【間違った登記はすぐ修正!】共有持分における更正登記の方法や用意する書類と費用などを解説します

共有持分 更正登記

この記事を見ている多くの方は、共有持分の登記について間違いを指摘されているのではないでしょうか?

不動産に関する手続きが一段落したと思ったら「登記が間違っているから訂正してください。このままだと税金が余計にかかりますよ」といわれ、不安な方も多いと思います。

共有持分の登記は、とくに所有権に関わる部分で間違いやすいです。しかし、間違いが起こっても「更正登記」をすればすぐに解決できます。

この記事ではそんな「更正登記」について、必要性から方法までをわかりやすくお伝えします。

この記事のポイント!
  • 更正登記とは「一部分だけ間違った登記を直す」こと。
  • 間違った登記を放置すると税金で損をする。
  • 更正登記以外にも訂正方法はある。
目次
  1. 共有持分の登記に間違いがあった場合になぜ「更正登記」が必要になるのか
  2. 共有持分の登記に間違いがあれば「更正登記」で正しく直そう
  3. 更正登記以外に登記内容をなおす方法も検討しよう
  4. 登記内容が間違っていても焦らず訂正すれば大丈夫

共有持分の登記に間違いがあった場合になぜ「更正登記」が必要になるのか

共有持分の登記を間違えてしまうと、なぜ更正登記が必要なのでしょうか。

事実と異なる持分割合を登記すると、その差分が「みなし贈与」と扱われ、贈与税が課税されてしまう恐れがあります。

しかし、更正登記で修正すれば、余計に課税された税金の支払義務をなくせます。

登記とは不動産の「権利関係」と「物理的状況」を社会に証明すること

そもそも登記とは「不動産に関する情報を登記簿に記載すること」です。登記簿に記載されると、その不動産の「物理的な状況」と「権利関係」が社会に証明されます。

登記の制度がなければ、1つの不動産に対して「この建物は自分のものだ」・「この土地の境界はここからここまで」といったことを、誰でも主張できてしまいます。

このようなことを防ぐために、国が不動産に関する権利や状況を登記簿にまとめ、一般に公開・保証することが登記制度の役割です。不動産の所有やあらゆる取引における、信用の根拠といえるでしょう。

不動産登記法第1条
この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安全と円滑に資することを目的とする。
引用:e-Govポータル「不動産登記法第1条」

不動産の権利関係とは「誰がどんな権利を持っているか」

不動産は、その不動産が誰のものかを示す「所有権」の他にも、多くの権利が設定できます。ローンの担保にする「抵当権」、土地をどのように使用するか決められる「地上権」などです。

これらの権利は「誰が、いつ、どのような権利を持っている」という情報がわかるよう、登記簿で管理されています。

共有持分の場合はその割合や所有者の遍歴まで記載され、共有者同士で持分を移動したときも登記申請が必要になります。

不動産の物理的状況とは面積や構造など「不動産そのものの情報」

不動産の物理的状況は、広さ、形状、構造から、その所在(不動産がある場所)などが登記簿に書かれます。

地目と呼ばれる土地の用途も記載され、宅地・畑・山林・墓地など、民法で規定された区分で土地の種類が分けられます。用途を変更したときにも、地目の変更登記をしなければなりません。

また、「地番」という土地ごとに設定された番号も書かれています。地域によっては住居表示の番地と同じところもありますが、基本的には別のものになります。不動産関係の手続きではこの地番が頻繁に使われるため、登記簿から確認できることを覚えておきましょう。

共有持分で起こりやすい「持分割合のミス」で更正登記が必要になる

共有持分で更正登記が必要になる原因として、「実態と違う共有持分の割合で登記してしまった」ということが挙げられます。

「夫婦で購入したから、とりあえず半分ずつの割合にしよう」というパターンや「登記後に遺言が見つかったので、遺産分割をやりなおさなければいけない」といったパターンです。

共有持分は共有者がそれぞれ持っている所有権の割合ですので、正確に登記しないと、第三者はおろか共有者間での争いにも発展しかねません。

共有持分は「不動産を取得するときの費用分担」で決まる

共有持分の割合は、その不動産を取得するときの出資した費用で決まります。例えば、1,000万円の不動産を購入したとき、2人で600万円と400万円ずつ出資したとすれば、持分割合はそれぞれ6/10と4/10です。

これは現金・住宅ローンといった、出資の形は問いません。不動産の取得費用に対して、全体でどれだけ負担したかが基準になります。

ただし、夫婦でローンを組む場合は注意が必要です。「1本のローンを2人で組む」「2人が別々に2本のローンを組む」「1本のローンを1人が名義人、もう1人が連帯保証人になる」というパターンがありますが、連帯保証人は不動産の共有者にならないので注意しましょう。

連帯保証人はあくまで「ローンの名義人が返済できないときに代わりに返済する人」であり、不動産取得の出資には関係がありません。

夫婦2人でローンを組む際の共有持分については、こちらの記事を参考にしてください。

住宅ローンの節税方法と共有持分の決め方を解説!返済中の負担低減方法も紹介

相続や譲渡で共有持分の割合は変わっていく

共有持分の特徴は、相続や譲渡によってその割合が変わっていくところです。

6/10の共有持分を持つ人が亡くなって、その人の相続人が子供3人だった場合、法定相続分に従って遺産分割すれば2/10ずつに分配されます。それを相続した子供が亡くなれば、同じように2/10の持分がさらに分割されていきます。

このように時間がたつと共有者が増えていき、権利関係が複雑化していくため、不動産の共有関係はなるべく早く解消するべきでしょう。

間違った登記を放置すると税金で損をする

共有持分の登記の間違いで起こる最大のデメリットは「税金関係の不利益」になります。

その最たるものが、贈与税が発生する点です。不動産の取得費をほとんど自分が負担したのに持分割合を均等にしまうと、払う必要のない贈与税を課されるケースがあるのです。

また、不動産はただでさえ高額な取引のため、かかる税金も非常に大きくなります。そのため法律によって各種控除も設けられているのですが、共有持分を正しく登記しないと出資額が実際より低く見られ、控除額が減ってしまう恐れがあります。

実際の出費額との差額が贈与扱いされる

夫婦で5,000万円の住宅を購入し、妻が頭金1,000万円を負担、夫が残り4,000万円のローンを組んだとします。費用の負担割合から判断すれば、夫婦の持分は妻1/5・夫4/5です。

しかし、これを「夫婦だから均等の持分割合にしよう」と考え「持分1/2(2,500万円分)ずつ」で登記申請した場合、妻は出資額より1,500万円分も多く持分を所有できてしまいます。

この差額1,500万円に対して「夫から妻へ贈与があった」と見なされ、贈与税が発生してしまうのです。おおまかな計算で、450万円を超える贈与税を支払わなければなりません。

共有持分を決めるときのルールを知らないばかりに、数百万円の余計な出費が発生してしまうのです。

参照:贈与税の計算と税率(暦年課税)(国税庁)

住宅ローン控除が減ってしまう

上記の例では、夫は逆に「4,000万円の負担をしているのに、税務上は2,500万円しか負担していない」と判断されます。これにより、住宅ローン控除を受けられる額が減ってしまいます。

住宅ローン控除とは、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、マイホームを取得するためのローン残高に応じて、税金を控除するという制度です。10~13年間の間、所得税の控除を受けられます。

控除額は毎年のローン残高の1%(最大40万円)ですが、共有名義の場合、ローン残高は「共有持分の取得に必要な額」を基準にして決められます。

最初の年だけで見ても、4,000万円の負担なら控除額40万円、2,500万円の負担なら控除額25万円となります。10~13年間積み重なれば、決して無視できない差額になるでしょう。

参照:住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)
参照:共有の家屋を連帯債務により取得した場合の借入金の額の計算(国税庁)

父母や祖父母からの「住宅取得の資金援助」で非課税特例の枠が小さくなる

父母や祖父母から住宅取得の資金援助のために贈与を受けた場合も、贈与税がかからない特例があります。

購入時期や住宅の種類によって上限は違いますが、数百万円~数千万円の贈与について非課税になります。

持分を低く登記すれば、この非課税の枠が小さくなってしまう恐れがあります。親に500万円の贈与を受けて住宅取得にあてたのに、持分を100万円分で登記したとすると、差額の400万円は贈与税の対象となってしまうのです。

参照:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(国税庁)

更正登記は「税申告の前」にしておこう

登記の持分が違うことによるデメリットを解説しましたが、これらはすべて、税申告の前に更正登記で訂正すれば解決できます。

贈与税は毎年の2月~3月中旬までが期限になるので、それまでに更正登記で正確な持分割合に訂正できれば大丈夫です。

大前提として、「共有持分は負担した金額の割合に応じて登記」するということは必ず覚えておきましょう。

共有持分の登記に間違いがあれば「更正登記」で正しく直そう

登記申請したときに間違いがあって、そのまま登記されたものを部分的に訂正することを「更正登記」といいます。

登記の間違いを放置していると、トラブルが起こったときに自分の権利を主張できず、払う必要のない税金を課されてしまうなど、一切メリットがありません。

登記の間違いを指摘された方はもちろんのこと、そうでない方も、改めて自分の共有持分が正しく登記されているか確認するとよいでしょう。更正登記は不動産の前所有者に協力をお願いすることもあるため、時間がたつほど面倒になっていきます。

更正登記の方法と具体的な流れ

自分が所有する不動産であれば、専門家に依頼しなくても更正登記を申請可能です。

必要な書類を準備・作成し、法務局に提出して審査に問題なければ登記されます。

しかし、実際は司法書士に依頼したほうが確実ですし、作成にかかる手間も省けるでしょう。前所有者との協力が必要だったりすると、連絡をつけるのにも一苦労です。

もし自分で申請するのであれば、法務局の窓口でアドバイスをもらいながら書類を作成しましょう。

【STEP1】ローンを組んでいる金融機関に相談をする

不動産を担保にしている場合、ローンを組んだ金融機関へ事前に相談してください。

不動産全体に抵当権を設定している(担保にしている)場合、所有者の1人が入れ替わったり抜けたりすると、登記申請に金融機関の承諾が必要になります。

所有者は変わらず持分割合だけを変える場合でも、共有持分ごとに別々のローンを組んでいる場合は金融機関の承諾が必要です。この場合は担保も共有持分ごとに設定されていて、持分割合の変動での担保の価値が変わるためです。

上記の例は必ず金融機関の承諾が必要ですが、これにあてはまらないときもローン契約のときに「担保不動産に変更を加えるときは通知すること」と特約をつけている場合があります。無断で更正登記をすると、ローンの一括返済を求められる恐れもあるため注意しましょう。

【STEP2】各書類の準備

書類には、法務局でもらって書くもの、同じく法務局で交付してもらうもの、自分たちで用意するものがあります。

法務局でもらって書くものは、登記の申請書です。これは登記目的や原因によって種類が違います。法務局のホームページでダウンロードもできますが、いくつも種類があるので法務局か司法書士にどれを使うか確認しましょう。

参照:不動産登記の申請書様式について(法務局)

法務局で交付してもらうものが登記事項証明書で、これは登記簿謄本ともいわれます。こちらもいくつか種類があり、すべての項目が記載されている「全部事項証明書」を交付してもらいましょう。交付してもらう場所は、全国どこの法務局でも受付可能です。

【STEP3】法務局に行って申請する

その後、各種書類を用意して法務局に提出・申請します。登記申請は不動産所在地を管轄する法務局へ行く必要があり、どこでも対応してもらえるわけではありません。

各地域に法務局もしくは地方法務局があり「高等裁判所及び高等検察庁の管轄地域」もしくは「地方裁判所及び地方検察庁の所在地」に設置されています。

そこからさらに支局・出張所もわかれています。法務局のホームページなどで、どこが自分の不動産の所在地を管轄しているか調べましょう。

参照:管轄のご案内(法務局)

「更正登記に必要な条件」を確認しよう

更正登記では、どんな登記でも自由に訂正できるわけではありません。それが認められると、いくらでも都合のいい理由で内容を変えられるので、登記制度の信頼性が薄れてしまいます。

更正登記はあくまで「一部の訂正」をするための手続きです。

更正登記を申請できる条件について見ていきましょう。

更正登記ができるのは「更正の前後で登記に同一性があるとき」のみ

共有持分の更正登記の場合、多くの場合は所有権に関する訂正になります。実務では「所有権更正登記」とも言われます。

この所有権の内容が、更正登記の前後でまったく違うものになるときは申請ができません。

簡単にいうと、「訂正前の所有者が訂正後にも残っていれば更正登記で修正できる」と覚えておきましょう。

  • 「Aの単独名義」を「A・Bの共有名義」にしたり「A・Bの共有名義」を「Aの単独名義」や「A・Cの共有名義」にする場合は、訂正の前後でAという所有者は共通しているので、同一性があります。
  • 「Aの単独名義」を「B・Cの共有名義」にしたり「A・Bの共有名義」を「Cの単独名義」や「C・Dの共有名義」にする場合は、訂正前の所有者が訂正後にはすべて消えてしまうため、同一性はありません。

「前所有者」の協力が必要になる可能性がある

更正登記で所有者が一部でも変わるときは、前所有者の協力が必要になります。

これは「前所有者が誰に所有権を譲渡したか」という点に違いが出るためです。

これとは逆に、所有者を変えずに持分割合だけを変えるときは前所有者の協力は必要ありません。持分割合はあくまで「現所有者の間での取り決め」なので、前所有者には関係がないためです。

共有持分の更正登記に必要な書類・費用・期間を確認しよう

この項目では、更正登記に必要なものと、かかる期間を解説します。

基本的な書類は用意にそれほど時間はかからないでしょう。ただし、個々の事例によっては追加で必要になるものがあるので、準備や書類作成の段階から、司法書士に依頼することをおすすめします。

必要な書類は共有持分が「増える人」と「減る人」で違う

共有持分更正登記における必要書類は、共通で用意しなければいけないものと、持分が増える人と減る人で変わるものがあります。

    【共通で必要な書類】

  • 所有権移転登記書類
  • 全部事項証明書(登記事項証明書のうち、すべての事項が記載されたもの。登記簿謄本ともいわれる)
  • 登記原因証明情報(売買契約書や遺産分割協議書など、登記の原因を証明するもの)
    【共有持分が「増える人」の必要書類】

  • 住民票
  • 認印
  • 本人確認資料
    【共有持分が「減る人」の必要書類】

  • 登記識別情報(登記した申請人に通知されるもの)
  • 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 実印
  • 本人確認資料

上記のほか、前所有者の協力が必要な場合、その人の印鑑証明書や登記識別情報、金融機関の承諾が必要なときはその承諾書も合わせて提出しなければいけません。

更正登記の費用は「法務局に収める実費」と「司法書士への報酬」

登記申請するために法務局へ納める登録免許税は、不動産1件につき1,000円になります。ただし、土地と建物は別個に支払う必要があるので注意しましょう。

また、全部事項証明書(登記簿謄本)を発行してもらうためにも手数料がかかります。受取り方法によって手数料が違い、法務局やその出張所の窓口で請求し受取ると600円ですが、オンライン請求で郵送受取りは500円、窓口受取りは480円となります。

参照:登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です(法務局)

自分で登記を更正すれば、費用はこれだけで済みます。しかし、実際には司法書士に書類の作成や手続きを依頼したほうがスムーズに終わるでしょう。間違って申請したために訂正するのに、更正登記でまた間違いがあれば元も子もありません。

司法書士への依頼費用はケースによりますが、30,000円~とする事務所が多いようです。

更正登記にかかる期間は1週間以上

法務局の混雑状況によりますが、おおむね1~2週間で更正登記が反映されます。

贈与税の申告時期である2~3月は、税務署に登記の間違いを指摘されて訂正に駆け込む人も多いので、早めに更正登記をおこないましょう。

更正登記以外に登記内容をなおす方法も検討しよう

更正登記にはいくつかの条件が必要であると解説しました。しかし、これらの条件をクリアできない方もいると思います。

更正登記以外にも、登記の訂正方法はいくつかあるため、状況によっては更正登記以外の方法の方が手間や費用がかからないケースもあります。

下記の中から、自分の状況に合った登記の訂正を選びましょう。

すぐに直せる間違いは登記申請直後であれば「登記の補正」で訂正できる

登記申請は法務局で内容を審査し、問題がなければ登記官が登記簿に記入します。

印鑑の押し忘れや記載時の漏れ・誤字など、「即日に訂正可能」である軽微な間違いであれば、申請から登記簿に記入される間に訂正可能です。

特別な手続きや追加の料金もかかりません。審査の段階で登記官が間違いを見つければ、法務局から補正するように指摘されるでしょう。

「真正なる名義人の回復」で前所有者の協力がなくとも登記を修正できる

更正登記は「過去の登記を一部抹消、訂正する」という方法です。前所有者から現在の所有者への移転登記をしなおすために、前所有者の協力が必要となります。

しかし、前所有者が行方不明だったりすると更正登記ができない場合もあります。このような場合に使えるのが「真正な登記名義の回復」という方法です。

「真正な登記名義の回復」では、過去の登記を一部抹消・訂正せずに「現在の間違った所有者」から「本来の正しい所有者」へ所有権移転をします。

本来ならあるべきではない間違った登記が残りますが、現在の権利の実態を回復することで実務上の不利益をなくす目的で使われることも少なくありません。。

登記全体が間違っていた場合は「所有権抹消登記」が必要になる

訂正の前後で登記に同一性がないときは、登記された内容をすべて削除して、改めて正しい内容で登記し直します。

実務では「所有権抹消登記」と呼ばれ、所有権の移転そのものをなかったことにします。あらためて所有権移転登記をするので、「所有権移転のための登録免許税(売買の場合は取引価格の2%)」をもう1度支払うことになります。

また、抵当権の設定も1度抹消する必要があります。そのため、金融機関からの承諾が得られるかも重要です。

登記内容が間違っていても焦らず訂正すれば大丈夫

「登記が間違っている」と言われたら、だれでも不安になるものです。

しかし、間違いは誰にでもありますし、すぐに修正すれば損失はなく、罰せられることはありません。

間違いを繰り返さないためにも、登記の専門家である司法書士を頼るとよいでしょう。

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