共有名義の片方が死亡したときの相続の仕方|具体的な手続きの手順を解説

共有名義 片方死亡 相続

不動産を共有名義で所有している場合、共有者の片方が死亡してしまう事態もあるでしょう。

この場合、死亡した共有者に相続人がいれば共有持分もその人のものですが、相続人がいない場合、共有持分は「特別縁故者」や「生きている共有者」が取得できます。

しかし、特別縁故者や生きている共有者が共有持分を取得するためには、家庭裁判所の手続きなどで手間がかかります。

そこで、共有者の死亡をきっかけに自分の共有持分も処分したい場合は、共有持分の専門買取業者に買い取ってもらうと処分がスムーズです。

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この記事のポイント!
  • 死亡した共有者の共有持分は法定相続人が相続する。
  • 相続人がいなければ特別縁故者が、特別縁故者もいなければ生きている共有者が共有持分を取得できる。
  • 特別縁故者や共有者が共有持分を取得するには「相続財産管理人選任の申立」が必要。
目次
  1. 「死亡した共有者の共有持分」はだれのもの?
  2. 共有者の片方が死亡したときの相続手続きと流れ
  3. 死亡した共有者に法定相続人がいない場合の手続きと流れ
  4. 共有持分を相続したくないときの対処方法
  5. 共有持分の相続における注意点
  6. 共有者が死亡したときは「相続人の有無」から確認しよう

「死亡した共有者の共有持分」はだれのもの?

共有名義の場合、死亡した共有者(被相続人)の共有持分(共有不動産における各共有者の所有権)は、相続人が引き継ぎます。

しかし、共有者に相続人がいない場合はどうなるのでしょうか?

相続人がいない場合、まずは「特別縁故者」に共有持分を受け取る権利があります。特別縁故者とは、内縁の妻や介護者など、相続人以外で被相続人と特別な関係があった人です。

法定相続人と特別縁故者の両方がいない場合、死亡した共有者の共有持分は「生きている共有者」に帰属されます。

優先順位をまとめると、以下のようになります。

  1. 死亡した共有者の法定相続人が共有持分を相続する
  2. 法定相続人がいない場合は特別縁故者へ共有持分の財産分与がおこなわれる
  3. 法定相続人と特別縁故者がいなければ共有持分は共有者に帰属される

次の項目から順番にひとつずつ、解説していきます。

「法定相続人」や「特別縁故者」について詳しく知りたい場合、こちらの記事もあわせてご覧ください。

特別縁故者とは 特別縁故者とは?認められる要件や遺産を取得する方法を詳しく解説

1.死亡した共有者の法定相続人が共有持分を相続する

法定相続人とは、法律で定められた相続人のことです。被相続人の配偶者や血縁関係者が法定相続人となります。

遺言書による相続人の指定がない場合、基本的に法定相続人が遺産分割協議をおこない、どのように相続するか決定します。

共有者が増えれば、共有者間の対立も起こりやすくなります。共有不動産の管理や処分に関して、トラブルが起こるケースも少なくありません。

共有不動産のトラブルが起こりそうな状況だと感じた時は共有持分を所有する各共有者と協力し、専門買取業者へ売却後、現金で分けるなどで共有関係を解消しておくとよいでしょう。

法定相続人の範囲と法定相続分の割合

法定相続人は、民法によって「被相続人の範囲」や「法定相続分の割合」が定められています。

被相続人の配偶者は必ず相続人になり、配偶者以外の人は次の順序で相続人の権利をもちます。

  • 第1順位:被相続人の子供(子供がすでに死亡しているときは孫)
  • 第2順位:被相続人の直系尊属(父母が優先して相続し、父母がすでに死亡しているときは祖父母が相続)
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が死亡しているときはその子供)

第1順位の人がいなければ第2順位の人が相続人に、第2順位の人もいなければ第3順位の人が相続人になります。

法定相続分(遺産のうち何割をだれが相続できるか)は、次のとおりです。

法定相続人 法定相続分
配偶者と子供 ・配偶者1/2
・子供(2人以上のときは全員で)1/2
配偶者と直系尊属 ・配偶者2/3
・直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
配偶者と兄弟姉妹 ・配偶者3/4
・兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4※異母もしくは異父の兄弟姉妹は1/8

 

配偶者以外の相続人は、2人以上いるときは全員で均等に分割します。相続人が「配偶者1人、子供2人」であれば、子供1人ずつの法定相続分は1/4です。

また、配偶者がすでに死亡している場合、配偶者の相続分も各順位の相続人で均等にわけます。配偶者が死亡しており、相続人が「子供2人」であれば、子供1人ずつの法定相続分は1/2になります。

ただし、法定相続分による遺産の分割は義務ではありません。遺産分割協議ですべての法定相続人が合意すれば、異なる割合での遺産分割も可能です。

参照:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」

参照:e-Govポータル「民法第887条、890条、900条、907条」

法定相続分とは 法定相続分とは?遺産分割における法定相続分の割合と優先順位をわかりやすく解説します

遺言があれば法定相続人以外も相続人になる

被相続人が遺言を残すことで、法定相続人以外の人物を相続人とすることもできます。

これを「遺贈」といい、被相続人が遺言書を作成して相続人や分割方法を指定します。

ただし、法定相続人には「遺産の最低限と取り分」である遺留分が定められており、遺留分に背いた遺言があっても、法定相続人は遺留分の財産を取得できます。

民法第1042条 
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一

引用:e-Govポータル「民法1042条」

相続人 配偶者の遺留分 子供の遺留分 直系尊属の遺留分
配偶者のみ 1/2
配偶者と子供 1/4 1/4
配偶者と直系尊属 1/3 1/6
子供のみ 1/2
直系尊属のみ 1/3

また、遺言書は書式のミスで無効となる場合もあるため、弁護士と相談しながら作成するとよいでしょう。

2.法定相続人がいない場合は特別縁故者へ共有持分の財産分与がおこなわれる

死亡した共有者に法定相続人がいない場合、特別縁故者へ相続財産分与がおこなわれます。特別縁故者とは、生前の被相続人と特別な関係性がある人物を指します。

法定相続人がいないことが明確であれば、被相続人の債務を清算した後に残る相続財産の一部もしくは全部を、特別縁故者が取得できます。

民法第958条の3
(前略)家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

引用:e-Govポータル「第958条の3」

ただし、特別縁故者への相続財産分与は自動的におこなわれるわけではなく「相続財産管理人選任の申立」によって、自分が特別縁故者であることを主張する必要があります。

相続財産管理人について詳しく知りたい人は、こちらの記事もあわせて参考にしてください。
相続財産管理人とは 相続財産管理人とは?必要なケースや選任方法をわかりやすく解説

特別縁故者の条件

特別縁故者の条件は、次の3つです。

  • 被相続人と生計を同じくしていた者
  • 被相続人の療養看護に努めた者
  • その他被相続人と特別の縁故があった者

「被相続人と生計を同じくしていた者」の代表的な例は、内縁の妻です。その他にも、被相続人と親子同然の関係で同居していた場合も含まれます。

「被相続人の療養看護に努めた者」は、被相続人の生前、身の回りの世話などを無報酬でおこなった人を指します。仕事として報酬を受け取っていた場合は対象になりません。

「その他被相続人と特別の縁故があった者」は事例によりますが、口約束でも被相続人から財産を譲る約束されていると、認められる場合があります。

参照:裁判所「特別縁故者に対する相続財産分与」

3.法定相続人と特別縁故者がいなければ共有持分は共有者に帰属される

死亡した共有者に法定相続人も特別縁故者もいない場合、共有持分はまだ生きている共有者に帰属されます。

民法第255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

引用:e-Govポータル「民法第255条」

他共有者への帰属は、それぞれの持分割合の比率にしたがって分配されます。

例えば、Aが3/5、BとCが1/5ずつ共有持分をもっていたとしましょう。
Cが死亡したとき、Cの持分は「AとBの持分割合の比率(3:1)」で分割されます。
・帰属後のAの持分割合
1/5(Cの共有持分)×3/4(Bに対するAの持分割合の比率)=3/20
3/5(Aの共有持分)+3/20=3/4
・帰属後のBの持分割合
1/5(Cの共有持分)×1/4(Aに対するBの持分割合の比率)1/20
1/5(Bの共有持分)+1/20=1/4

共有者への帰属に関しても、特別縁故者への相続財産分与と同じように「相続財産管理人選任の申立」が必要です。

「共有者への帰属」より「特別縁故者へ相続財産分与」が優先される判例がある

「共有者への帰属(民法第255条)」も「特別縁故者への共有持分の財産分与(民法第958条の3)」も、両方が民法で規定されたものです。

この2つの条文について、平成元年11月24日の最高裁で第958条の3が優先されるという判例が出ています。

しかし、同判例には反対意見もあり、状況次第では優先度の解釈が変わる可能性もあるため、正確な判断は弁護士に相談してみるとよいでしょう。

参照:裁判所「最高裁判例 平成元年11月24日」

共有者の片方が死亡したときの相続手続きと流れ

共有持分を相続する手続きは、通常の不動産相続と大きな違いはありません。

手順を大きくわけると、次の4段階があります。

  1. 相続人の人数と遺言書の有無を確認
  2. 遺産分割協議
  3. 相続登記による名義変更
  4. 相続税の申告と納税

それぞれの手順について、詳しく解説していきます。

共有持分 相続 共有持分の相続は「売却」でリスクを防げる!相続から売却までの流れを解説します

1.相続人の人数と遺言書の有無を確認

まずは相続人の人数を確認します。法定相続人全員が揃わなければ遺産分割協議が成立しません。

ただし、協議は電話やメールでも可能なので、全員が一同に顔を合わせる必要はありません。弁護士などに代理人となってもらうことも可能です。

遺言書があれば、遺言書のとおりに遺産分割をおこないます。後から遺言書が発見されると相続のやり直しが必要になるので注意しましょう。

遺言書の有無は、次の方法で確認しましょう。

  • 公証役場で検索
  • 自宅など保管されていそうな場所を探す
  • 法務局で検索

公証役場や法務局に保管していない場合、自力で見つけるしかありません。自宅や病室、貸金庫などを探してみましょう。

2.遺産分割協議

法定相続人で遺産分割協議をおこないます。法定相続分どおりに分割するのが基本ですが、相続人全員の同意があれば異なる割合での分割可能です。

遺言書があればその内容が優先されますが、こちらも相続人全員の合意があれば、違う割合で分割できます。

義務ではありませんが、遺産分割協議が完了したら遺産分割協議書を作成しておくとよいでしょう。相続登記で使用する他、相続人同士のトラブル防止にもなります。

遺産分割協議書は相続人本人が作成することもできますが、記載ミスを防ぐためにも弁護士や司法書士に作成してもらうのが一般的です。

作成費用は法律事務所によってさまざまですが、おおむね5~10万円程度で、遺産額によってはさらに高くなる場合があります。

遺産分割協議とは 相続発生時における遺産分割協議の基礎知識と流れを解説!遺産分割は相続人全員で協議しよう! 遺産分割協議書 書き方 遺産分割協議書は相続人が作れる!ひな形通りの正しい書き方や作成依頼先も解説

3.相続登記による名義変更

共有持分の分割割合が決まったら、法務局で名義変更をおこないます。

必要書類と相続登記申請については、関連記事に詳しく解説しているので参考にしてください。

相続登記申請書 書き方 相続登記申請書の記載例をひな形を使って解説!必要書類や登記申請の方法も説明します

登記申請にかかる費用ですが、遺産額が1,000万円の場合を例にすると自分で申請する場合は5万円、弁護士や司法書士に依頼した場合は6~10万円です。遺産額や法律事務所によって異なります。

共有持分 登記費用 共有持分の登記費用と節約方法を解説!登記の手順や必要書類も説明します

4.相続税の申告と納税

最後に、税務署で相続税の申告と納税をおこないます。

被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内が期限です。期限を過ぎると、加算税や延滞税がかかるため注意しましょう。

申告は、被相続人の住所地を管轄する税務署でおこないます。

相続税の計算については、以下の関連記事で計算例を紹介しています。土地と現金のどちらを相続したほうがお得かも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

相続 土地と現金 どっち 相続するなら土地と現金どっちがお得?それぞれのメリットとデメリットを解説

参照:国税庁「相続税の申告と納税」

相続税の申告期限は10ヶ月以内なので相続手続きが長引く場合は先に申告

相続税の申告期限は10ヶ月以内ですが、遺産分割協議が長引くなど、期限までに相続が終わらない場合があります。

そのような場合は「法定相続分で分割したと仮定」して相続税を申告しましょう。

仮の申告後、遺産分割が確定したら実際の分割割合にそって追加納税や支払いすぎた税金の還付を申告します。

遺産分割の確定前に申告する場合、3年内分割見込書を作成して提出しましょう。これを提出しておけば、再申告の際に各種控除の特例を受けられます。

参照:国税庁「相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続」

死亡した共有者に法定相続人がいない場合の手続きと流れ

死亡した共有者に法定相続人がいない場合、共有持分は「特別縁故者への相続財産分与」か「共有者への帰属」のどちらかをおこないます。

どちらの場合も「相続財産管理人選任の申立」をしなければいけません。財産を取得しようとする特別縁故者および共有者が自分で申請する必要があります。

相続財産管理人選任の申立から実際に共有持分を取得するまで、1年以上の期間がかかる点は覚えておきましょう。

1.相続財産管理人選任を申し立てる

相続財産管理人選任の申立は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所でおこないます。

選任申立に必要な書類は、次のとおりです。

  • 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 法定相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票か戸籍附票
  • 財産を証明する資料(不動産であれば不動産登記事項証明書)
  • 利害関係を証明する資料

上記の資料と、裁判所のホームページでダウンロードできる相続財産管理人の選任の申立書を記入して提出します。

個別の事情で必要書類が異なる場合もあるので、申し立てるときは弁護士に相談しながら手続きをするとよいでしょう。

参照:裁判所「相続財産管理人の選任の申立書」

相続財産管理人選任の申立費用

相続財産管理人選任の申立でかかる費用は、次のとおりです。

  • 申立費用:収入印紙800円
  • 予納郵便切手:1,000円程度(裁判所による)
  • 官報公告費用:4,230円
  • 予納金:数十~数百万円

予納金は、相続財産管理人の報酬や管理費用にあてる費用です。相続財産を処分しても不足する場合に備えて、不足分の費用を申立人があらかじめ納付します。

遺産から支払いができれば予納金は返金されますが、不足した場合には返ってこなくなるので注意しましょう。

参照:裁判所「相続財産管理人の選任」

2.相続財産管理人が債権者への支払いや相続人の捜索をおこなう

申立を受けた家庭裁判所は、相続財産管理人を選任します。相続財産管理人は、弁護士や司法書士が選ばれるのが一般的です。

相続財産管理人は、債権者への支払いや相続人の捜索をしていきます。

相続人の捜索は官報の公告によっておこない、相続人が現れなければ「相続人の不存在」が確定します。

3.債権者への支払い後に残った共有持分を特別縁故者もしくは共有者が引き継ぐ

相続人の不存在が確定し、債権者への支払いも終了したら、改めて「特別縁故者に対する財産分与の審判」を家庭裁判所に申し立てましょう。

家庭裁判所が調査し、特別縁故者と認められるかどうかや、具体的にどの程度の財産を分与すべきか審判によって決定します。

また、特別縁故者がいない場合、共有持分は共有者へ帰属されます。

参照:裁判所「特別縁故者に対する相続財産分与の申立書」

共有持分を相続したくないときの対処方法

相続財産のなかに共有持分がある場合「相続放棄をしたい」と考える人も少なくありません。

共有持分を取得しても不動産を自由に使えず、管理方法などで共有者とトラブルになりやすいからです。自由に使えないのに、税金などの負担を強いられる恐れもあります。

しかし、相続時に共有持分を処分する方法は放棄だけではありません。売却して現金化することも検討してみることもおすすめします。

次の項目から、共有持分の処分方法について詳しく解説していきます。

相続放棄をする

相続放棄は、相続人としての権利を放棄する方法です。相続放棄をした相続人は「最初からいなかった」ものとして遺産分割がおこなわれます。

共有持分の相続を回避するほか、相続財産に負債が多く含まれている場合や、遺産分割に関するトラブルを避けたい場合に有効な方法といえます。

ただし、ほかの相続財産もすべて放棄するため、相続放棄することで損失に繋がる可能性もあるので注意が必要です。

共有持分 相続放棄 共有持分は相続放棄するべき?メリット&デメリットや手続き方法を解説します!

相続する前に法定相続分を売却する

自分の法定相続分であれば、遺産分割が確定する前に売却できます。

法定相続分を売却すれば、放棄と同じように遺産分割に関するトラブルを避けつつ、現金を手に入れられます。相続放棄より経済的なメリットは大きいといえるでしょう。

ただし、相続財産に現金・不動産・証券など複数の財産があるときに「不動産の法定相続分だけ売却」といったことはできません。遺産分割前に共有持分を売りたいときは「相続財産が共有持分しかない状態」が条件です。

法定相続分の共有持分を売却するときは法律の知識が必要なので、弁護士と連携した買取業者に相談するとよいでしょう。相続に関する悩みや不安も、法律の観点からアドバイス・サポートを受けられます。

一旦相続した後に共有持分を放棄する

遺産分割を済ませ、一旦相続した後に共有持分を放棄する方法もあります。放棄した共有持分は、他共有者に帰属します。

持分放棄にあたって、他共有者の同意は必要ありません。自分の意思でいつでもおこなえます。

相続放棄と違い、共有持分だけを放棄するので「共有持分はいらないけどほかの相続財産は欲しい」という状況に有効な方法です。

一旦相続した後に共有持分を売却する

一旦相続した後に、共有持分を売却する方法もあります。

遺産分割の手続きを済ませる必要はありますが、その後は自分の意思で自由に売却できます。他共有者の同意も必要ありません。

ただし、共有持分は需要が少ないため、一般的な不動産会社に相談しても取り扱いを断られるか、安く買い叩かれる恐れがあります。

共有持分の売却は、高額かつ最短数日のスピード買取が可能な専門買取業者に買取ってもらうのがおすすめです。

共有持分の相続における注意点

共有持分を相続するとき、とくに注意すべき点が2つあります。

  • 離婚した配偶者は法定相続人にならない
  • 相続手続きの放置はトラブルが起こりやすいため避けるべき

上記の2つは、不動産が共有名義であるために問題になりやすくなります。

離婚した元配偶者は法定相続人にならない

夫婦が共有名義で家を購入するケースは珍しくありませんが、離婚後も共有名義を維持しており、元配偶者が死亡した場合の相続には注意が必要です。

離婚した場合、元配偶者は法定相続人にはなりません。あくまで「不動産の共有名義者」という関係者なので、遺産分割には関与できません。

遺産分割の結果によっては、別れた配偶者の親兄妹と共有関係になってしまいます。離婚後にこのような状況になってしまっては、気まずいと感じる人も多いでしょう。

このような問題を防ぐためにも、離婚時には不動産の共有名義を解消しておくことをおすすめします。

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相続手続きの放置はトラブルが起こりやすいため避けるべき

両親が共有名義で家を所有しており、片方が亡くなって相続が発生するケースで、共有持分の相続手続きをせず「もう一方の親が亡くなるまで放置しておきたい」と考える人がいます。

「まとめて手続きしたほうが簡潔に処理できて経費も安くなる」と考えるようですが、相続手続きは放置しているとトラブルが起こりやすいため避けるべきです。

被相続人の死亡から時間が経つと必要書類の準備が難しくなるなど、デメリットしかありません。

相続が発生した時点でしっかりと遺産分割を確定させて、相続登記をおこないましょう。

共有者が死亡したときは「相続人の有無」から確認しよう

共有名義者の片方が死亡した場合、まずは相続人がいるのか、いるとしたら何人いるのかを確認しましょう。

相続人がおらず、特別縁故者になる人もいなければ、共有持分は生きている共有者に帰属されます。

また、共有持分を相続したくない場合、共有持分専門の買取業者に買取ってもらえば共有関係を解消することも可能です。共有持分の専門買取業者に相談して、売却に向けたアドバイスを聞いてみるとよいでしょう。

共有者の死亡に関してよくある質問

死亡した共有者の共有持分は、だれのものになりますか?

死亡した共有者に相続人がいれば、その人たちで分割します。相続人がいない場合、生前の共有者と特別な間柄にあった特別縁故者に取得する権利があり、特別縁故者もいない場合は生きている共有者に帰属されます。

共有持分を相続する場合、具体的になにをすればよいですか?

まずは相続人の人数と遺言書の有無を確認しましょう。その後、相続人全員で遺産分割協議をおこない、共有持分を含めた相続財産を「だれが」「どのように」相続するか決定します。遺産分割協議にしたがって相続登記と相続税の申告・納税をすれば手続きは完了です。また、遺言書がある場合は遺産分割協議をおこなわず、遺言書の内容にしたがって相続します。

共有持分を相続したくありません。どうすればよいですか?

相続放棄や法定相続分の売却で、遺産分割前に共有持分を処分できます。ただし、ほかの相続財産もすべて処分しなければいけないので、共有持分だけを処分したい場合は一旦相続した後、共有持分専門の買取業者に買取ってもらうとよいでしょう。

相続人がいなければ、共有持分は自動的に特別縁故者や生きている共有者のものになりますか?

いいえ、共有持分を取得したいと考える人が「相続財産管理人選任の申立」をする必要があります。家庭裁判所に申し立てて、選任された相続財産管理人が相続人の有無や債権者への支払いをして残った共有持分を、特別縁故者もしくは共有者が引き継ぎます。

死亡した共有者に相続人がいない場合、生きている共有者は具体的になにをすればよいですか?

死亡した共有者に相続人が本当にいないか、加えて特別縁故者もいないか確認しましょう。並行して、相続財産管理人選任の申立をおこないます。適切な対処をするためにも、まずは弁護士に相談してアドバイスをもらうとよいでしょう。

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