持分放棄後の未登記は登記引取請求訴訟で解決!概要や費用について詳しく解説します

持分放棄の登登記引取請求訴訟 概要記が

共有持分は自分の意思のみで放棄できますが、放棄された共有持分を他の共有者に帰属させるために、他共有者と一緒に登記申請をおこなう必要があります。

そして、他共有者が登記申請に協力せず、持分放棄が成立しないときの解決方法として「登記引取請求訴訟」があります。

訴訟で「登記すべき」と認めてもらえば自分1人で登記申請をおこなえるため、他共有者が協力してくれないときは弁護士に相談して登記引取請求訴訟の手続きをおこないましょう。

また、持分放棄ではなく「共有持分の売却」であれば、最初から他共有者の協力や同意はいりません。最短数日で持分を手放せるので、専門買取業者に相談して持分売却も検討してみましょう。

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この記事のポイント!
  • 登記引取請求訴訟とは「放棄によって持分が帰属した共有者」に対し、登記を引き取るよう求める訴訟。
  • 登記が完了しないと持分の放棄は成立しない。登記引取請求訴訟を起こせば「持分を放棄した側」が単独で持分移転登記をおこなえる。
  • 登記引取請求訴訟は原則棄却されないので、話し合いでの解決が難しいときの最終手段。

登記引取請求訴訟とは共有者に登記の引取を求める訴訟

持分の放棄は、共有者の同意がなくても自分の意思だけで共有持分を手放せる行為です。放棄された持分は、他共有者へ帰属されます。

共有持分の放棄のやりかたについては、別の記事でも解説しています。
共有持分 放棄 共有持分は放棄できる!放棄の手順や放棄後の登記も詳しく解説します

しかし、持分の放棄自体は単独で可能でも、法務局への登記申請は他共有者と共同でおこなうのが原則です。

持分の放棄をした後、他共有者に登記の協力をしてもらわないと権利の移転がおこなわれず、固定資産税の納税義務などが残ってしまいます。

そこで、登記に協力してくれない相手に対して「登記名義を引き取るべき」と訴訟を起こすことができます。これが登記引取請求訴訟で、そのような主張ができることを登記引取請求権といいます。

登記引取請求権は、以下の判例により共有者双方からの登記請求が認められました。

「真実の権利関係に合致しない登記があるときは、その登記の当事者の一方は他の当事者に対し、いずれも登記をして真実に合致せしめることを内容とする登記請求権を有するとともに、他の当事者は右登記請求に応じて登記を真実に合致せしめることに協力する義務を負うものというべきである。」
引用:最高裁判所 判例(昭和36年11月24日)

そして、2005年の法改正で「判決による登記は当事者の一方が単独でおこなえる」と明記されます。

不動産登記法第63条
~これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。

引用:e-Govポータル「不動産登記法第63条」

これらの判例や法律によって、登記引取請求訴訟で「登記すべき」と認められれば、単独で登記が可能となります。

登記請求権と登記引取請求権の違い

不動産の登記手続きにおいて、登記をする当事者は「登記権利者」と「登記義務者」にわけられます。

  • 登記権利者・・・不動産の権利を取得した者
  • 登記義務者・・・不動産の権利を失った者

そして、登記の共同申請が必要な場合、片方の協力が得られないときに協力を要請する権利があります。

登記請求権と登記引取請求権の違いは、登記の協力を要請するのが不動産の権利を取得した側であるか、失った側であるかです。

  • 登記権利者から登記義務者に協力を要請する権利→登記請求権
  • 登記義務者から登記権利者に協力を要請する権利→登記引取請求権

持分放棄による登記引取請求訴訟は原則棄却されない

持分の放棄については、民法第255条に規定されています。

民法第255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。引用:e-Govポータル「民法第255条」

共有者の誰かが持分を放棄したら、その持分は他共有者へ持分割合に応じて分配されることが民法により定められているのです。

そのため、他共有者の意思に関係なく持分が分配されることになります。他共有者が登記に協力することを拒否したとしても、民法に則って持分放棄者側の登記引取請求訴訟は原則棄却されないことが一般的です。

登記引取請求権には原則5年もしくは10年の消滅時効がある

不動産などの財産に対する権利には、大きく物権と債権にわけられます。

物権は「物に対して直接的に支配する権利」で、債権は「特定の人になにかの行為を求める権利」とされます。

物権には「何年たったら消滅する」という消滅時効はありませんが、債権には存在します。

登記引取請求権は債権的な請求権とされるので、権利を行使できると知ったときから5年間行使しないとき、もしくは権利を行使できるときから10年で消滅するという消滅時効が適用されます。

民法第166条
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

引用:e-Govポータル「民法第166条」

ただし、消滅時効は個別の事情に応じて判断が異なるため、迷ったら早めに弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。

登記引取請求訴訟を起こす前にできること

「登記引取請求訴訟は基本的に棄却されない」と解説しましたが、できれば訴訟までは起こしたくないと考える人もいるでしょう。

「訴訟を起こす前にできることはないのだろうか?」という疑問をもつ人も少なくありません。

そこで、実務では訴訟を起こす前に、相手に対して「訴訟の可能性がある」と示して話し合いを有利に進める場合があります。

登記引取請求訴訟を交渉材料に共有者を説得する

「持分放棄の登記」を目的とした登記引取請求訴訟は、提起すれば基本的に負けることはありません。

つまり、他共有者がいくら登記の協力を拒んでも、訴訟さえ起こせば最終的にほぼ間違いなく登記できるということです。

ただし、訴訟には双方が労力や費用を負ってしまいます。

「裁判で争うのはお互いにメリットがない」ということを冷静に伝え、登記に協力してもらうように説得するのがよいでしょう。

しかし、話し合いをしても共有者が納得してくれなかったり、そもそも話し合いに応じてくれない場合は、登記引取請求訴訟を起こすとよいでしょう。

持分放棄における登記引取請求訴訟の流れと費用

この項目から、登記引取請求訴訟の具体的な流れと費用について見ていきましょう。

ただし、必要な書類や費用に関しては、不動産の状況や各自治体によって異なる場合もあります。

実際に訴訟を起こす際は、不動産に詳しい弁護士に相談したり、不動産を管轄する自治体に問い合わせるのが確実です。

共有者へ内容証明郵便を送り放棄の通知をする

持分の放棄を決めたら、内容証明郵便を共有者へ送り放棄の通知をしましょう。

内容証明郵便は「いつ、どんな内容を、誰から誰へ通知したか」を証明する制度です。

内容証明郵便に法的拘束力はなく、送ること自体は義務でもありませんが、持分放棄の意思を示したという証拠になるため、送った方がよいでしょう。

ちなみに、内容証明郵便で証明できるのは「文書が存在する事実とその内容」であり、文書内容の真偽を証明するものではありません。

「内容証明郵便さえ送れば嘘の内容でも認められる」わけではないことに注意しましょう。

登記引取請求訴訟の準備をする

登記に共有者の協力が得られず、登記引取請求訴訟の提訴を決めたら訴訟の準備をします。

登記引取請求訴訟は通常の訴訟よりも立証事項が少ないため、訴訟から判決までの期間が比較的短い傾向にあります。

それでも、半年から1年程度はかかることが一般的なので、訴訟の準備は早めに始めたほうがよいでしょう。

登記引取請求訴訟にかかる費用

登記引取請求訴訟にかかる費用を大きく分けると、次の3つに分けられます。

  • 弁護士への費用
  • 必要書類の取得費
  • 裁判所に納める手数料

具体的にどれくらいの金額がかかるのか、それぞれ見ていきましょう。

弁護士への費用

弁護士に依頼する場合、かかる費用は弁護士事務所によって大きく変わります。場合によっては、相談金や成功報酬などすべて含めると50万円を超えることもあるでしょう。

ただし、登記引取請求訴訟のような民事訴訟では、弁護士に頼らない「本人訴訟」も認められています。

費用を抑えたいときは本人訴訟を検討するのもよいでしょう。

必要書類の取得費

登記引取請求訴訟に必要な書類は基本的に以下のとおりです。

  • 内容証明郵便など証拠書類の写し
  • 登記事項証明書
  • 固定資産評価証明書

内容証明郵便など証拠書類の写しはコピー代がかかります。内容証明郵便を送る場合、費用は以下の通りです。

郵便の基本料金+一般書留の加算料金(+435円~損害要償額により変動)+内容証明の加算料金(440円~枚数により変動)

固定資産評価証明書の発行手数料は自治体によって異なり、東京23区の場合は1件400円が基本となります。詳しくは、不動産所在地を管轄する市区町村に問い合わせてみましょう。

登記事項証明書は登記所又は法務局証明サービスセンターの窓口のほか、オンラインからも申請できます。こちらも交付方法によって手数料が変わりますが、480円~600円となっています。

参照:東京都主税局「固定資産に関する証明書等の手数料について」

参照:法務省「不動産登記,商業・法人登記における主な登記手数料」

裁判所に納める手数料

手数料は、裁判手続きを利用する際に裁判所に納付するもので、裁判の種別によって定められています。

収入印紙を使い、訴状や申立書といっしょに納付します。また、手数料の金額が100万円を超えると日本銀行やその他代理店に現金で納めることもできます。

金額については、最高裁判所のページを参考にしてください。

参照:最高裁判所ウェブサイト

持分放棄をするときの注意点

持分の放棄は他共有者の許可はいらず、自分の判断でおこなえます。

しかし、共有者へ放棄の通知をしただけでは手続きは完了しません。

また、放棄によって贈与税が発生する可能性があることも頭に入れておきましょう。

持分放棄をするときの注意点を詳しく説明していきます。

持分移転登記をしないと放棄が完了したことにはならない

この記事でも解説したとおり、持分の放棄を決めて共有者に通知を送ったとしても、登記をしないと公に認められません。

持分の放棄時に必要な登記は、持分移転登記といいます。

持分の放棄を完了させるには、共有者に協力してもらうか登記引取請求訴訟によって、持分移転登記を申請する必要があります。

共有持分 移転登記 共有持分の移転登記が必要な状況を詳しく解説!登記費用や税金についても説明します

放棄をした年の固定資産税は払う必要がある

共有者に協力してもらい、持分放棄が完了しても固定資産税の納付書が届くことがあります。

なぜなら、固定資産税はその年の1月1日時点での所有者に支払い義務があるためです。

自分が代表者でなく納付書が届かなくても、放棄をした年は固定資産税を納付する必要があります。他共有者と話し合って、どのように納付するか決めましょう。

共有持分 固定資産税 共有関係の解消で支払いから逃れられる!共有持分の固定資産税納付方法について詳しく解説

他共有者に贈与税がかかる場合がある

持分を放棄すると、その持分は他共有者へ持分割合に応じて帰属されます。

他共有者は無償で持分を譲り受けることになるため、税法上は贈与とみなされ、贈与税が発生するのです。

ただし、贈与税は年間で受け取る総額が110万円以下であれば控除されます。

110万円の控除はすべての贈与を合算してから控除されるので、贈与を受ける人は年間で受けとる総額に注意しましょう。

話し合いで解決が難しいときは登記引取請求訴訟を検討しよう

持分放棄後の登記には共有者の協力が必要です。

持分を放棄しても、登記を完了しないと固定資産税の納税義務はなくならないなどの不利益があります。

話し合いによる解決が望ましいですが、難しい場合は「登記引取請求訴訟」を提起しましょう。

登記引取訴訟は基本的に棄却されず、判決によって単独で登記申請ができるようになります。

また、持分を放棄し登記しても、その年は固定資産税を支払う必要があることを覚えておきましょう。

なお「共有持分の売却」であれば、他共有者との話し合いが難しい場合も、自分の意志のみで共有関係を解消できます。専門買取業者に依頼すれば最短数日で持分を手放せるので、まずは無料査定を利用して共有持分がいくらで売れるのか調べてみてはいかがでしょうか。

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登記引取請求訴訟についてよくある質問

登記引取請求訴訟とはなんですか?

登記引取請求訴訟とは、権利関係を正しい状態にするため、登記の引取を求める(相手に対して自分の権利を受け取るよう求める)訴訟です。

どんなときに登記引取請求訴訟をおこなうのですか?

共有持分において、共有者が「持分放棄に伴う名義変更」に協力しないケースでおこなわれます。持分放棄自体は個人の意思でおこなえますが、放棄に伴う名義変更は共有者との共同申請が原則となっています。共有者が共同申請を拒否した場合、登記引取請求訴訟をおこなうことで、共有者の協力を必要としない「判決による登記申請」が可能になります。

持分放棄をしたときに名義変更をしないと、どんな問題がありますか?

公に放棄を証明できないので、管理責任はもとの名義人にあります。固定資産税や維持費などをもとの名義人が負担しなければいけません。また、共有持分に関連してなにかトラブルが発生した場合、当事者として巻き込まれてしまいます。

訴訟を起こしてから登記が完了するまで、どれくらいの期間がかかりますか?

個別の事情によって大きく異なりますが、一般的には半年~1年程度かかります。

訴訟にはどれくらいの費用がかかりますか?

費用に関しても、個別の事情によって大きく異なります。裁判所に納める手数料で数千円~数十万円、弁護士報酬として数万~数十万円、必要書類の取得費として数千円程度です。

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