共有不動産は、共有者が起こした「共有物分割請求」によって競売にかけられることがあります。
不動産が競売にかけられると、市場価格より安くなってしまうのが一般的です。また、自分が共有不動産に住んでいる場合、競売で第三者に落札されるのは避けたいところでしょう。
しかし、共有者自身が最高額で入札すれば、自己競落が可能です。自己競落をおこなえば、不動産が安値で第三者の手に渡ることを防げます。
競売における共有不動産の落札額は市場価格の約60~80%です。資金を用意できるのであれば、自己競落を検討してみましょう。
また、競売を避けつつ共有名義を解消したい場合、共有持分を売却するという方法もあります。専門の買取業者に無料査定を依頼して、具体的なアドバイスを聞いてみましょう。
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- 裁判所の判決が出ても、申立てをしない限り共有不動産の競売はスタートしない。
- 共有不動産の競売では、共有者自身が最高額で入札すれば自己競落できる。
- 競売における共有不動産の落札額は市場価格の約60~80%
共有物分割請求で競売を命じる判決が出たらどうなる?
- 「共有不動産が必要ないので、高値で売却して利益を分け合いたい・・・」
- 「共有不動産を手放したくないので、他共有者の持分を買取したい・・・」
このように共有不動産の扱い方の方針が一致しない場合は「共有物分割請求」というおこない、共有者同士や裁判所を交えて共有不動産の分割方法を決定します。
共有物分割請求とは?共有物の分割方法や訴訟の手順・費用を詳しく解説次のようなケースでは、共有物分割請求の結果「共有不動産を競売にかけて、その売却益を共有者で分配する」ように裁判所の判決で命じられる場合があります。
- マンションの一室など、共有不動産を物理的に分けることがむずかしい場合
- 共有不動産を物理的に分割すると、著しく価値が下がってしまう場合
こうした場合において、まずは共有物分割請求で競売を命じる判決が出た後「どのような流れで進行していくか?」という手順を解説します。
ちなみに「これから共有物分割請求を起こして競売にかけたい」という人は、こちらの記事で解説している方法を参考にしてください。
競売をするには裁判が必要!共有物分割請求時における競売について解説します
競売を命じる判決が出ても競売手続は始まらない
裁判所によって共有不動産の競売を命じる判決が出ても、必ずしも競売が始まるとは限りません。
裁判所による共有不動産の競売では、共有者が裁判所に対して申立てをおこなうことで初めて、実際の競売手続が開始されるのです。
つまり裁判所へ競売を申し立てず、次のように対処すれば共有不動産の競売を避けられます。
- 競売を命じる判決に対して控訴する
- 他共有者を説得して競売以外の方法で和解する
それぞれの対処法について、1つずつ解説していきます。
2週間以内であれば判決に対して控訴できる
共有不動産の競売を命じる判決が出ても、2週間以内であれば上級裁判所に対して控訴することができます。
ちなみに共有物分割請求訴訟の場合、競売に賛成している・反対しているに関係なく、共有者全員を被控訴人もしくは控訴人として控訴する必要があります。
ただし裁判所の判決に告訴しても、必ずしも共有不動産の競売を命じる判決を撤回できるとは限らないため注意しましょう。
より確実に共有不動産の競売を撤回させたいのであれば、不動産トラブルに精通した弁護士へ協力を仰ぐことをおすすめします。
他共有者を説得できれば共有不動産の買取も可能
申立て前であれば競売は開始されていないので、あらためて共有者同士で話し合って全員が合意すれば、競売以外の方法で和解することも可能です。
共有不動産を自分の単独所有にしたい場合、この段階で他共有者を説得して、持分をすべて買取すれば共有不動産を自分の単独所有にできます。
ただし、裁判にまで発展して競売を命じる判決が出ている以上、他共有者が共有不動産の買取に応じてくれない可能性が高いでしょう。
ですので、他共有者との和解交渉も含めて、不動産トラブルに長けた弁護士へ依頼して代行してもらうことをおすすめします。
「共有不動産を自分の単独所有にしたい」という人は、こちらの記事で方法を解説しているので参考にしてください。
共有物分割請求における全面的価格賠償とは?不動産を単独所有するための方法を解説!
判決後に裁判所へ申し立てることで競売手続がスタートする
裁判所の判決で命じられても、自動的に競売が始まるわけではなく、共有者自身が競売を申し立てることで正式に競売手続が開始されます。
ちなみに裁判所によって共有不動産が競売にかけられる場合は「形式的競売」という形式になります。
この形式的競売では、裁判所へ競売を申し立てた後、次のような流れでオークション形式で不動産の落札者を決定します。
- 競売を申し立てる
- 現況調査報告書作成
- 評価書作成、売却基準額の決定
- 物件明細書の作成
- 競売による入札開始
競売を裁判所へ申し立てるには、必要書類の提出と費用の納付が必要です。
ただし、競売を管轄する地方裁判所によって、申立ての必要書類や費用が異なるため注意が必要しましょう。
今回は東京裁判所へ共有不動産の競売を申し立てる場合の必要書類や費用を紹介します。
裁判所へ競売を申し立てる場合の必要書類
裁判所へ共有不動産の競売を申し立てる場合、以下の必要書類を用意しましょう。
- 競売申立書
- 不動産登記事項証明書(発行後1ヶ月以内)
- 共有者全員の住民票(発行後1ヶ月以内)
- 競売を命じる判決書正本
- 目的物件の公課証明書
- 不動産競売の進行に関する照会書
- 公図写し(発行後1ヶ月以内)
- 建物図面(発行後1ヶ月以内)
- 住宅地図などの物件案内図
- 委任状(代理人に依頼する場合)
- 商業登記事項証明書(当事者の中に法人がいる場合)
競売申立書は裁判所のホームページから取得できます。
参照:「不動産競売事件(担保不動産競売,強制競売,形式的競売)の申立てについて」(裁判所ウェブサイト)
裁判所へ競売を申し立てる場合にかかる費用
裁判所へ共有不動産の競売を申し立てる場合、申立て費用も負担しなければなりません。
例えば、東京地方裁判所へ競売を申し立てる場合にかかる費用は次の4種類です。
種類 | 金額 |
---|---|
申立手数料 | 4,000円(1通) |
予納金 | 80万円(不動産の固定資産税評価額が2,000万円未満) 100万円(不動産の固定資産税評価額が2,000万円以上5,000万円未満) 150万円(不動産の固定資産税評価額が5,000万円以上1億円未満) 200万円(不動産の固定資産税評価額が1億円以上) |
登録免許税 | 不動産の固定資産税評価額の4/1000 |
郵便切手 | 92円 |
必要書類の提出と合わせて、これらの申立て費用も収入印紙などで納付しましょう。
競売にかけられた共有不動産を自己競落できる?
共有者が裁判所へ競売を申し立てると、共有不動産の競売が開始されます。
裁判所による共有不動産の競売では、期間入札という方式で次のように進みます。
- 入札期間(約1週間程度)
- 開札期日
- 売却許可決定
- 代金納付
- 不動産の引渡し
期間入札とは、一定期間を定めて入札を受け付けて、決められた開札期日にもっとも高い金額で入札していた人物が落札できる仕組みです。
その後で「落札者が共有不動産を買い取る資格があるか?」を裁判所が精査して、売却許可決定がおりた後、登記変更と不動産を引き渡して共有不動産の競売は完了します。
共有物分割請求により共有不動産が競売にかけられた場合、共有者自身が不動産を落札する「自己競落」は認められるのでしょうか?
共有物分割請求による競売では共有者も落札可能
共有物分割請求によって共有不動産が競売にかけられた場合でも、共有者自身が最高値で入札すれば不動産を落札できます。
競売にかけられた共有不動産を落札するには、次の4つの手続きを踏む必要があります。
- 必要書類を裁判所から取得する(入札時)
- 保証金を裁判所の口座へ入金する(入札時)
- 必要書類を裁判所へ提出する(入札時)
- 売却代金を一括で支払う(落札時)
これらの手続きは、共有不動産の所在地を管轄する地方裁判所でおこないましょう。
この項目では、共有物分割請求による競売で共有不動産を落札する方法を解説します。
1.必要書類を地方裁判所で取得する
共有物分割請求による競売に入札する場合、まずは競売を管轄する地方裁判所で「必要書類」を取得しましょう。
競売における必要書類を入手するには、以下の2つの方法があります。
- 地方裁判所の執行官室へ出向いて取得する
- 地方裁判所の執行官室に送付してもらう
地方裁判所の執行官室へ出向けば、競売における必要書類を取得できますが、土日は開いていないため平日の昼間に行かなければなりません。
地方裁判所へ出向くことが困難な場合、次の書類を送付することで、競売における必要書類を地方裁判所から取り寄せることも可能です。
- A4の封筒2枚
- 返信用の切手
- 必要書類を送付してほしい旨を記述した紙
必要書類を送付してほしい旨を記述する場合、以下の例を参考にするとよいでしょう。
お世話になります。●●県に在住している●●と申します。
競売物件の入札を検討しており、大変恐れ入りますが、
返信の封筒に入札書一式を入れて頂き、ご返信頂きたくお願い申し上げます。
よろしくお願いいたします。
すると、共有不動産の競売で用いる3種類の必要書類を取得できます。
- 振込依頼書
- 入札書
- 入札保証金振込証明書
2.保証金を裁判所の口座へ入金する
つづいて、競売にかかる「保証金」を管轄する地方裁判所の口座へ入金しましょう。
保証金とは、競売にかけられた不動産の価格を操作したり、何度も入札を繰り返して手続きを長引かせるなど、競売を妨害する行為を防ぐために設定された手数料のことです。
入札に必要な保証金は売却基準価額の20%であることが多いですが、ケースによって異なるため、正確な金額は裁判所の「期間入札の公告」で確認しましょう。
- 保証金=売却基準価額の20%以上
例えば売却基準価額が2000万円の不動産なら、保証金は400万円であることが多いです。
保証金を入金するには、取得した「振込依頼書」を持参して、銀行などの金融機関の窓口から振り込む必要があります。
ちなみに落札できなかった入札者には保証金が全額返金されますが、落札者が売却代金を支払わない場合は没収されてしまうため注意が必要です。
3.必要書類を地方裁判所へ提出する
保証金を入金したら、競売における必要書類を管轄する地方裁判所へ提出しましょう。
競売へ入札するには、地方裁判所で取得した必要書類のうち次の2種類を提出します。
- 入札書
- 入札保証金振込証明書
入札書には、以下の内容を記入しましょう。
- 入札額
- 入札者の氏名
- 入札者の住所
- 入札者の電話番号
- 競売不動産の事件番号
入札保証金振込証明書には、次の内容を記入しておきます。
- 入札者の氏名
- 入札者の住所
- 入札者の電話番号
- 競売不動産の事件番号
- 保証金の返還先となる銀行口座
そして、記入済の必要書類を開札期日を記載した封筒に入れて、競売を管轄する地方裁判所へ提出または郵送しましょう。
必要書類を提出すると、地方裁判所から受取証が送付されて、これをもって共有不動産の競売への入札が完了します。
4.落札時には売却代金を一括で支払う
最高額で入札して裁判所の売却許可決定がおりた場合、共有不動産の落札者となります。
競売の落札結果の確認するには、以下の2つの方法があります。
- 地方裁判所の売却場で確認
- 「不動産競売物件情報サイト」で確認
とくに問題がなければ、開札期日から約1週間後に売却許可決定が発行されて、正式に共有不動産の買受人となります。
そして売却許可決定から約1週間後、入札書に記載した住所に「代金納付期限通知書」が届くので、1か月以内に売却代金を一括で振込みましょう。
ちなみに落札した共有不動産を担保とした融資を受けて、売却代金を調達することも認められています。
「代金納付期限通知書」には、入札額から保証金を引いた残金を振込するよう記載されており、この振込が完了した時点で落札した共有不動産が落札者の所有物となります。
参照:不動産競売物件情報サイト」(株式会社日立社会情報サービス)
自己競落できるケース・できないケース
共有不動産が競売にかけられた際、どのようなケースであれば自己競落できるのでしょうか?
今回は3つの具体例を使って、自己競落できるケース・できないケースを紹介します。
- 自分の入札額が最高値の場合
- 売却許可決定額が安すぎる場合
- 落札者が暴力団などに関係している場合
それぞれのケースについて、1つずつ確認していきましょう。
自分の入札額が最高値であれば自己競落できる
基本的に競売がオークション形式である以上、自分の入札額が最高値であれば、落札者として競売にかけられた不動産を自己競落できます。
厳密には、裁判所から売却許可決定を受ける必要もありますが、とくに問題がない限り許可されないケースは少ないため、大抵の場合はそのまま落札できます。
ただし、次の項目で紹介するように売却許可決定が認められないケースもあるため注意が必要です。
落札額が安すぎると自己競落できない
競売にかけられた共有不動産を最高値で落札しても、落札額が安すぎる場合は売却許可決定が認められずに自己競落できないケースもあります。
落札された不動産の落札額が安すぎると、それぞれの共有者が満足に利益を回収できない恐れがあるため、売却許可決定が認められないのです。
そのため、共有不動産の競売に参加する場合、最低でも市場価格の約60~80%を超える入札額で入札した方がよいでしょう。
競売に暴力団などに関係していると自己競落できない
競売にかけられた共有不動産を最高値で落札しても、競売に暴力団員などが関係していると売却許可決定が認められずに自己競落できません。
自治体の条例などでも暴力団排除が制定されているように、裁判所の競売でも暴力団などに関係している人物は入札が認められていません。
また入札者だけでなく、競売にかけられた不動産の所有者が暴力団員だったために売却許可決定が取り消された事例もあります。
そのため競売の入札時には、暴力団員などでない旨を記した陳述書も提出しましょう。
参照:「競売における売却許可決定が取り消された事例」(不動産適正取引推進機構)
競売での共有不動産の落札額は市場価格の約60~80%
通常の不動産売買と異なり、競売は不動産仲介業者を介さずに裁判所が売却するため、競売にかけられた不動産は落札者からするとリスクの高い案件になります。
例えば、競売で落札した不動産が次のようなトラブルを抱えているケースもあります。
- 不動産を落札したのに、前の住民が立ち退いてくれない
- 事前に不動産の内見ができない
- 欠陥住宅を落札しても修繕費などを売主へ請求できない
そのため、競売にかけられた不動産の落札額は市場価格の約60〜80%まで安くなってしまうケースが多いです。
共有物分割請求による共有不動産の競売を避ける方法
競売で自己競落を目指す人はどうして共有不動産を手に入れたいのでしょうか。
「共有不動産の競売を避けたい」と考える理由には、大きく分けて2パターンあります。
- 共有不動産を自分の所有物にしたい場合
- 共有不動産を高値で売却したい
1つ目は単純にその不動産を利用・所有しておきたいため、自己競落してでも絶対に手放したくないというパターンです。
もう1つは競売にかけられると売却価格が安くなってしまうため、自己競落によって単独所有にしてから高額売却しようと目論むパターンだと思います。
とはいえ、競売には手間や費用がかかる上、確実に落札できる保証もないので、自己競落が必ずしもベストな方法とは限りません。
また裁判所の判決で共有不動産の競売が命じられていても、申立て前であれば競売を避けることも可能です。
この項目ではそれぞれの理由ごとに、共有不動産の競売を避ける方法を2種類ずつ解説していきます。
共有不動産を自分の所有物にしたい場合
共有不動産が競売にかけられると、自己競落しない限りは不動産が第三者の手に渡ってしまうことになります。
しかし土地や建物に思い入れが深い場合、次のように「共有不動産を手放したくない」と思う人も多いでしょう。
- 「いまも共有不動産に住んでいるので、競売にかけられてしまうと困る・・・」
- 「思い出の詰まった実家なので、競売にかけて他人の手に渡したくない・・・」
共有不動産の高額売却が目的ではなく、不動産を自分の単独所有にすることを目指す場合は次の2つの方法があります。
- 他共有者と和解交渉をして持分をすべて買い取る
- 弁護士へ依頼して裁判における競売を避けてもらう
それぞれの方法を1つずつみていきましょう。
1.他共有者と和解交渉をして持分をすべて買い取る
1つ目は、他共有者と交渉をして持分をすべて買取する形で和解する方法です。
共有者の1人が他共有者の持分をすべて買い取ることで、共有不動産を単独名義へ変える方法で「全面的価格賠償」とも呼ばれます。
他共有者の持分を自分がすべて買い取れば、その不動産は自分の所有物になるため、住むことはもちろん貸すことも売ることも自由にできるようになります。
ただし、共有者のうち1人でも買取に応じない場合、共有不動産の持分をすべて取得して自分の単独名義不動産にすることはできません。
もしも他共有者が持分の買取に応じてくれない際は、次の項目で解説するように弁護士へ依頼して和解交渉をお願いするとよいでしょう。
2.弁護士へ依頼して裁判における競売を避けてもらう
2つ目は、弁護士へ依頼して他共有者や裁判所との交渉で競売を避けてもらう方法です。
弁護士へ依頼すれば、競売を避けるために以下のような業務をおこなってもらえます。
- 他共有者と競売以外の方法を目指して和解交渉してくれる
- 裁判に出廷して競売以外の方法を主張してくれる
弁護士が他共有者と交渉して、競売や裁判のデメリットをわかりやすく伝えることで全面的価格賠償などの方法で和解してもらえるケースも少なくありません。
また共有物分割請求の裁判が起きた場合や裁判所の判決に控訴する場合も、弁護士が裁判へ出廷することで、より確実に競売を避けることができるでしょう。
共有物分割請求にまつわるトラブルにかかる弁護士費用は、こちらの記事で解説しているので参考にしてください。
共有物分割請求の弁護士費用はどれくらい?算出方法と節約術を詳しく解説
共有不動産を高値で売却したい場合
共有不動産を自分の単独所有にする場合、他共有者から持分を買い取る形になるので、相応の費用を負担しなければなりません。
次のように、共有不動産の競売を避けたい理由として「共有不動産を高く売りたい」と考えている人も多いでしょう。
- 「共有不動産を競売にかけると高く売れないので、別の方法がよい・・・」
- 「共有不動産を高く売って、持分に応じた売却益を受け取りたい・・・」
共有不動産の単独所有が目的ではなく、あくまで高額売却を目指す場合、次の2つの方法もおすすめです。
- 他共有者と和解交渉をして不動産全体を「任意売却」する
- 買取業者へ自分の共有持分のみを「持分売却」する
それぞれの方法を順番に解説していきます。
1.他共有者と和解交渉をして不動産全体を「任意売却」する
1つ目は、他共有者と協力して共有不動産全体を売却してから売却益を分ける方法で「換価分割」とも呼ばれます。
先述したとおり、競売における共有不動産の落札額は市場価格の約60~80%まで安くなってしまうため、各共有者が得られる売却益もそれだけ少なくなってしまいます。
ですので、競売ではなく共有者全員が協力して共有不動産全体を売却する「任意売却」という方法を採ることで、不動産を相場相応の価格で高額売却できます。
ただし、共有不動産は共有者全員で共同所有しているため、誰か1人でも反対していると共有不動産を売却することができません。
次のように、競売のデメリットと任意売却のメリットをわかりやすく説明して、共有者全員へ売却に同意してもらうとよいでしょう。
- 「このまま競売になると、各共有者が手に入る利益も安くなってしまう」
- 「任意売却なら、競売にかけるより約1.5倍も高く売れる」
もしも他共有者の説得がむずかしい場合、不動産業者や弁護士を介して交渉すると納得してもらえるケースもあるため、無料相談を利用してアドバイスを受けるとよいでしょう。
2.買取業者へ自分の共有持分のみを「持分売却」する
2つ目は、共有持分の専門業者に自分の持分を買取してもらう方法です。
共有不動産は共有者全員の共有物なので、個人の一存では売却できませんが、あくまで共有持分は各共有者が単独所有しているため、それぞれが自由に売却できます。
つまり、他共有者が共有不動産の任意売却に反対していても、自分の共有持分だけであればいますぐ自由に売却できるのです。
ただし、共有持分は使い道が限られる上に需要が少ないため、一般の投資家はもちろん大手不動産会社などでも、安値で買い叩かれたり買取拒否されることも少なくありません。
共有持分を高く・早く売りたい場合、共有持分専門の買取業者に買取してもらうとよいでしょう。
共有持分専門の買取業者であれば、次のようなノウハウを熟知しているため、一般的に安くなりやすい共有持分でも、相場以上の価格で高額買取してもらえる可能性もあります。
- 豊富な資力を活かして、他共有者の持分もすべて高額買取する
- 提携している弁護士と協力して、他共有者を説得して持分を買い取る
とはいえ、共有持分専門的の買取業者の中でも「買取価格に特化した業者」や「買取スピードに特化した業者」など、それぞれ得意分野があることも事実です。
こちらの記事では共有持分専門の買取業者を目的別で紹介しているので、ぜひ自分にあった買取業者を探してみてください。
【共有持分の買取業者おすすめ28選!】共有名義不動産が高額買取業者の特徴と悪質業者の見極めポイント!
手間や費用などを考えると自己競落がベストな方法とは限らない
この記事では、共有物分割請求で競売が命じられた場合、共有不動産を自己競落する方法を解説しました。
もし共有物分割請求で競売が命じられても、競売において最高額で入札すれば、共有不動産を自己競落して自分の単独名義として所有できます。
しかし、競売に入札しても確実に共有不動産を落札できる訳ではなく、わざわざ手間や費用をかけて手続きしても無駄になってしまう恐れもあります。
「絶対に共有不動産を手放したくない」といった理由でない限り、必ずしも競売に手間や費用をかけてまで自己競落することが最善とは限りません。
弁護士へ協力を仰いで共有不動産の全体売却を目指したり、自分の共有持分だけを買取業者に買取してもらった方が結果的によいケースも多いです。
買取業者の多くは無料相談を実施しているので、実際に買取してもらうか迷っている人でも「競売にかけられそうな共有不動産をどう扱えばいいか?」を相談してみるとよいでしょう。
【共有持分の買取業者おすすめ28選!】共有名義不動産が高額買取業者の特徴と悪質業者の見極めポイント!共有物分割請求についてよくある質問
共有不動産の競売における制限事項に「共有者であること」は含まれていないため、共有者も問題なく競売に参加して落札することも可能です。
競売を管轄する地方裁判所から必要書類を取得して、保証金を入金したうえで、入札額などの必要事項を記入した必要書類を提出しましょう。
裁判所の判決で競売が命じられても、競売の申立てをおこなわない限り、実際に共有不動産が競売にかけられることはありません。競売の申立てを回避できれば、そのまま共有不動産を手放さずに済みます。
まずは競売を避けるために他共有者の持分をすべて買取する形での和解交渉、または弁護士へ依頼して競売を避けるために裁判へ出廷してもらいましょう。すでに競売が手続きが始まっている場合、最高値で落札して共有不動産を自己競落するしかありません。
他共有者を説得して不動産全体を任意売却したり、自分の共有持分のみを買取業者へ持分売却すれば、競売よりも高額で売れる可能性が高いです。弁護士と連携した買取業者なら、的確なアドバイスと高額買取が可能でしょう。→弁護士と連携した買取業者はこちら