共有持分の売却を検討しているとき、1番気になるのは査定額でしょう。
不動産の価格には、過去の売買価格である「実勢価格」や国が算出した目安の「公示地価」など、いくつかの評価基準があります。
しかし、共有持分の査定は一般的な評価基準に加えて「物件の立地」や「持分割合」など、物件ごとに異なる事情を考慮しなければいけません。
共有持分の査定額を上げるためには、持分割合を増やしたり、隣地との境界を明確にするなど、いくつかの方法があります。
査定額を上げるために重要なのは、高額買取が可能な「共有持分専門の買取業者」に買取してもらうことです。まずは無料査定を利用して、自分の共有持分が実際にいくらになるのか、具体的な価格を聞いてみましょう。
- 共有持分には6種類の査定額がある。
- 共有持分を売却する場合、不動産会社の予想した査定額だけを参考にすればOK。
- 共有持分専門の買取業者なら高額査定してもらいやすい。
不動産売買と税金の計算では共有持分の査定額が異なる
まずはじめに「共有持分を売る時、どの価格を参考にするべきか」を解説します。
不動産の価格を表す「評価額」は6種類あり、用途によって3パターンに分けることができます。
- 実際の不動産売買に使用される=「査定額」
- 不動産売買の目安にされる=「実勢価格」「公示地価」「基準地価」
- 納税額の計算に使う=「相続税路線価」「固定資産税評価額」
共有持分の売買において、最も影響力を持つ評価額は「不動産会社の査定額」です。
それぞれの評価額は、以下のような比率といわれています。
- 査定額(実勢価格と同等)
- 実勢価格(公示地価の1.1倍)
- 公示地価
- 基準地価(公示地価と同等)
- 相続税評価路線価(公示地価の0.8倍)
- 固定資産税評価額(公示地価の0.7倍)
このように不動産会社の査定額は、納税額の計算に用いる評価額より高いことが多いです。
そのため、まだ査定を受けていない場合、共有持分の評価額が上がる可能性があります。
不動産会社が予想した売却金額が「査定額」
「査定額」とは、不動産会社の査定で見積りされる、その業者が予想した売却金額のことです。
不動産会社の査定では、最新のデータを基に立地や条件を加味して、不動産1件1件ごとに適切な評価がおこなわれます。
しかし、査定額以外の評価額はあくまで過去の事例や納税額を決める目安でしかないため、あまり参考になるとはいえません。
ケースごとに異なるため、共有持分の明確な相場は存在しませんが、不動産売買においては業者が見積りした「査定額」が最も実際の売却価格に近い価格となります。
【共有持分の買取相場と事例】査定の重要ポイントや高く売れやすい共有持分の特徴も説明過去の売買から割り出した平均が「実勢価格」
「実勢価格」は実際に売買された土地の売却金額を集計したデータで、国土交通省が公表しています。
不動産を売買した人にアンケートをおこなったデータから実際にあった取引ケースを把握できますが、全ての不動産売買は記録していないため、欲しいデータの事例が見つかるとは限りません。
実勢価格については、国土交通省のホームページから閲覧することができます。
国が調べた土地価格の目安が「公示地価」
「公示地価」は地価公示法によって、土地売買の目安にするために国が公表している価格指標です。
地価公示法 第1条
この法律は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もつて適正な地価の形成に寄与することを目的とする。
第1条の2
都市及びその周辺の地域等において、土地の取引を行なう者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行なうよう努めなければならない。引用:e-Govポータル「地価公示法 第1条」
国が選定した「標準地」の毎年1月1日時点での地価を、不動産鑑定士が調査して、毎年3月下旬に発表しています。
ただし、あくまで国が定めた「標準地」の評価額でしかないので、自分の不動産が標準地から遠い場合は参考にならないため注意が必要です。
過去の調査でも、実勢価格と公示価格に1.5倍以上も差が出た事例もあるため、売却価格の参考にはならないことが多いです。
公示地価についても、国土交通省のホームページから閲覧することができます。
都道府県が調べた土地価格の指標が「基準地価」
「基準地価」は国土利用計画法施行令によって、土地取引をおこなうため各都道府県が発表している適正価格です。
各都道府県が選んだ「基準地」という土地について、毎年7月1日時点での価値を不動産鑑定士が評価して、毎年9月下旬に発表されます。
「標準地」と「基準地」は重複することもあるため、年2回データが調査される土地もありますが、やはり自分の不動産と基準地が近くないと参考になるとは限りません。
基準地価についても、各都道府県のホームページや図書館などで閲覧可能です。
参照:東京都のホームページ
相続税や贈与税の計算に使う「相続税路線価」
「相続税路線価」は土地に関する税金を計算するため、目安として国税庁が発表している指標価格です。
土地に関する税金を計算する際、1つ1つの地価を調査していたら、非常に手間がかかります。
そこで公道に「路線価」という価格をつけて、道路に接している面積から、土地の価格を計算しています。
「路線価×接している面積=土地の評価額」という計算式で資産評価をおこなうことが可能です。
路線価は、毎年1月1日時点での道路自体の地価を不動産鑑定士が評価して、毎年8月に発表されます。
ただし、道路に隣接していない場合も多い上、実際の市場価格と異なるため参考にならないケースが多いので注意しましょう。
路線価図についても、国税庁のホームページから確認することができます。
毎年の固定資産税の計算に使う「固定資産税評価額」
「固定資産税評価額」は固定資産税などを計算するための目安として、各都道府県が発表している評価額です。
固定資産税・都市計画税・登録免許税・不動産取得税を計算する際、一軒ずつ地価を調査せずに済むよう、3年に1回のペースで各市区町村が公表しています。
固定資産税評価額は、総務大臣が定めた「固定資産税評価基準」を基に市区町村が決定します。
評価基準はさまざまですが、公示価格の約70%であることが明言されているため、市場価格の参考にならない場合が多いです。
固定資産評価基準
第12節 経過措置 一 宅地の評価において、第3節二(一)3(1)及び第3節二(二)4の標準宅地の適正な時価を 求める場合には、当分の間、基準年度の初日の属する年の前年の1月1日の地価公示法(昭和44 年法律第49号)による地価公示価格及び不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価から求 められた価格等を活用することとし、これらの価格の7割を目途として評定するものとする。こ の場合において、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補による鑑定評価から求められた価格等を活用 するに当たつては、全国及び都道府県単位の情報交換及び調整を十分に行うものとする。引用:固定資産評価基準(総務省)
固定資産税評価額は、毎年送られてくる「納税通知書」で確認することができます。
もしも納税通知書を紛失した場合は、市区町村役場で発行できる「固定資産税評価証明書」で確認が可能です。
共有持分の査定額を上げるには持分割合を増やす方法がベスト
不動産会社の査定で重要視されるのが「共有不動産の権利を何割持っているか」です。
共有不動産を売却した後、売却利益は共有者それぞれの持分割合に応じて分配します。
この不動産が1,000万円で売却できた場合、それぞれの持分割合に応じて売却価格を分配します。
持分割合が大きいほど、売却価格を多く取得できます。
また、持分割合が多いほど、共有不動産に対してできることも増えるため、不動産会社でも高額査定されやすいです。
不動産会社の査定では、持分割合によって100%・過半数・半分以下という3段階で大きく値段が異なります。
持分割合が100%なら査定で良い評価となる
共有者全員が売却に同意して、すべての持分を売るのであれば、不動産会社の査定でも高くなります。
売却した利益を100%取得できれば、単独名義の不動産を扱うのと同じです。不動産全体を自由に収益化できるため、査定でも1番高く評価されます。
・AさんとBさんが自分の持分を売却(3/5+1/5=4/5)
この場合は持分が100%に満たないため、共有不動産全体を売却できません。
・Aさん、Bさん、Cさんの全員が一緒に持分を売却(3/5+1/5+1/5=5/5)
持分割合が100%なので、単独名義の不動産と同じ価格で売却できます。
共有不動産の取扱いについては、共有者の多数決ではなく持分割合によって決まるため、持分が多いほど有利になります。
持分割合に応じてできることの詳細は、下の記事で説明していますので参考にしてください。
共有持分の割合はどう決まる?計算方法や持分割合に応じてできることを詳しく解説します持分を全て取得して不動産を単独名義にすれば自由に売却できる
共有持分を持っているだけでは、共有不動産自体の売却はできません。
民法によって「共有不動産自体を売却するには共有者全員の同意が必要である」と定められています。
民法第251条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。引用:e-Govポータル「民法第251条」
しかし、持分を100%取得している場合は不動産を自分の占有物(=単独名義)にできるため、他共有者の同意がなくても自由に売却することができます。
そのため、他の共有者から持分を買い取って、自分の持分とまとめて売ることで、査定額は高くするという方法もあります。
持分割合が過半数あれば査定額は若干高い
持分割合の過半数がある場合、共有不動産に関する賃貸契約を自由に結ぶことが可能です。
・BさんとCさんが貸したい(1/5+1/5=2/5)
この場合は持分が過半数に満たないため、共有不動産を貸すことはできません。
・Aさんが貸したい(3/5)
このように持分割合の過半数があれば、他共有者に反対されても貸すことが可能です。
売却こそできませんが、共有不動産を貸すことで収益化できるため、査定でも比較的高く評価されます。
過半数に満たない持分は査定額が低くなりやすい
過半数に満たない持分割合での売却だと「共有不動産の売却価格×持分割合」より価格が低くなる可能性が高いです。
共有不動産全体を売却できれば、3,000万円×1/3=1,000万円が手に入ることになります。
しかし、実際に過半数に満たない共有持分を売却した場合、200万円程度にしかならないケースが多いです。
なぜなら、共有持分を個人で保有していても、共有不動産を売却・賃貸できなければ、利益にならないからです。
高額査定されやすい共有持分のポイント
不動産会社では共有持分を買取した後、その持分をベースに共有不動産全体を売却して利益化しています。
そのため、共有不動産自体を売却しやすい場合、共有持分も高額査定される傾向にあります。
実際の不動産売買では、どのような条件の共有持分が高額査定されるのか、具体的に見ていきましょう。
共有不動産の立地が良い
不動産自体の土地や建物についての条件は、共有持分の価値にも直結します。
建物の場合は間取りや経年劣化、土地の場合はアクセスの利便性や周辺の環境など、不動産の条件が良いほど需要も高いので、共有持分の査定額も高くなります。
共有者の人数が少ない
もしも同じ立地・建物の不動産がある場合、共有者の少ない方が高値で査定されます。
共有持分を所有している人数が少ないほど、1人あたりの持分割合が大きくなりやすいためです。
それだけでなく、人数が少ないほど、交渉の手間を掛けずに共有不動産自体をスムーズに売却できるといった事情もあります。
共有不動産が利用されていない
共有不動産に住んでいる人物がいる場合、住人が「住居を手放したくない」というケースが多く、売却交渉に時間のかかる可能性が高いです。
そのため利用されていない共有不動産の方が、交渉がスムーズに進み売却しやすいので、査定額も高くなります。
逆にいうと、共有不動産の売却に時間や手間が掛かる物件は査定額が下がるため、注意が必要です。
土地と建物両方の持分が揃っている
売却をしたい共有持分が土地だけであり、その土地にある建物の所有権は持っていないことがあります。
この場合、土地と建物の所有権は別物として扱われるため、土地の持分だけ購入しても建物を利用することはできません。
土地全体を自由に売却できない上に、建物も利用できない共有持分を欲しがる人は少ないです。
土地と建物をセットで売却する方が幅広い用途に利用できるため、需要も多く高額査定されやすくなります。
隣地との境界線が明確になっている
不動産の境界線が明確でない場合「土地からはみ出している」など隣地の所有者とトラブルになる可能性があります。
裁判に発展する可能性もあるため、トラブルの危険を抱えた不動産は査定で評価されにくいです。
境界標を設置するなど、土地の境界を確定しておくことで、共有持分の査定額を上げることができます。
境界標が見つからず、自力で境界を調べるのが困難な場合は測量士や土地家屋調査士に依頼するのがおすすめです。
共有持分にローン残債や抵当権がついていない
ローンや抵当権がついている共有持分であっても、売却すること自体は法的に問題ありません。
ただし、差押えや競売を受ける危険性があるため、需要が少なく売却自体が難しくなります。
さらに売却できたとしても、売却価格から残債の金額が差し引かれて、安価になることが多いです。
共有持分を高額査定するには、ローン残債や借金を完済して、不動産の抵当権を外す必要があります。
共有持分を高額査定してくれる不動産買取業者の決め方
共有持分の査定額を上げるためには、見積りを相談する不動産買取業者の決め方が重要になります。
共有持分に明確な相場価格はないため、不動産会社によって査定額が全く異なり、金額に大きな差が生まれることも少なくありません。
今の査定額より上がる可能性もあるため、既に査定を受けていたとしても、もう一度別の業者に相談してみるのもよいでしょう。
ここでは、共有持分を高額査定できる不動産会社を探すために必要となる4つのポイントを解説します。
はじめに共有持分の目安になる価格を確認しておく
まず自分の共有持分にどの程度の価値があるかを知るため、不動産会社の査定で市場価値を把握する必要があります。
ただし、不動産会社によっては査定額に時間のかかる場合があるため、注意が必要です。
一般的な不動産会社では、査定結果が出るまでに1週間以上かかる可能性が高いです。
早い段階で相場を把握するためには、スピード査定をおこなっている買取業者に依頼するとよいでしょう。
複数の不動産会社で査定して最高値の業者を選ぶ
見積りされた共有持分の価格が適切かを知るためには、複数の不動産会社で査定をおこなうのもおすすめです。
共有持分には明確な評価基準がないため、それぞれの不動産会社が独自に査定額を決定しています。
不動産会社によっては倍以上も価格が異なるケースもあるため、1社の見積りだけで売却を決めるのはおすすめしません。
共有持分を高値で売却するには、複数の不動産会社で査定をして、より高い価格を提示する業者を選ぶ必要があります。
共有持分専門の買取業者であれば査定額も高い
そもそも一般の不動産会社では、共有持分の買取を拒否されたり、安値で買い叩くケースが多いです。
不動産会社は共有持分を買取した後、その持分を元に共有不動産全体を売却します。
しかし、他共有者の説得が難しいため、共有持分の買取に消極的な不動産会社も少なくありません。
その点共有持分の専門買取業者であれば、共有不動産を売却するノウハウを持ち合わせているため、高値で買取することが可能です。
以下の記事で、共有持分の売却を専門とする不動産会社を紹介していますので、参考にしてみてください。
【共有持分の買取業者おすすめ28選!】共有名義不動産が高額買取業者の特徴と悪質業者の見極めポイント!弁護士と提携している専門業者は買取に積極的
持分を買取する不動産会社にとって、最も手間がかかるのが他共有者の説得です。
「不動産を手放したくない」などの理由で、他共有者から反対を受けることは少なくありません。
こうした場合でも、弁護士と提携している専門業者であれば、売却の交渉をスムーズに進行できます。
弁護士と提携している業者は、買取実績も多く売却を得意としているため、高額査定できる場合が多いです。
一度見積もりした査定額から上乗せされる場合もある
専門買取業者に依頼することで、一度見積りした査定額よりも高額査定される場合があります。
実際にあったケースを紹介します。
1社目の不動産会社では300万円と査定されましたが、「もう少し高く買取できないか?」と思い、専門買取業者に再度相談しました。
弁護士を介して専門買取業者が他共有者と交渉したところ、不動産自体を売却する許可が下りたので、当初の金額より170万円上乗せした470万円で買取できました。
このように一度査定された価格よりも高く売却できることもあるので、査定を受け直すのもよいでしょう。
共有持分を高値で売却するなら専門買取業者で査定しよう
今回の記事では、共有持分の売却で参考にするべき価格や、高額査定するための方法を解説しました。
納税通知書などでの評価額は実際の売却価格と異なるため、まずは不動産買取業者で査定を受けて共有持分の市場価値を知ることをおすすめします。
すでに査定を受けた方でも、価格を上方修正できる可能性があるので、共有持分専門の買取業者に再度依頼するのもよいでしょう。
また、境界の確定など買取査定額を上げるためにできることがありますので、この記事を参考にぜひ実践してみてください。
なお、当サイトでは共有持分専門の買取業者を紹介しています。共有持分を多数取り扱ってきた経験から、共有持分の適正な査定価格の提示や高値で売却するためのアドバイスまで、包括的なサポートが受けられるので、まずは無料相談を利用して、所有している持分の価値を確認してみてください。
>>【売れにくい共有持分も早く・高値で売却できる!】共有持分専門の買取業者による無料相談窓口はこちら
共有持分の査定についてよくある質問
共有持分とは、複数人が共有する不動産において「各共有者がどれくらいの所有権をもっているか」を指すものです。「持分1/2」というように、割合で表記します。
はい、売却できます。自分の共有持分であれば自分の意思のみで売却可能で、他共有者に確認を取る必要もありません。ただし、共有不動産全体を売却したいときは、全共有者の同意が必要です。
共有持分の売買価格は、本来の価値から半額程度になるのが一般的です。ただし、売却相手や物件ごとの条件によっては高額になる場合もあり、すべての状況で共通する相場価格が決まっているわけではありません。
共有持分の取り扱いに不慣れな大手不動産会社より、共有持分を専門としている買取業者のほうが高額査定を期待できます。とくに、弁護士と連携している専門買取業者なら、離婚や相続などでトラブルが起こっていても高額買取をしてもらえるでしょう。→弁護士と連携した買取業者はこちら
持分割合が大きいほど、売買価格も上がります。他には、共有持分にローン残債や抵当権がついていないケースや、共有者の人数が少ないケース、人が住んでおらず空き家となっている物件は、共有持分の査定額が上がりやすいといえます。