不動産の登記申請とは?登記申請が必要なタイミングや状況別の登記種類を解説します

共有持分 登記

不動産の取引などで、不動産所有者の変更があると「登記申請」が必要になります。

不動産取引における登記の方法がわからない、といった悩みがある方も多いのではないでしょうか。

じつは、登記申請にはさまざまな種類があり、申請内容やかかる費用も登記の種類によってそれぞれ違います。

不動産を取引する際は、どの登記をすべきか把握することが重要です。

この記事では、登記申請の種類やかかる費用などを詳しく説明しています。

また、共有持分における登記申請についてもわかりやすく解説しています。

この記事のポイント!
  • 登記とは「権利関係」や「不動産状況」を明らかにする制度のこと。
  • 登記申請は義務付けられていないが不動産の権利を主張するために必要になる。
  • 不動産を入手したときや所有者の名義が変わったとき、不動産を担保に借金するときなどに登記申請はおこなわれる。
  • 司法書士に作成依頼する場合は「司法書士報酬」と「諸費用」の合計金額が必要。
目次
  1. 登記とは「権利関係」や「不動産の状況」を明らかにする制度のこと
  2. 「家」と「マンション」における登記の大きな違いは登記申請書の記載内容
  3. 登記が必要な状況ごとにおける登記の種類を紹介
  4. 登記申請にかかる費用は登録免許税などの諸費用と司法書士報酬
  5. 申請者本人でも登記申請できるが登記申請は複雑な手続きのため司法書士への依頼がおすすめ

登記とは「権利関係」や「不動産の状況」を明らかにする制度のこと

家や土地など、不動産の所有者名義が変わると、登記申請する必要があります。

登記とは、不動産の権利関係や不動産の状況を明示するための制度です。

登記では、不動産の所有者や所在だけでなく、その不動産の共有持分割合や抵当権者なども詳細に明示されます。

また、登記の内容は「登記簿(登記事項証明書)」として、法務局で管理されています。

登記簿の情報と現在の情報が変わったときに登記が必要

不動産の取引時や所有者の名前が変わるとき、現在の情報と登記簿の情報に差異が発生します。

「登記簿の情報」と「現在の情報」の差異を修正するために、登記が必要です。

登記簿には土地の所在や状況、不動産所有者の情報などが記載されています。

例えば「不動産を購入して売主から買主へ名義が変わった」ときや「結婚によって不動産所有者の名前が変わった」場合などに、登記申請が必要です。

これらの情報を正しく明示するため、登記が必要になります。

登記申請は原則、義務付けられていないが権利を主張するために必要

民法には「契約自由の原則」という基本原則があるため、登記申請が義務付けられることはありません。

しかし、第三者に対して不動産の権利を明示するため、登記申請はおこなうべきです。

登記申請をすると「この不動産を所有しているのは自分である」ことを主張できます。

もしも、所有不動産の登記をせずにいると、不動産の所有者である証明ができないため、売却契約や賃貸契約を締結できません。

※契約自由の原則とは・・・契約当事者が契約の方法や契約の内容を自由に決められる原則のこと。

新築を購入した場合のみ「表題登記」を1カ月以内におこなうよう法律で定められている

前の項目で、登記申請は義務付けられないことを説明しました。

しかし、新しく物件を建てた場合は「表題登記」を不動産所有権の取得日から、1カ月以内に申請するよう法律で定められています。

表題登記とは、建物の「所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積」などを、登記簿に登録するための登記のことです。

もしも、新築を購入したにもかかわらず、期限内に表題登記申請しないと「10万円以下」の罰金が課せられるので注意しましょう。

不動産所有者でも登記申請可能だが実際には司法書士に代行する場合が多い

さきほども説明した「契約自由の原則」があるため、不動産所有者本人でも登記申請できます。

しかし、実際には司法書士が代行して登記申請する場合が多いです。

というのも、登記申請の手続きには、申請に必要な書類を集めたり、記載の難しい「登記申請書」の作成が必要なため、登記の実務経験がないと非常に困難だからです。

ですので、不動産所有者本人でも登記申請できますが、実際に登記申請する場合は司法書士への依頼をおすすめします。

売買時や抵当権設定時は取引相手が司法書士を指名するケースがほとんど

多くの不動産会社や金融機関が、司法書士事務所と連携しています。

ですので、売買時や抵当権設定時は、取引相手が連携している司法書士を介して、登記申請をおこなうケースがほとんどです。

また、取引相手がいる場合、契約を締結する当日に登記申請する必要があります。

この場合、登記申請はミスが許されないため、本人による登記申請を認めらないこともあります。

共有持分を取引する場合も登記申請が必要

共有不動産とは、複数人で所有している不動産のことです。

そして、共有不動産におけるそれぞれの所有割合を、共有持分といいます。

共有持分だけを取引することは可能で、実際に共有持分の売買を専門とする不動産会社もあります。

ただし、共有持分だけの取引でも、持分権を明らかにする登記申請が必要です。

共有持分(共有不動産)については、こちらの記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。

共有不動産 共有不動産とは?不動産共有におけるトラブル例と私道の共有持分をわかりやすく解説

「登記申請書」を作成して法務局に提出すると登記申請できる

登記簿に登録されている情報を更新するには「登記申請書」を作成する必要があります。

登記申請書とは、登記の目的や原因を記載した、登記申請に用いられる書類のことです。

不動産の状況や所在、所有者の状況などが登記申請書に記載されます。

登記申請書を作成し、該当不動産を管轄する法務局に提出すると登記申請ができます。

「家」と「マンション」における登記の大きな違いは登記申請書の記載内容

「家」と「マンション」は登記簿上において、記載内容が違います。

マンションは「区分所有建物」として扱われるため、通常の建物とは扱いが大きく違うからです。

区分所有建物とは、1つの建物内に「住居・店舗・事務所」などが独立して構成されている建物のことです。

区分所有建物の登記申請書は、通常の建物における登記申請書とは違った記載が必要なので注意しましょう。

こちらの記事で、マンションの権利関係について詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

マンションを購入した住民が得られる3つの権利!マンションの共有持分だけを売却する方法も解説

建物を登記する場合は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」を登記簿通りに記載する

通常の建物を登記するときは、該当する建物の状況や所在を明らかにする必要があります。

ですので、登記申請書には「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」を記載します。

登記申請書に記載する内容は登記簿の「表題部」通りに記載しましょう。

マンションを登記する場合は「一棟の建物の表示・専有部分の建物の表示・敷地権の表示」もあわせて記載する

マンションを登記する場合は、まず「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」を記載し、該当する建物の状況や所在を明らかにします。

そして、マンションの権利関係を明らかにするため「一棟の建物の表示・専有部分の建物の表示・敷地権の表示」もあわせて記載します。

なお、マンションの登記は基本的に管理会社がおこなうため、本人による登記が認めらないことが多いです。

登記が必要な状況ごとにおける登記の種類を紹介

登記申請をおこなうには、登記の種類を把握することが重要です。

以下の項目から、登記が必要な状況ごとにおける、登記の種類を解説しています。

参照:法務局ホームページ「不動産登記の申請書様式について」

不動産を入手・手放したときは「所有権移転登記」が必要

単独名義における不動産の所有者が変わるとき「所有権移転登記」が必要です。

所有権移転登記がおこなわれる主な原因を以下のリストにまとめました。

    所有権移転登記がおこなわれる主な原因
  • 売買を原因とする所有権移転登記
  • 贈与を原因とする所有権移転登記
  • 持分放棄を原因とする所有権移転登記
  • 相続を原因とする所有権移転登記

上記のリストのように、不動産を入手・手放したときに「所有権移転登記」が必要になります。

名前の変更や引越しによって「登記簿」の情報と差異が生じたときは「変更登記」が必要

不動産の情報だけではなく、登記簿上における不動産所有者の情報が変更された場合も登記は必要です。

「結婚によって不動産所有者の名前が変わった」ときや「引越しによって不動産所有者の住所が変わった」ときに「変更登記」をする必要があります。

ローン設定時や不動産を担保に借り入れするときは「抵当権設定登記」が必要

不動産を担保に借金したり、ローンを借り入れることがあると思います。

不動産を担保にしてお金を借りるとき、担保にする不動産に対して「抵当権」という権利が設定されます。

抵当権とは「債権者が融資する際」に「債務者の不動産を担保に設定」できる権利のことです。

借金の返済が滞り抵当権が実行されると、債務者は借金返済のために不動産を競売しなくてなりません。

ですので、ローン設定時や不動産を担保に借り入れするときは「抵当権設定登記」がおこなわれます。

抵当権設定登記については、こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

共有持分の抵当権設定登記 共有持分の抵当権設定登記は司法書士へ依頼しよう!登記にかかる費用や必要書類も解説します

ローンや借金を完済したら「抵当権抹消登記」が必要

住宅ローンや借金を完済したとしても、不動産に対する抵当権は自動的に消滅しません。

「抵当権抹消登記」をおこない、登記簿上からも抵当権の設定を解除する必要があります。

もしも、借金を完済したのに抵当権抹消登記をせずにいると、不動産を自由に扱えない可能性もあります。

登記簿に登録されていない新築を購入するときは「表題登記」が必要

登記は「登記簿に登録されている不動産情報」と「現在の不動産情報」の差異を無くすために、おこなわれます。

しかし、新しく家を建てるとき、新築不動産の情報は登記簿にありません。

ですので、登記簿に登録されていない新築を購入する場合は「表題登記」をする必要があります。

表題登記とは、建物の所在や状況を明示するための登記です。

なお、表題登記は他の登記手続きと違い、必ず登記申請するよう法律で定められています。

表題登記申請後に不動産の「所有者」を明示するため「所有権保存登記」が必要

前の項目でも説明したとおり、新築を購入した際は表題登記をおこない、建物の情報を登記します。

しかし、表題登記では不動産の情報しか登記できません。

そこで、不動産所有者の情報を登記するために「所有権保存登記」が必要です。

所有権保存登記は一般的に、新築購入時に抵当権設定登記とあわせて、おこなわれるケースが多いです。

登記簿情報の誤りなど不動産の登記情報を修正するときは「更正登記」が必要

登記をおこなった時点で、すでに情報が誤っている場合は登記の訂正が必要です。

このような、登記簿情報の誤りを訂正する登記のことを「更正登記」といいます。

共有持分を誤って登記してしまった場合などに更正登記が必要になります。

更正登記については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

共有持分 更正登記 【間違った登記はすぐ修正!】共有持分における更正登記の方法や用意する書類と費用などを解説します

共有持分を登記するときは「持分全部移転登記」が必要

不動産が共有されている場合でも、不動産における一部の権利(共有持分)だけを取引できます。

共有持分を取引する際は「持分全部移転登記」が必要です。

例えば、Aさんが自らの持分を全て売却するとなると「A持分全部移転登記」がおこなわれます。

共有持分における移転登記については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

共有持分の移転登記が必要な状況を詳しく解説!登記費用や税金についても説明します

登記申請にかかる費用は登録免許税などの諸費用と司法書士報酬

登記申請にかかる費用は「必ずかかる費用」と「司法書士に依頼した場合のみかかる費用」があります。

登記申請に必ずかかる費用は、必要書類の申請費用や登録免許税などの諸費用です。

そして、司法書士に登記申請を依頼する場合は必ずかかる費用の他に、司法書士報酬が必要になります。

登記の種類ごとに登録免許税は定められている

さきほども説明しましたが、登記はさまざまな種類に分類されます。

登記申請における登録免許税は一律ではなく、登記の種類によって定められています。

以下のリストと式を用いて、登録免許税を計算してみましょう。

参照:国税庁ホームページ「No.7191 登録免許税の税額表」

課税標準×税率=登録免許税
登録免許税の求め方
登記の種類 課税標準 税率
売買による所有権移転 不動産の価額 2%
相続による所有権移転 不動産の価額 0.4%
贈与による所有権移転 不動産の価額 2%
保存登記 不動産の価額 0.4%
抵当権設定登記 不動産の価額 0.4%

例えば「1,000万円の不動産」を売却するときの登録免許税は、以下の式で求められます。

1,000万円×2%=20万円

なお、建物の状況や法律の改定によって、軽減税率が導入されると登録免許税が変動します。

ですので、実際に登記申請する際は、司法書士や不動産会社への相続をおすすめします。

ちなみに、変更登記の場合は不動産一つにつき1,000円(固定額)の登録免許税がかかります。

共有持分の登録免許税は「不動産の価額×税率×共有持分の割合」

共有持分における登録免許税の計算は、通常の不動産と計算方法が違うので注意が必要です。

共有持分における登録免許税の計算式は、以下のようになっています。

不動産の価額×税率×共有持分の割合=登録免許税

例えば「1,000万円の不動産」の「1/4の共有持分」を売却するときの登録免許税は、以下の式で求められます。

1,000万円×2%×0.25=5万円

共有持分における登録免許税は、通常の不動産における登録免許税よりも、安くなることを覚えておきましょう。

「表題登記」に登録免許税は課税されないが1カ月をすぎると10万円以下の罰金が課せられる

新築を購入した際には「表題登記」の申請が義務付けられています。

表題登記には申請義務があるので、登録免許税は課税されません。

しかし、申請期間の1カ月を過ぎてしまうと、10万円以下の罰金が課せられるので注意が必要です。

登記申請における司法書士報酬の相場は「3万円から10万円程度」

相続や売買における登記申請費用は高くなりがちです。

一方で、抵当権設定や変更登記における、登記申請費用は安くなる傾向にあります。

これらのことから、司法書士報酬の相場は「3万円から10万円」といわれています。

相場に大きく開きがある理由は、登記の種類ごとに費用設定されているケースが多いからです。

ですので、実際に登記申請を依頼する場合は、何件かの司法書士に見積もり依頼し、その中で一番条件のよい司法書士に登記申請依頼するとよいでしょう。

なお、登記申請を司法書士に依頼する場合は司法書士報酬だけでなく、登記申請にかかる実費も必要になるので注意が必要です。

申請者本人でも登記申請できるが登記申請は複雑な手続きのため司法書士への依頼がおすすめ

不動産を売買したときや、不動産の所有者名義が変わったときなどに、登記が必要です。

登記申請せずにいると、後々に不動産の扱いや権利関係を巡って、トラブルが起きる恐れもあります。

登記簿の情報と、現在の情報が変わったときには、忘れず登記申請をしましょう。

また、登記申請は不動産所有者本人でもできますが、複雑で手続きも難しいため、司法書士に依頼するとよいでしょう。

司法書士に申請依頼すると、費用はかかってしまいますが、確実に登記申請の手続きをおこなえます。

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