【建物があっても大丈夫】共有の土地のみを売却するために知っておくべき権利と検討すべき売却先

建物 共有土地のみ売却

「建物は売らずに、土地の共有持分だけを売却したい」と考える方もいると思います。状況としては、土地の持分を売却した後も住み続けたいときや、建物が別名義であるときなどがあげられるでしょう。

この問題は「建物の所有者は変えずに土地だけを売れるのか」と「共有持分のみで売れるのか」の2つに分けて考えるとわかりやすくなります。

この記事では上記の2点を押さえながら、建物はそのままに共有土地のみを売却するための基礎知識を解説していきます。

この記事のポイント!
  • 「建物はそのままに共有の土地のみ売却」は可能だが、需要は低い。
  • 共有の土地のみを売却するには権利関係の整理が大切。
  • 売却先は「共有者」「借地人」「専門買取業者」の3つ。
目次
  1. 「建物はそのままで土地の共有持分だけを売却」は可能だが市場価値は低くなる
  2. 共有の土地を売るには所有権以外の「不動産の権利」を理解しよう
  3. 本来の価値をなるべく損なわずに共有の土地を売るときの売却先候補
  4. 市場価値の低くなりがちな共有持分も権利関係を整理すれば高額で売れる

「建物はそのままで土地の共有持分だけを売却」は可能だが市場価値は低くなる

「建物を売らずに土地だけ売ること」も「共有持分だけを売ること」も、結論からいえば可能です。ただし、一般的な不動産の売却よりはハードルが高くなるでしょう。

土地・建物の所有者の関係が「地主と借地人」ならば「借地権のついた土地」を売ります。また、土地・建物の所有者がいまは同じであるならば「借地契約を結ぶことが前提の土地」を売ります。

いずれにしても、土地を買取る方は借地契約をしなければなりません。そして、借地契約のある土地は一般的な土地より需要は下がりやすくなります。

共有持分も同様で、持分だけ購入しても土地を自由に使えないため、普通は需要が低くなります。

共有の土地は、リフォームや賃貸借契約などさまざまな場面で共有者の同意が必要になります。共有持分だけの売却も買い手を見つけにくく、本来より価値が下がりやすいと考えておきましょう。

共有者の同意がなくても共有持分を売却できる

共有持分とは、共有者それぞれの所有権を指すものです。各自がもつ権利ですから、それをどうするかは個人の自由になります。

そのため、自分の共有持分であれば個人の判断で売却できます。共有者に同意を取る必要はありません。

いうなれば、共有者に黙って売却可能ということになります。

共有者の同意は不要だが「ずっと秘密」にはできない

持分を売却するかどうかは個人の判断であり、共有者の同意も不要です。しかし、売却した事実を永遠に秘密にする、ということは難しいでしょう。

固定資産税の通知書や登記簿の閲覧で発覚する恐れはなくせません。

同意が不要とはいえ、売却時には共有者に伝えておけば将来のトラブルを防げるでしょう。

土地全体を売るには全共有者の同意と協力が必要になる

共有している土地の全体を売りたいのであれば、共有者全員の同意は必須になります。売却に反対する共有者がいれば、同意を得るための交渉や持分の買取が必要です。

お互いの主張が噛み合わず、合意に至らない場合は裁判所を通した調停や裁判という方法もあります。不動産に詳しい弁護士に対応を相談してみましょう。

また、契約の締結や引き渡しのときには、全員が顔を合わせる必要もあります。遠方に住んでいたり高齢だったりで、立ち会いが難しいこともあるでしょう。

その場合は、代表者を決めたり弁護士に代理人を依頼するなどして、共有者から委任状をもらうとよいでしょう。誰か1人が窓口になれば、スムーズな売却活動が可能になります。

土地と建物はそれぞれに権利が設定される

日本の法律では、土地と建物は別々に権利が設定されます。「別の資産である」と考えるため、土地だけの売却も可能となっているのです。

また、土地と建物が別々の所有者になるときは、建物の所有者は「土地を借りて、その上に建物を所有する」ということです。

土地を借りる借地権のほかにも、抵当権や敷地利用権など、不動産は状況によってさまざまな権利が生まれます。共有名義の土地を売るには、権利関係を整理していく必要があります。

だれがどのような権利をもっているのかは、登記簿から確認できます。法務局の窓口やネット上で閲覧できるので、売却前に確認するとよいでしょう。

共有の土地を売るには所有権以外の「不動産の権利」を理解しよう

土地と建物が別々の資産であること、そして各種権利も土地・建物それぞれに設定されることを解説しました。

しかし、それらの権利をきちんと理解できている人はあまり多くありません。不動産の権利を主張するには登記が必要ですが、中には別の権利登記で代用できたり、売却前に消さなければいけない登記もあります。

この項目では、共有の土地を売却するにあたって知っておくべき代表的な権利を解説していきます。

「借地権」が設定されていれば借地人は保護される

借地権とは、文字通り「土地を借りる権利」です。不動産は生活や経済活動の基盤であるため、借りる側の権利が強く保護されるように法整備されてきました。

借地権があれば、売却後に新しい土地の所有者が立ち退きを求めても借地人は対抗できます。

借地権には「地上権」と「賃借権」の2種類があり、通常であればこれらは登記されているか、登記したときと同等の状態であることがほとんどです。借地人との契約内容や登記簿から、どちらの借地権が設定されているか確認してみましょう。

【借地権①】「地上権」は土地の使い方において直接的に強い権利をもつ

地上権は非常に強力な権限で、借地人が土地の使い方を自由に決められます。仮に所有者が変わっても、その土地を実質的に支配できるのは地上権者です。

地上権は土地所有者に登記義務があるため、契約していれば土地の登記簿に必ず記載があるはずです。

詳しく解説した別の記事があるので、こちらもぜひ参考にしてください。

土地 地上権 共有不動産と法定地上権の発生基準は?地上権とはどんな権利なのかも解説します

【借地権②】「賃借権」は土地所有者との間で使い方に合意が必要

賃借権は、使用方法の決定権は土地所有者にある契約です。一般的な借地はこの契約がほとんどで、建物を建てたりするのにも土地所有者の承諾がいります。

土地の賃借権は、土地の登記簿に記載がなくても「借地人が借地上に建物を所有していること」で認められます。より具体的には、借地人が借地上に建物をもっており、その建物を登記していれば主張可能ということになります。

こちらも詳しく解説した別記事があるので、気になる場合はぜひご一読ください。

共有持分 賃借権 【賃借権とは?】知っておくべき基礎知識と共有持分の譲渡・賃貸借で必要な条件

土地に抵当権を設定していると売却できない

住宅ローンで、土地に抵当権を設定している人も多いでしょう。抵当権とは、ローンの返済が滞ったときに差押えできる権利です。

抵当権がついた土地も厳密にいえば売却できますが、実際にはローン完済と抵当権抹消がされないと買い手がつかないことがほとんどです。もしくは、売却後の利益で一括返済するという方法もあります。

抵当権の抹消は自動的にされるものではなく、ローン完済後に自分で法務局に申請する必要があります。

また、抵当権の範囲が土地全体や建物にも及んでいる場合、共有持分だけでなくすべての抵当権をまとめて外さなけいといけないため注意しましょう。

分譲マンションや区分所有ビルは「専有部分」と「敷地利用権」を別々に売却できない

分譲マンションは「1つのマンションを共有している状態」ですが、同時に「マンションが建つために必要な土地の権利」も共有しています。

土地の所有権をもってマンションを建てたときは所有権を、土地を借りてマンションを建てたときは借地権を準共有(所有権以外の権利を共有していること)しているのです。これらを総称して「敷地利用権」といいます。

区分所有者が土地の権利だけを誰かに売却すると、権利関係が複雑になってしまいます。そのため、区分所有者たちで特別に規約を設けない限りは、専有部分と土地は切り離して売却できないと定められています。

  • 建物の区分所有等に関する法律第22条
    敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
  • 引用:e-Govポータル「建物の区分所有等に関する法律第22条」

    1つの土地に複数の建物を建てる「土地の分割」では分割している部分だけ売却できない

    土地を数えるときの単位は「筆」ですが、1筆の土地に複数の建物が建っている場合があります。

    これは「土地の分割」と呼ばれるもので、土地を仮に区切り、それぞれの広さや接道面積が充分に確保された上で建物を建てたものになります。

    あくまで「建物を複数建てるための仮の区切り」なので、これの境界線を基準とした売却はできません。土地を部分的に売るときは、実際に土地を切り分ける「分筆」をする必要があります。

    本来の価値をなるべく損なわずに共有の土地を売るときの売却先候補

    「建物はそのままでも土地の共有持分を売却できる」と記事の冒頭でも説明しました。そして、需要の少なさから売却のハードルが高くなることも既に伝えた通りです。

    共有持分のみの市場価格は、本来の価値から半額以下になることも珍しくありません。土地も含めた不動産の評価基準について解説している記事もあるので、こちらも参考にしてみてください。

    不動産 評価 グラフとリスト 【共有持分の価格を知ろう】共有不動産の評価基準を徹底的に解説します!

    高く売りたいのであれば、土地と建物をまとめて売ったり、更地にしてから売るほうがよいのは確かです。しかし、売り方次第では本来の価値を損なわず売却できる可能性もあります。

    共有の土地のみを売るときは、購入者の探し方にも通常の土地売却とは違った考えが必要です。それを踏まえた上で、検討すべき売却先を見ていきましょう。

    共有者間での売買が手っ取り早いが関係性が悪くならないように注意が必要

    同じ土地の共有者に買取してもらうのが、もっとも簡単な方法になります。

    共有者としても土地の権利を一本化できるわけですから、買取できる資金があれば損はありません。本来の共有持分の価値のまま買取してくれる可能性もあるでしょう。

    しかし、買取自体を拒否されたり、価格交渉で揉める可能性もあります。交渉によって関係性が悪くならないよう、誠意をもって話し合う必要があるでしょう。

    「共有物分割請求」で共有状態の解消を求められる

    共有者が交渉に応じないときの対処法として、共有物分割請求があります。請求を受けた共有者は交渉の拒否はできず、持分売買や土地を分筆するなどの方法で共有状態の解消をしなければいけません。

    本人たちの協議で話がまとまらなければ、調停、裁判と進んでいきます。決着がつかないときは最終的に競売にかけられ、売却益を共有者で分割します。

    しかし、競売は市場価格より売却価格が低くなることが一般的です。また、調停や裁判では共有者全員の事情が考慮されるため、自分の求める結果が出るとは限りません。協議の段階で話をまとめることが望ましいといえるでしょう。

    今後も継続して土地を使うなら借地人が買ってくれる可能性がある

    売却を検討している土地が借地ならば、借りている人に買取を交渉するという手もあります。

    今後も継続して土地を利用したいのであれば、借地人としても購入を検討する余地はあるでしょう。第三者に土地を購入されると、新しい所有者とトラブルが起きることもありえます。それを避けるためにも、自分で購入するということは充分に考えられます。

    ただし、こちらも買い取るだけの資金力が相手にあることが前提です。また、相場についても共有持分の市場相場からさらに下がる可能性が高いです。

    例えば、固定資産税を決めるときの土地の価値は、借地権が設定されていると1~7割下がります。

    売買において同じように考えられるとは限りませんが、参考指標の1つにはなるかもしれません。

    高額の買取なら共有持分専門の買取業者がおすすめ

    共有者や借地人に売れないのであれば、不動産屋に仲介や買取を依頼するしかありません。このとき、おすすめできるのが共有持分専門の買取業者です。

    一般的な不動産会社は、共有持分や借地権つきの土地といった「難しい案件」は避ける傾向にあります。利益が出すためのノウハウがないため、買い叩くような金額でしか買い取れない会社が多いです。

    専門の買取業者であれば、利益を出すために必要な知識や経験を蓄積しています。不動産会社にも得意・不得意な分野があるので、共有持分のような特殊な不動産は専門業者に買取してもらうほうがよいでしょう。

    以下の記事で、共有持分の売却を専門とする不動産会社を紹介していますので、参考にしてみてください。

    共有持分おすすめ買取業者 【共有持分専門の買取業者おすすめ16選!】共有名義の不動産が高く売れる買取業者の特徴と見極めポイント!

    専門買取業者なら最短1日で簡易査定してもらえる

    共有持分専門の買取業者に依頼するときは、ネット上で簡易査定をしてもらうのが一般的です。

    この査定は早ければ1日で結果が出て、簡易査定やその後の訪問査定を見てから、実際に売るかどうかを決められます。

    まずはどのくらいの価格になるか知りたいというときにも、気軽に相談してみましょう。

    市場価値の低くなりがちな共有持分も権利関係を整理すれば高額で売れる

    共有持分の市場価値が低くなるのは、その権利関係が複雑なためです。それに加え、建物をそのまま維持するとなれば、処分や運用はさらに難しくなります。

    建物はそのままに土地の共有持分を売却するには、この記事で解説したような権利関係を整理しつつ、適切な売却相手を見つけましょう。

    そういった専門知識は、やはり共有持分専門の買取業者や、不動産問題に強い弁護士に相談することがおすすめです。自分だけで悩む前に、信頼できる専門家に相談してみるとよいでしょう。

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