家族に相続のことで面倒をかけたくないと、自分が死ぬ前に財産を処分する「生前整理」をおこなう人が増えてきました。
生前整理は他界後のトラブルを防ぐためだけでなく、自身の持ち物を整理して高齢者施設へ移動をしやすくする上、これからの生活を精神的・金銭的に安心して過ごせるというメリットもあります。
そして、相続問題で近年増えているのが共有持分を原因としたトラブルです。共有持分は管理・処分がむずかしく、共有者間の利害が対立しやすいためトラブルも起こりやすいのです。
財産のなかに共有持分が含まれているなら、生前整理でなるべく早く、権利関係を整理した方がよいでしょう。
共有持分の生前整理は、高額かつ最短数日での買取が可能な「共有持分専門の買取業者」に買取ってもらうのがおすすめです。まずは無料査定を利用して、売却に向けたアドバイスを聞いてみましょう。
>>【最短12時間で価格がわかる!】共有持分の買取査定窓口はこちら
- 共有持分は不動産の利用や処分に共有者全員の話し合いが必要で、利害関係が対立しやすい。
- 共有持分の市場価値は本来の価値から下がりやすい。売却するなら共有不動産専門の買取業者に依頼しよう。
- 共有持分の生前整理には売却の他に生前贈与や家族信託など、選択肢がいくつもある。
- 共有持分は早いうちに整理することがおすすめ。
共有持分は相続でトラブルになりやすい
共有持分とは、不動産を複数人の名義にしたとき、それぞれがどれくらいの所有権を持っているかを表す言葉です。
共有持分は相続の際によく発生します。登記簿上の権利を変えるだけなので、1つの不動産を複数の相続人でわけるとき、簡単で公平な方法に見えるからです。
しかし、じつは共有持分を原因としたトラブルは非常に多く、親族間で裁判になったり、不動産が放置されて荒れ果ててしまったりする事例は少なくありません。
実際にどんなトラブルが多いのか具体的な理由を見ていきましょう。
共有者間で不動産の利用・処分にもめてしまう
共有持分のもっとも大きな問題点は、不動産の利用や処分に共有者達の話し合いや同意が必要なところです。
行為の名前 | 必要な持分割合の同意 | 主な例 |
---|---|---|
保存行為 | 持分割合に関わらず単独で可能 | 不動産の修繕、不法入居者の明け渡し請求など |
管理行為 | 過半数(持分割合の1/2超) | 不動産の使用方法や使用者の決定、短期の賃貸借契約など |
変更(処分)行為 | 全員(全持分) | 不動産の売却、建て替え、抵当権設定、長期の賃貸借契約など |
共有者の間で「自分で住居用として使いたい人」や「売却して現金化したい人」など、不動産に対する考えが対立するのは珍しくありません。
また、不動産の管理コストや維持費もトラブルの原因です。メンテナスや各手続きに取られる時間、固定資産税や修繕費を共有者の間で押し付け合い、関係性が悪化するケースもあります。
不動産の立地や状況にもよりますが、共有持分は持っているだけで負担となる可能性が高いといえるでしょう。
相続を繰り返せば持分はさらに細分化される
共有持分の相続を繰り返し、共有者が増えていくというリスクもあります。
共有者のだれかが死亡したとき、相続人が複数いれば共有持分を分割してわけることになります。これを繰り返して共有者が10人、20人と増えてしまい、1人あたりの持分が1/50といったごくわずかな持分割合になるケースが現実にありえるのです。
また、細分化が進んだ結果、遠縁で会ったこともない人が共有者となって連絡先もわからない、というケースもあります。不動産を処分したいのに話し合いができず、1人で維持費を負担している人もいます。
これらのリスクを考えると、共有持分はなるべく早い段階で共有状態を解消した方がよいといえるでしょう。
共有持分の市場価値は本来の価値より下がってしまう
自分の共有持分のみであれば、他の共有者の同意がなくとも売却できます。
しかし、共有持分は一般的に市場価値が低くなる傾向にあります。共有持分だけ購入しても、他の共有者から同意をもらわなければ使用できないからです。
1,000万円の不動産に対して1/2の持分であれば、本来の価値は500万円です。しかし、実際に売り出そうと思ったらその半分以下になる可能性もあります。
売買市場での価値は低いのに対して、相続税や固定資産税の計算は本来の評価額が基準になります。不動産によりますが、共有持分は市場価値に対してコストが高い資産となるでしょう。
【共有持分の価格を知ろう】共有不動産の評価基準を徹底的に解説します!共有持分をなるべく高く売却するなら「共有不動産専門の買取業者」がおすすめ
共有持分の売却は、市場価値が低いことからわかるとおり需要も低いのが実情です。その売りにくさから、大手の不動産会社は取り扱いを断る場合もあります。
しかし、そんな共有持分を専門にしている買取業者もいます。共有持分の売却に必要なのは、複雑な権利関係を調整できる法律知識と、共有持分でも買いたいと思っている購入希望者との繋がりです。
共有持分を売却するときは、取り扱い実績の豊富な専門買取業者がおすすめです。一般の不動産会社に売却を任せるより、高額で買い取ってもらいやすくなります。
【共有持分の買取業者おすすめ28選!】共有名義不動産が高額買取業者の特徴と悪質業者の見極めポイント!共有者が認知症になると処分がむずかしくなる
共有者が認知症になったとき、不動産に関する話し合いができなくなるのも大きなリスクです。認知症でなくとも、事故や病気で寝たきりとなり、意思疎通ができなくなる可能性もあります。
本人に意志決定能力がないと財産を売却できず、成年後見人をつける必要があります。処分ができないわけではありませんが、裁判所への申し立てなどで手間がかかってしまうのは避けられません。
共有者が入院中に持分を売却する方法とは?マイホームの維持が困難なときの対処法も解説します!共有者ではなく、自分自身が認知症になってしまう可能性もあるでしょう。家族に迷惑をかけないためにも、共有持分などの財産を早めに整理しておくことは非常に大切といえます。
共有持分による相続トラブルを防ぐための生前整理の方法
共有持分によるトラブルを避けるためにも、生前整理は非常に有効です。相続する家族や親戚も、本人が決めたことであれば納得しやすいでしょう。
現金化した財産は老後の生活資金や新しい趣味・勉強の元手になります。自分が元気なうちに所有する財産を譲渡・処分するのは、老後の人生においてもプラスに働くといえるでしょう。
あとあとの心配をなくし、充実した老後生活をおくるためにも、生前整理はぜひとも検討したいところです。生前整理にあたって共有持分をどのように扱っていくか、具体的な方法を見ていきましょう。
共有持分もしくは共有不動産全体を売却する
共有持分だけでなく、共有している不動産全体を売却すれば、本来の価値を損ねずに現金化できます。
問題なのは共有者が売却に賛成するかですが、この記事で解説した共有持分によるトラブルの可能性を説明し、売却するメリットを伝えましょう。
自分で交渉するのが難しければ、弁護士などに代行してもらうことも可能です。
どうしても共有不動産全体の売却ができなければ、自分の共有持分のみを売却するのも検討しましょう。共有不動産専門の買取業者なら高額買取に加え、査定から数日で売却できる可能性もあります。
「リースバック」で売却した家に住み続けられる
共有不動産を住居として使っており、終の棲家として出ていきたくないと考えている人もいるでしょう。長く住み慣れたところを出ていくのに、ためらうのはごく自然なことです。
そのような場合、家を売却した後も住み続けられる「リースバック」という方法もあります。所有権自体は他の人に売却しますが、リース料を支払えば家を出ずに住み続けられます。
高齢の方など、家を残すより手元に現金を置きたいと考える人に人気の方法です。ただし、リースバックは不動産全体の所有権を売却しなければならないため、共有者との交渉は必須になります。
共有持分を子供に譲渡する
共有持分をゆくゆくは子供に相続させるなら、生前のうちから譲ることも検討してみましょう。
譲渡には「売買」と「贈与」の2種類があり、どちらも税金がかかります。売買でかかる「譲渡所得税」は売主である親が、贈与でかかる「贈与税」は贈与を受ける子供が納めるものです。
税金には各種控除や減税制度があり、譲渡するタイミングや不動産の状況次第で支払額は大きく変わります。税申告については、税理士に相談するとよいでしょう。
【共有持分の譲渡の仕方】やり方と方法別の税金制度についても解説!贈与税を先送りにできる「相続時精算課税制度」を活用しよう
子供に財産を贈与するとき、積極的に活用したいのが「相続時精算課税制度」です。
60歳以上となっている父母から20歳以上の子どもに贈与するとき、2,500万円以内までの贈与税を相続が発生するまで先延ばしにできます。2,500万円を超えた分は、一律20%の税率で贈与の起きた年に課税されます。
相続を待つより早い段階で子供に財産を讓れて、2,500万円を超える分の税率も通常の贈与より低くなるのが特徴です。ただし、通常の贈与にある「毎年110万円の基礎控除」は受けられないので注意しましょう。
共有物を分割して共有状態を解消する
共有物である不動産を分割するすれば、共有者同士の対立を防げます。分割方法は下記の3種類です。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、状況にあわせて分割方法を選びます。
分割の交渉自体を拒否する人もいますが、共有持分を持つ人はその割合に関わらず「共有物分割請求」ができます。この請求は拒否できず、すべての共有者は分割に向けて協議しなければいけません。
請求を無視されたり、協議で分割方法がまとまらないときは、共有物分割訴訟を起こすこともできます。
共有物分割請求とは?共有物の分割方法や訴訟の手順・費用を詳しく解説共有物分割の交渉が決裂したときは「共有物分割訴訟」を利用する
共有物分割訴訟は、裁判によって共有物の分割方法を決定する方法です。判決には共有者全員がしたがわなければいけません。
強制的に分割できますが、裁判官が各共有者や不動産の事情を総合的に判断するため、訴訟を起こした人の希望どおりになるとは限らない点に注意しましょう。
実際には、裁判に持ち込まれたときの手間を考えて訴訟前に協議でまとまるケースが多いようです。
共有持分を放棄する
通常、不動産は放棄できません。単独名義の不動産が放棄されると、その不動産を管理する人がいなくなるからです。
しかし、共有持分の場合は持分を放棄して、他の共有者に帰属させることができます。
持分を放棄すれば、面倒な管理や維持費の支払いから抜け出せます。売却がむずかしい、共有者と交渉できない状態のときなどに有効な方法でしょう。
ただし、放棄された持分は持分割合にそって他の共有者に帰属されるため、特定の人に讓ることはできません。
共有持分は放棄できる!放棄の手順や放棄後の登記も詳しく解説します同じ種類・価値の不動産と交換する
不動産の種類や価値が同じであれば、税金を支払わずに交換可能です。
不動産を交換すれば権利関係をシンプルにできて、処分・管理がしやすくなります。
注意として、交換する不動産の価値に20%超の差があると贈与税が発生する点と、交換で得た不動産は交換前と同じ用途でしか使えない点を覚えておきましょう。
「家族信託」で財産の運用・管理・処分を家族に託す
家族信託とは、財産の運用や管理、処分を家族や親戚に委託する方法です。所有者の利益を守りつつ、認知症などで意思能力をなくしたときに財産を処分できないという事態を防げます。
家族信託には3つの立場があります。
- 委託者・・・財産の所有者
- 受託者・・・財産の運用・管理・処分を実際におこなう人
- 受益者・・・財産の運用で利益を得る人
委託者の「財産をどうしたいか」という希望にそって、受託者が財産を運用します。
基本的には委託者=受益者ですが、契約の内容が「自分が死んだ後は子供のために財産を使ってほしい」というような場合、他の人が受益者となる場合もあります。
遺言で遺産の分割方法を指定しておく
遺言書で財産の分配を決めておくのは、相続トラブルを防ぐための基本的な方法です。
遺言書には書き方が決められており、内容に不備があると無効となります。また、相続人全員が遺言の内容を認めなかった場合も、遺言書の内容は無効となってしまいます。
公平な内容にしつつ遺言書が無効にならないよう、弁護士などのアドバイスをもらいながら作成しましょう。
共有持分を整理して相続トラブルを未然に防ごう
共有持分は1つの不動産に複数人の所有者がいる「特殊な状態」であり、なるべく早く解消した方がよいとされます。
共有状態を放置した結果、利害関係による対立や、処分できずに維持費だけ支払わなければならないような事態にもなりえます。
次の世代に問題を起こさないよう、自分の代で権利関係を整理した方がよいでしょう。そうすれば、心置きなく老後の生活を楽しめます。
共有持分の生前整理についてよくある質問
生前整理とは、生きている間に自分の財産などを処分・整理し、相続や遺品整理の手間をなくすことをいいます。遺族の負担をなくすだけでなく、自分の老後資金を調達するためや、生活環境を整えるためという目的もあります。
共有持分とは、複数人が共有する不動産において「各共有者がどれくらいの所有権をもっているか」を指すものです。「持分1/2」というように、割合で表記します。共有持分は権利関係が複雑になるため、生前整理で共有状態を解消しておくほうがよいでしょう。
売却などで共有状態を解消しておくのが一番スムーズで簡単な方法です。他には「家族信託」で財産の運用・管理・処分を家族に託す方法や、遺言書で遺産の分割方法を指定しておく方法があげられるでしょう。
共有持分の取り扱いに不慣れな大手不動産会社より、共有持分を専門としている買取業者のほうが高額で買い取ってもらえるでしょう。また、相続に関する悩みがあっても、弁護士と連携している専門買取業者なら適切なアドバイスやサポートが可能です。→弁護士と連携した買取業者はこちら
共有持分の売買価格は、本来の価値から半額程度になるのが一般的です。ただし、売却相手や物件ごとの条件によっては高額になる場合もあり、すべての状況で共通する相場価格が決まっているわけではありません。