共有物分割請求とは、共有不動産を分割して共有状態を解消する手続きです。共有者同士の話し合いや裁判によって分割方法を決めます。
調停は、共有者だけの話し合いで解決しなかった場合、裁判所の調停員を交えておこなう話し合いです。裁判の1つ手前の手続きといえます。
調停は調停員が客観的な観点で話し合いを進めてくれますが、強制力のある判決は出せません。あくまで共有者全員が納得できる和解が目的です。
調停で和解できなければ結局は裁判となり、共有状態の解消は遅れてしまいます。調停による解決が難しいと感じたときは、自分の共有持分だけ売却することも検討しましょう。
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- 共有物分割請求の調停とは「調停委員」同席のもと共有不動産の扱いを話し合う制度のこと。
- 共有物分割請求における調停によって共有状態が解決されるケースは少ない。
- 調停が調わなかった場合共有持分を処分して共有状態から抜けよう。
共有物分割請求調停は調停委員協力のもと共有不動産の扱いを話し合う制度
共有不動産の共有状態を解消するには、共有物分割請求をする必要があります。
共有物分割請求とは、共有者間でおこなわれる共有不動産の分け方を決める話し合いのことです。
共有物分割請求は、共有者同士の話し合いで解決できることもあれば、裁判まで発展することもあります。
共有不動産は性質上、親戚や親族で共有されるケースが多いです。
共有不動産の所有者は「共有状態の解消はしたいが、裁判を起こすことによって親戚間を悪化させたくない」と考える方も多いかと思います。
そこで、共有物分割請求の調停であれば裁判を起こさずに、調停委員の協力を得ながら共有不動産の扱いを話し合えます。
共有物分割請求については以下の記事で詳しく説明しているので参考にしてみてください。
共有物分割請求とは?共有物の分割方法や訴訟の手順・費用を詳しく解説調停をおこなうと法律にもとづいた意見をもとに共有者同士で話し合いができる
共有物分割請求における調停は共有者だけでなく、調停委員2人と裁判官1人が同席する中でおこなわれます。
共有者だけで話し合いをすると、熱中して口論になってしまうかもしれませんが、第三者がいることによって冷静に話し合いを進められるでしょう。
また、裁判官や調停委員(各分野の専門家)が同席するため、法律にもとづいた意見や解決策を提示してくれます。
なお、調停委員は40歳以上70歳未満の人で、弁護士や大学教授、不動産鑑定士などから選出されます。
共有者ごとの状況や事情に応じて、専門家が話し合いを取りまとめてくれるでしょう。
法律だけではなくお互いの事情も考慮しながら話し合いが進められる
さきほども説明しましたが、共有物分割請求の調停をおこなうと、法律にもとづいて話し合いを進められます。
また、調停委員は法的な主張だけでなく、共有者同士の事情も考慮して話し合いを進めてくれます。
なぜなら、調停は裁判とは違い、共有者の話し合いをまとめるためにおこなわれているからです。
ですので、法律の知識が無くても自由に意見や主張をおこなえます。
本人による申立てがあれば調停がおこなえる
共有物分割請求が裁判に発展した場合、訴訟のために多額の費用や時間がかかってしまいます。
また、裁判まで発展した場合は、各手続きの代行依頼を弁護士にするケースが多いです。
しかし、共有物分割請求の調停は、共有者本人による申立てだけでおこなえます。
裁判まで発展した場合に比べると、手続きが簡単で費用も安く済みますし、精神的な苦痛も和らげられます。
共有物分割請求の調停が一度合意されたら判決と同じ効力をもつ
共有物分割請求の調停は、お互いが合意するまで法的な強制力は持ちません。
話し合いが調わない場合あれば再度調停をおこなえます。
ですが、共有物分割請求の調停が一度合意されれば、調停による効力は判決で得たものと同じ効力をもちます。
のちに、相手方が「やっぱり売却したくない」と主張したとしても、強制的に不動産売却の手続きをおこなえます。
このように、調停によって合意がされたにもかかわらず、義務が履行されない場合には強制執行の申立てが可能です。
共有物分割請求における調停の手順【3ステップ】
共有不動産を分割するためには、共有物分割請求をおこなう必要があります。
共有物分割請求は調停だけでなく、共有者間だけでの話し合いや訴訟によっておこなわれます。
共有物分割請求における調停のステップは大きく分けると3つです。
以下の項目から、共有物分割請求における調停の手順をステップごとに解説します。
共有物分割請求における訴訟については、以下の記事を参考にしてみてください。
共有物分割請求の訴訟や訴状作成は弁護士へ依頼を!共有物分割請求訴訟の基礎知識をわかりやすく解説【ステップ.1】申立書を作成し裁判所に提出する
共有物分割請求における調停をおこなうには、裁判所に申立書を提出する必要があります。
また、申立書は裁判所に提出する書類と、相手方に送付する書類の2通が必要です。
※裁判所に提出する書類を正本といい、相手方に送付する書類を副本といいます。
なお、申立書は2通作成するのではなく、正本の写し(コピー)を副本として提出してもよいです。
申立書の書式は裁判所の窓口やWEBサイトにある
さきほども説明しましたが、調停をおこなうには裁判所に申立書を提出する必要があります。
申立書の書式は、裁判所の窓口や裁判所のWEBサイトで用意されています。
ただし、WEBサイトからダウンロードする場合は「書式の種類」に注意しましょう。
書式通りに記載すれば、法律の知識がなくても簡単に申立書を作成できます。
参照:裁判所ホームページ「民事調停→申立書関係→19.調停(汎用)」
【ステップ.2】裁判所によって調停期日が決められる
申立書を提出したら、1~2週間ほどで裁判所から調停期日の連絡が届きます。
調停期日は、原則的に調停委員や裁判官の日程にあわせて決定されます。
しかし、裁判所によっては申立人の予定をきいて調停期日を調整してくれる場合もあるようです。
その場合は、自分や相手方にとって都合のよい希望日を伝えるとよいでしょう。
なお、調停は平日の日中にしか受け付けられていないので、注意しましょう。
【ステップ.3】裁判所による調停の実施
ステップ2によって調停期日が決められたら、申立人と相手方に調停期日の通知書が届きます。
調停期日の通知書通りに、裁判所に出頭しましょう。
調停では、申立人と相手方の意見や主張をもとに、調停委員が話し合いをまとめます。
なお、調停はどちらかが納得しない結果になることはありません。
調停がまとまらなかった場合は「調停不成立」となり、特に変化なく調停が終了します。
調停不成立となった場合は、改めて調停を申立てるか他の解決策を検討する必要があります。
共有物分割請求の調停によって問題解決されるケースは少ない
これまでは、共有物分割請求における調停の基礎知識や手順を解説しました。
しかし残念ながら、共有物分割請求の調停によって共有状態が解決されるケースは少ないです。
なぜなら、調停には法的強制力がないからです。
以下の項目から、共有物分割請求における調停が不成立となる理由を詳しく説明します。
調停は話し合いでしかないため法的な強制力がない
共有物分割請求における調停は、調停委員が共有者間での話し合いを和解に導くための手続きです。
調停はあくまで話し合いでしかないため、相手方に自分の主張を強制できません。
例えば、申立人の主張が法律的に正しかったとしても、相手方が首を縦に降らなければ調停による解決ができません。
共有物分割請求における調停で解決できるケースであれば、共有者間だけでの話し合いでも不動産問題は解決できるでしょう。
調停がおこなわれるのは「平日の昼」のみ
共有物分割請求における調停がおこなえるのは「平日の昼間」のみです。
申立人も相手方も、平日は仕事をしていることが多いでしょうから、調停への出頭が難しいと思います。
平日に仕事を休めない状況にある方だと、調停によって共有状態を解消するのは難しくなってしまいます。
共有物分割請求の調停呼び出しを無視しても原則デメリットはない
調停は当事者同士の意見をもとにおこなわれるので、相手方が欠席すると調停は不成立になってしまいます。
さきほども説明しましたが、調停には法的強制力がないため調停の呼び出しを無視したとしても、原則デメリットはありません。
このことから、共有物分割請求における調停を申立てたとしても、調停自体がおこなえないケースもあります。
なお、理由なしの欠席は「過料(罰金)」が課せられると法律で定められていますが、実際に罰金が発生したケースはほとんどありません。
共有物分割請求調停が調わなかった場合は共有持分を手放して共有状態から抜けよう
前の項目で説明した通り、共有物分割請求における調停はなかなか調いません。
ですので、調停が調わなかった場合は、他の方法で共有状態を解消しなくてはなりません。
共有物分割請求の訴訟を提起して、強制的に共有不動産を分割する方法もありますが、訴訟まで発展してしまうと共有者同士の関係が悪化してしまいます。
そこで「自らの共有持分」を処分すると、トラブルを起こさずに共有状態を解消できます。
共有持分の処分方法は「贈与・放棄・売却」です。
以下の記事で、共有持分の処分方法を種類ごとにわかりやすく解説しています。
【他共有者の合意不要】共有持分を処分できる方法をすべて解説共有状態から抜けるには自らの共有持分のみの売却がおすすめ
共有物分割請求を起こさずに、共有状態を解消する方法はいくつかあります。
しかし、その中で最もおすすめしたいのが「自らの共有持分」の売却です。
共有者全員の同意がなければ、共有不動産そのものを売却できませんが、自らの共有持分のみの売却であれば自分だけの意思で売却できます。
共有持分の売却は法律で認められており、他共有者との話し合いも必要ないのでトラブルなくスムーズに売却可能です。
以下の記事では、共有持分を専門に扱う不動産買取業者を紹介しています。
その中でも、共有持分の取り扱い実績が多く弁護士と提携している不動産買取業者を選ぶと、あなたの共有持分をトラブルなく高価に売却できるでしょう。
【共有持分の買取業者おすすめ28選!】共有名義不動産が高額買取業者の特徴と悪質業者の見極めポイント!調停は訴訟よりも簡単に申立てできるが、強制力に欠けるため問題解決できない恐れがある
共有物分割請求における調停は手続きも簡単で、コストをかけることなく申立てできます。
調停は、共有者同士の意見を調停委員が取りまとめ、お互いが納得できる結果を目指すため共有者間で揉めることなく共有状態を解消できます。
しかし、共有物分割請求における調停は法的強制力がないため、相手方が調停を受け入れないと共有状態の解消がおこなえません。
もしも、共有物分割請求の調停が調わなかった時は、自らの共有持分を処分することで共有状態から抜けられます。
共有状態を抜ける方法はいくつかありますが、一番おすすめしたいのが「共有持分の売却」です。
共有持分を売却すれば、共有状態から抜けた上でまとまった金額を取得できます。
共有持分の買い取りを専門としている不動産買取業者であれば、共有者間でトラブルを起こすことなくスムーズに売却できます。
共有物分割請求についてよくある質問
共有持分をもつ人が、他の共有者に対して「共有物の分割」を求める行為です。共有物分割請求は拒否できないため、だれかが請求したら必ず分割に向けた話し合いをする必要があります。
共有不動産を売却して売却益を分割する「換価分割」や、共有者間で持分売買をおこなう「代償分割」のほか、不動産を切り分けて単独名義にする「現物分割」があります。
共有物分割調停とは、当事者間の話し合いで問題が解決しなかった場合に、調停委員や裁判官を同席させて話し合いをする手続きです。裁判とは異なり強制的な判決は出せませんが、第三者が法律的な観点から話し合いを取り持ちます。
訴訟に発展し、裁判によって分割方法が決定されます。また、裁判でも和解できない場合は、共有不動産を競売にかける強制的な換価分割がおこなわれます。競売は通常の売却より価格が安くなるので、競売にかけられる前に和解したほうがお得といえるでしょう。
はい、売却できます。共有持分の専門買取業者であれば、数日での現金化も可能です。→【最短12時間で価格がわかる!】共有持分の買取査定窓口はこちら