の共有者の合意を得ずに、自由に売却できます。
さらに売却することを伝える必要もないため、他の共有者に知られることなく持分売却することも可能です。
他の共有者と話し合う「共有物分割請求」と比べて、はるかに手間なくスムーズに共有関係を解消できます。
ただし一般的な不動産業者では、共有持分を買取拒否されたり、安値で買い叩かれたりすることも少なくありません。
ですので、他の共有者と関わらずに共有関係を解消したい方は、共有持分専門の買取業者に相談するとよいでしょう。
以下の記事で、共有持分の売却を専門とする不動産会社を紹介していますので、参考にしてみてください。
【共有持分の買取業者おすすめ27選!】共有名義不動産が高額買取業者の特徴と悪質業者の見極めポイント!共有物分割請求は専門家に相談するのがベスト
この記事では「共有物分割請求が起きるとどうなるか」について解説しました。
「共有物分割請求」が起きてしまうと、他の共有者との交渉による精神的負担や、裁判に発展した際の金銭的負担は避けられません。
ですので、手間なく共有関係を解消したいのであれば、できる限り裁判に発展する前に「持分売却」で解決したいところです。
一方で、共有不動産を丸ごと取得したい場合や自分の持分を手放したくない場合は、弁護士に依頼して裁判を有利に進める必要があります。
このように共有関係を解消したいと思っても、共有不動産を必要か否かによって最適な方法が異なります。
- 【共有関係のベストな解決方法】
- 不動産の権利がほしい人=弁護士への相談がおすすめ
- 共有不動産は必要ない人=専門買取業者への相談がおすすめ
ですので、他の共有者との共有関係を解消したいのであれば、まずは「共有不動産が必要かどうか」を検討して、弁護士または専門買取業者へ相談するとよいでしょう。
共有物分割請求についてよくある質問
共有持分をもつ人が、他の共有者に対して「共有物の分割」を求める行為です。共有物分割請求は拒否できないため、だれかが請求したら必ず分割に向けた話し合いをする必要があります。
共有不動産を売却して売却益を分割する「換価分割」や、共有者間で持分売買をおこなう「代償分割」のほか、不動産を切り分けて単独名義にする「現物分割」があります。
訴訟に発展し、裁判によって分割方法が決定されます。また、裁判でも和解できない場合は、共有不動産を競売にかける強制的な換価分割がおこなわれます。競売は通常の売却より価格が安くなるので、競売にかけられる前に和解したほうがお得といえるでしょう。
訴訟に至るまでの経緯や個別の事情にもよりますが、判決までにかかる期間は約6カ月です。
自分の共有持分だけ売却すれば、最短数日で共有状態を解消できます。共有持分を専門としている買取業者のなかでも「弁護士と連携している専門買取業者」なら、高額買取やトラブル解決のサポートが可能です。→弁護士と連携した買取業者はこちら