夫婦でマンションを購入し、共有名義にするケースは少なくありません。共有名義にすれば、住宅ローン控除を多く受けられるというメリットがあります。
しかし、住宅ローン控除を最大限受けられるケースは限られている上、権利関係でトラブルになるかもしれないというデメリットもあるため、共有名義は慎重な検討が必要です。
相続や離婚などで共有マンションを巡ったトラブルは多く、夫婦であっても訴訟に発展する恐れがあります。リスクを避けるためには、夫か妻どちらかの単独名義にするのがおすすめです。
また、共有名義にするとしても、出資額に応じた持分割合にしないと余計な税金が発生するため注意が必要です。
なお、もしも共有名義のマンションや、その共有持分(共有者それぞれの所有権)を売却するのであれば、専門の買取業者に相談しましょう。権利関係が複雑な状態でも、専門業者ならではの高額買取をおこなってくれます。
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- 共有名義でのマンション購入時は出資額に応じて「持分割合」を決めるべき。
- 夫婦が離婚するとき共有名義のマンションは「財産分与」される。
- マンションの共有名義はデメリットが多いため避けよう。
マンションを夫婦の共有名義にするメリット・デメリット
夫婦で居住するマンションを共有名義にするメリットは、住宅ローン控除を二重に受けられることです。
マンションを共有名義にすることで、節約できるといえるでしょう。
一方でデメリットは2つあり、主に権利関係の複雑化が問題となります。
マンションの権利を分け合っている状態のため、双方の同意がなければ、マンションの利用に制限が出てしまいます。
次の項目から、マンションを夫婦の共有名義にするメリットとデメリットを順番に確認していきましょう。
不動産を共有名義にするメリットとデメリット|共有名義は解消すべき?【メリット1】住宅ローン控除を2重に受けられる
夫婦でマンションを購入するとき、住宅ローンを利用するケースがほとんどでしょう。
そして、夫婦共同で住宅ローンを借り入れた場合、住宅ローンの控除を2人分受けられます。
しかし、この住宅ローンが「夫と妻で2,500万円ずつ借り入れたローン」であれば、夫と妻それぞれが控除を受けられるため、控除額は「夫25万円+妻25万円」で50万円となります。
例のように、夫婦共同でマンションを購入すると、控除額によって節約ができます。
住宅ローン控除の仕組みを詳しく知りたい人は、以下の記事もあわせて参考にしてください。
住宅ローン控除とは?控除額・適用条件・申請方法をわかりやすく解説【デメリット1】マンションの管理・処分に夫婦両方の同意が必要
夫婦で共有しているマンションを管理・処分するには、夫婦両方の同意が必要になります。
夫婦間も良好で話し合いがまとまるときは、大きな問題はありません。
しかし、夫婦間が悪化したり離婚を考えているようなケースでは、共有マンションの扱いを巡って、さらにトラブルになってしまうこともあります。
妻は、共有名義マンションの売却を希望していましたが、夫は売却を拒否して住み続けることを希望しました。
このような場合、夫が売却に賛成するまで、共有名義のマンションを売却できません。
もしも、夫婦間における共有名義のマンション売却にあたって、他共有者(妻もしくは夫)の同意が取れない場合は、弁護士に相談して適切な対処をアドバイスしてもらいましょう。
【デメリット2】離婚時の財産分与が複雑になる
夫婦が離婚するときは、財産分与がおこなわれます。
マンションを夫婦の共有名義にする場合、離婚時の財産分与が複雑になり、離婚協議が長引く恐れがあります。
財産分与によって、マンションは折半するのが原則ですが、実際は「離婚後も住みたい」「共有持分の割合にそって分割したい」といった内容で揉めてしまいがちです。
離婚時の財産分与については、以下の記事も参考にしてみてください。
【離婚時における自宅の財産分与】自宅はどうなる?財産分与の方法を状況別に詳しく解説夫婦が離婚するとき共有名義のマンションは「財産分与」される
先ほども説明しましたが、婚姻期間中に取得したマンションは、離婚時に財産分与の対象となります。
このとき、マンション購入時の出資額や持分割合に関係なく、半分ずつ分け合うのが原則です。
なお、マンションを財産分与する場合、現物を分割することはできないので、売却してその利益を折半するケースがほとんどです。
次の項目から、マンションにおける財産分与の方法を確認していきましょう。
マンションを財産分与する方法
マンションを財産分与する方法は、主に以下2つです。
- マンションを売却して売却益を2人でわける
- どちらかが不動産評価額の半分を支払って住み続ける
2つの選択肢がありますが、おすすめなのは「マンションを売却して売却益を2人でわける」方法です。
共有のマンションを売却して、売却益を分け合うことで、離婚時に夫婦の関係性をきれいに解消できるでしょう。
共有名義におけるマンションの財産分与については、以下の記事も参考にしてみてください。
離婚するならマンションは売却がおすすめ!財産分与の方法や流れを解説また、夫婦の共有名義になっているマンションを売るときは、弁護士と連携した不動産業者に相談するのがおすすめです。
法的なサポートが受けられるので、夫婦でトラブルになっていてもスムーズにマンションを売却できます。
共有名義でのマンション購入時は出資額に応じて「持分割合」を決める
共有名義の持ち分は、当事者間で自由に決められるわけではありません。
マンションを夫婦の共有名義で購入するときは、出資額に応じて「持分割合」を決めるようにしましょう。
もしも、持分割合を出資額と異なる割合で設定すると、後に贈与税が課せられる恐れがあるので注意が必要です。
共有名義における持分割合の決め方については、以下の記事を参考にしてみてください。
共有持分の割合はどう決まる?計算方法や持分割合に応じてできることを詳しく解説します出資額を無視して決めると贈与税が課せられる恐れもある
共有で購入したマンションは、出資額に応じて持分割合を決める必要があります。
もしも、出資額を無視して持分割合を決めると、贈与税が課せられる恐れもあるので避けましょう。
このとき、夫と妻1/2ずつの共有持分として登記することになりました。
出資額と持分割合に300万円の差があったため、夫から妻へ贈与があったとみなされ、贈与税が課せられることになってしまいました。
このようなケースを防ぐためにも、不動産を共有名義で登記する場合は、実際に購入資金を負担した割合に応じてその持ち分を登記しましょう。
ちなみに、贈与税は年間110万円まで非課税です。持分割合を決めるときは覚えておくとよいでしょう。
マンションの共有名義はデメリットが多いため避けるべき
マンションを共有名義にすると、2重で受けられる住宅ローン控除によって節約効果が得られます。
とはいっても、上限いっぱいまで活用できる人は限られています。
実際に、夫婦でマンションを共有名義にしたとしても、得られるメリットは少なくデメリットばかりが目立ってしまいます。
そのため、マンションを購入するときは共有名義を避け、夫婦どちらかの単独名義にすることをおすすめします。
共有名義のマンションは共有関係を解消しよう
これまで説明したように、夫婦であっても、マンションを共有名義にすることは避けるべきです。
しかし、すでにマンションが夫婦の共有名義になっているかもしれません。
その場合、なるべく速やかに共有名義を解消するようおすすめします。
共有名義を解消する方法はいくつかありますが、最も簡単なのは「共有持分のみの売却」です。
共有名義の解消方法については、下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
共有持分の解消は持分売却がベスト!解消するメリットと3つの解消方法を解説また、一般的な大手不動産会社だと共有持分を取り扱ってもらえないことも多いので、専門の買取業者に相談することをおすすめします。
自社で直接買い取るのでスピーディーな現金化が可能であり、共有持分を活用・収益化する方法を確立しているため、高額買取を期待できます。
夫婦でマンションを購入するときは「単独名義」がおすすめ!
マンションを夫婦の共有名義にすることで、住宅ローン控除を多く受けられるケースがあります。
ただし、住宅ローン控除を最大限受けられるケースは限られており、実質的にはデメリットの方が多いといえます。
そのため、夫婦でマンションを購入するときは「単独名義」がおすすめです。
もしも「共有名義でなければ、希望するマンションが買えない・・・」といった場合は、共有名義のメリット・デメリットを把握したうえで、夫婦間でよく話し合うようにしましょう。
夫婦でマンションを共有するときによくある質問
夫婦で居住するマンションを共有名義にするメリットは、住宅ローン控除を二重に受けられることです。ただし、住宅ローン控除を最大限受けられるケースは限られているため、注意が必要です。
「マンションの管理・処分に夫婦両方の同意が必要」「離婚時の財産分与が複雑になる」といったデメリットがあげられます。
マンションを財産分与する際におすすめの方法は「マンションを売却して売却益を2人でわける」方法です。共有のマンションを売却して、売却益を分け合うことで、離婚時に夫婦の関係性をきれいに解消できるでしょう。
共有名義にすることで、たしかにメリットもありますが基本的にはデメリットが多いため避けるべきです。もしも「共有名義でなければ、希望するマンションが買えない・・・」といった場合は、共有名義のメリット・デメリットを把握したうえで、夫婦間 でよく話し合うようにしましょう。
マンションを夫婦の共有名義で購入するときは、出資額に応じて「持分割合」を決めなければならないことに注意が必要です。