競売をするには裁判が必要!共有物分割請求時における競売について解説します

共有物分割請求 競売

共有持分を所有していても、共有不動産を使用する予定がなければ、共有不動産の売却を希望すると思います。

しかし、共有不動産に居住している人がいれば、共有不動産の売却は反対されてしまうでしょう。

持分所有者が1人でも不動産売却に反対していると、共有不動産は売却できません。

このようなトラブルを防ぐため、各共有者には「共有物分割請求権」という権利が認められています。

また、共有物分割請求が裁判まで発展した場合は、判決によって共有不動産を競売するケースもあります。

裁判まで発展すると、共有状態の解消はできますが多額の費用が必要です。

この記事では、共有物分割請求によって共有不動産を競売する方法かわかりやすく解説しています。

また、共有持分の売却による、共有状態の解消方法も解説しています。

この記事のポイント!
  • 競売とは裁判所を通して強制的に不動産を売却する制度のこと。
  • 「現物分割ができないとき」と「分割によって価値が減少するとき」だけ競売をおこなえる。
  • 競売は多額の費用が必要なので持分の売却がおすすめ。
目次
  1. 競売とは裁判所を通して強制的に不動産を売却する制度のこと
  2. 競売による共有物分割請求の流れ【3ステップ】
  3. 競売における共有物分割請求訴訟にかかる費用
  4. 共有物分割請求訴訟は本人でも提起できるが弁護士に依頼するとよい
  5. 共有物分割請求が棄却された場合や競売費用の用意ができない場合は持分売却をしよう
  6. 共有物分割請求訴訟による競売は多額の費用がかかるので持分の売却がおすすめ

競売とは裁判所を通して強制的に不動産を売却する制度のこと

共有されている不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要です。

もしも、あなたにとって必要のない不動産だったとしても、自分1人の意思だけでは売却できません。

共有不動産そのものを売却するには「競売」をする必要があります。

競売とは、裁判所による判決をもとに、強制的に不動産を売却する制度のことです。

競売によって売却された不動産の売却価格は、共有者の持分所有割合にもとづいて分割されます。

共有不動産については以下の記事を参考にしてみてください。

共有不動産 共有不動産とは?不動産共有におけるトラブル例と私道の共有持分をわかりやすく解説

共有不動産を競売するためには共有物分割請求をおこなう必要がある

共有不動産を共有者全員に対して、平等に分割するためには「共有物分割請求」をおこなう必要があります。

共有物分割請求とは、共有者間でおこなわれる、共有不動産の分け方を決める話し合いのことです。

共有物分割請求は、まず共有者間での話し合いによる和解を試みますが、話し合いがまとまらなかった場合には、裁判に発展することもあります。

また、共有不動産を競売にかけるには、裁判による判決を得る必要があります。

共有物分割請求については、以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてみてください。

共有物分割請求とは?共有物の分割方法や訴訟の手順・費用を詳しく解説

共有物分割請求が裁判に発展した場合のみ判決によって共有不動産を競売できる

先ほども説明しましたが、共有不動産を競売にかけて売却するには裁判による判決が必要です。

ですので、共有物分割請求が訴訟に発展しなければ、共有不動産の競売はできません。

また、共有物分割請求の裁判を提起したからといって、確実に共有不動産を競売できるわけではないので注意しましょう。

共有不動産を競売するには、共有物分割請求訴訟を提起した上で「共有不動産を競売せよ」という旨の判決を得る必要があります。

なお「権利濫用」とみなされる、共有物分割請求訴訟は裁判によって棄却される恐れがあります。

権利濫用とは、所有する権利の範囲を逸脱して権利を行使しようとすることです。

例えば、共有不動産が競売にかけられたことによって、住居を失う共有者がいる場合に共有物分割請求訴訟は、権利濫用とみなされ棄却されてしまいます。

共有物分割請求における権利濫用は以下の記事を参考にしてみてください。

共有物分割請求 権利濫用 共有物分割請求が権利濫用となるのはどんなとき?棄却されたときの対処法も解説

競売は「現物分割ができないとき」か「分割によって価値が減少するとき」だけおこなえる

前の項目でも説明しましたが、共有不動産を競売にかけるには共有物分割請求訴訟を提起し、判決を得る必要があります。

「共有不動産の現物分割ができないとき」か「現物分割してしまうと、価値が大幅に減少するとき」だけ裁判によって競売が命じられます。

例えば、共有物分割請求の対象が家だとすると、現物分割できないため競売が認められるかもしれません。

また、共有物分割請求の対象が小さい土地だとすると、現物分割してしまうと不動産の価値が大幅に減少してしまうため、裁判による競売が認められやすくなります。

なお、上記の競売が命じられるケースはあくまで一例ですので、実際に競売を希望する場合は法律に詳しい専門家に相談すべきでしょう。

民法258条

共有物の現物を分割することができないとき,又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは,裁判所は,その競売を命ずることができる。
引用:e-Gov法令検索、民法258条

競売された共有不動産は不動産市場価格の「6~8割」で取引されることが多い

競売物件は裁判所が手続きをおこなうため、通常の不動産と違って「売主となる不動産販売業者」がいません。

不動産販売業者がいないと不動産が整備されないため、競売物件の購入者からするとリスクの高い物件になります。

これらのことから、競売されている不動産は安く取引されています。

ですので、共有不動産を競売によって売却する際は、不動産市場価格の「6~8割」程度でしか取引されるケースがほとんどです。

競売によって不動産を売却する場合は、通常の売却方法よりも安く取引されてしまうので注意しましょう。

なお、共有者全員から共有不動産売却の同意が得られたときは、通常の売却と同じように、売却できるので市場価格通りに売却できます。

競売による共有物分割請求の流れ【3ステップ】

競売による共有物分割請求の流れは大きく分けて3つです。

共有不動産の競売実施までの流れをステップごとに解説します。

なお、共有物分割請求における訴訟や、競売申し立ては書類の用意や法的な主張が難しいため、弁護士に依頼することをおすすめします。

【ステップ.1】共有者間で共有不動産の扱いについて話し合う

共有者間での話し合い(協議)がまとまらなかった場合のみ、共有物分割請求訴訟を提起できます。

ですので、共有物分割請求の訴訟を提起し、競売するためにはまず共有者間での話し合いをする必要があり、この話し合いのことを「共有物分割協議」といいます。

共有物分割協議では、共有者同士が納得するように共有物の扱いについて協議できます。

もしも、共有物分割協議が調わなかったときは「内容証明郵便」を利用して、他共有者全員に遺産分割協議の申し入れをするとよいでしょう。

内容証明とは「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたか、を日本郵便が証明する制度」です。

内容証明は、共有物分割請求訴訟を提起する際に、共有者間での協議が調わなかったことを証明するために必要です。

【ステップ.2】共有不動産を分割するために、競売を目的とした訴訟を提起する

ステップ1の共有者間での話し合いがまとまらなかったときに、共有物分割請求訴訟を提起できます。

共有物分割請求訴訟は裁判になるため「訴状」の用意が必要です。

訴状とは、原告が訴訟の内容や、言い分を記載して裁判所に提出する書類のことです。

※原告・・・訴訟を提起した人

また、共有物分割請求訴訟によって、共有不動産を分割する場合「現物分割・価格賠償・換価分割」の3つから、賠償内容を原告が決められます。

共有不動産の競売を希望する場合、共有不動産を売却して利益を分け合う「換価分割」を訴訟で提起しましょう。

共有物分割請求における訴状(訴訟)については以下の記事を参考にしてみてください。

共有物分割請求 訴状 共有物分割請求の訴訟や訴状作成は弁護士へ依頼を!共有物分割請求訴訟の基礎知識をわかりやすく解説

【ステップ.3】訴訟によって競売判決がでたら競売申し立てをする

ステップ2の訴訟によって競売を命じる判決が出ても、競売申し立てをしなければ、共有不動産の競売はおこなわれません。

共有不動産を競売するには、競売を命じる判決をもとに裁判所に競売申し立てをおこなう必要があります。

以下リストが競売申し立てに必要な書類の例です。

  • 競売申し立て書
  • 不動産の登記事項証明書
  • 共有持分所有者全員の住民票
  • 建物の図面や公図
  • 不動産の価値を証明する書類(固定資産税評価書など)

訴訟によって競売を命じる判決が出たら、必要書類を用意して競売申し立てをおこなう必要があります。

なお、裁判の判決や内容によっては、上のリストよりも必要な書類が多いこともあります。

競売における共有物分割請求訴訟にかかる費用

共有物分割請求が、共有者間での話し合いで和解されれば特に費用はかかりません。

しかし、共有物分割請求が訴訟に発展した場合は、裁判を提起するために必要な費用や、競売申し立てにかかる費用が必要になります。

不動産は高価な財産ですので、裁判で扱う場合は高額な費用の支払いが必要になってしまいます。

共有物分割請求における費用や弁護士費用は、こちらの記事で詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。

共有物分割請求の弁護士費用はどれくらい?算出方法と節約術を詳しく解説 共有物分割請求の弁護士費用はどれくらい?算出方法と節約術を詳しく解説

競売申し立てにかかる費用は「申し立て手数料」「予納金」「差押登記の登録免許税」

共有物分割請求にかかる費用の他にも、競売申し立て費用がかかります。

競売申し立てにかかる費用は「申し立て手数料」「予納金」「差押登記の登録免許税」の3つです。

競売する不動産1つにつき、固定で「4,000円」の申し立て手数料が必要です。

以下の項目から、残りの「予納金」「差押登記の登録免許税」について解説します。

競売対象の不動産価値をもとに決まる「予納金」

予納金とは、法的申し立てする際に必要な裁判所に対して納付する手続費用のことです。

予納金は、不動産を管轄する裁判所によって違うので注意しましょう。

例として、以下に東京地方裁判所の予納金額リストを掲載します。

東京地方裁判所における予納金の額
競売される物件の評価額 予納金の額
2000万円未満 80万円
2000万円以上5000万円未満 100万円
5000万円以上1億円未満 150万円
1億円以上 200万円

参照:裁判所ホームページ「不動産競売事件(担保不動産競売,強制競売,形式的競売)の申立てについて」 

「固定資産評価額×0.4%」で決まる「差押登記の登録免許税」

不動産を競売するとき、該当不動産の差押登記にかかる登録免許税の納付が必要です。

登録免許税とは、登記手続きの際にかかる税金のことです。

差押登記にかかる登録免許税は「固定資産評価額×0.4%」で求められます。

例えば、1,000万円の家を競売にかけるときの「差押登記の登録免許税」は

1,000万円×0.4%=4万円

です。

共有物分割請求訴訟は本人でも提起できるが弁護士に依頼するとよい

共有不動産を競売にかけるには共有物分割請求訴訟が必要です。

共有物分割請求訴訟は、裁判を提起する本人でも提起可能ですが、弁護士への依頼をおすすめします。

共有物分割請求訴訟は、法的な主張にもとづいて裁判を進める必要があります。

また、共有物分割請求訴訟を提起して共有不動産を競売にかける場合、競売申し立て手続きも必要です。

これらの競売に必要な手続きは、法律の知識に乏しい人だと自分でおこなうのは非常に困難です。

共有物分割請求をおこない、有利に裁判を進めるためにも、競売を考えたときは弁護士へ依頼しましょう。

共有物分割請求が棄却された場合や競売費用の用意ができない場合は持分売却をしよう

共有物分割請求訴訟が棄却された場合は、自らの共有持分を売却することで、必要ない不動産の共有持分を現金化できます。

また、共有物分割請求訴訟を利用した競売は、通常の不動産売却よりも売却価格が低くなりますし、裁判の提起や競売申し立てのために費用がかかってしまいます。

不動産を現金化するため、競売をしたはずなのに結果としてあまり得をしていない、というケースも珍しいありません。

ですので、共有不動産の競売だけでなく、自らの共有持分だけの売却を検討してみたください。

自らの共有持分だけの売却であれば、他共有者の同意を得る必要もありませんし、高額な弁護士費用を払う必要もありません。

以下の記事で、共有持分を専門に取り扱う不動産買取業者を紹介しています。

以下の記事で紹介している不動産買取業者であれば、あなたの共有持分を素早く高価に買い取りしてくれます。

共有持分おすすめ買取業者 【共有持分専門の買取業者おすすめ16選!】共有名義の不動産が高く売れる買取業者の特徴と見極めポイント!

共有物分割請求訴訟による競売は多額の費用がかかるので持分の売却がおすすめ

共有不動産を現金化したい場合、一番に競売による解決を思いつくかもしれません。

しかし、共有物分割請求による競売だと裁判の提起に時間がかかってしまいますし、多額な費用が必要になってしまいます。

そこで、自らの共有持分のみの売却を検討してみてください。

自らの共有持分だけの売却であれば、自らの意思だけで売却できます。

なお、どうしても競売をしたい場合は、弁護士への相談をおすすめします。

共有不動産を競売にかけるためには、さまざまな法的手続きが必要です。

弁護士に依頼すれば、費用は掛かってしまいますが法律に基づいて有利に裁判を進められるでしょう。

また、競売手続きを弁護士に依頼すると、手続きそのものも代行しておこなってくれます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です