病気にかかったときに共有不動産を処分する方法|処分に必要な共有不動産の基礎知識も解説します!

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病気にかかったことをきっかけに、共有不動産の処分を考えはじめる人がいます。

しかし、いざ共有不動産を処分しようと思っても「どんな処分方法があるのだろう?」「売却するとして具体的になにをすればいい?」と、悩みや疑問を抱える人も多いと思います。

共有不動産の処分は、他の共有者との利害関係も絡むため、トラブルになりやすいのが実情です。

この記事では、共有不動産の処分について、売却やそれ以外の方法を詳しく解説していきます。

病気を機に共有不動産を処分したい人にとって、押さえておきたい基礎知識を紹介しています。この記事を読めば適切な処分方法を選べるようになるので、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント!
  • 「入院・介護で転居するため」や「生前整理として」など、病気をきっかけに不動産の処分をする人は多い。
  • 病気になったとき共有不動産を処分するには、不動産全体の売却や共有持分の売却の他、生前贈与や遺言書の作成といった方法がある。
  • 共有不動産全体を処分しようと思ったら、他の共有者と話し合いが必要。
目次
  1. 病気がきっかけで不動産の処分を検討する人が多い理由
  2. 病気になったとき共有不動産を処分する具体的な方法とは?
  3. 共有不動産を処分するときは他の共有者と合意しなければならない
  4. 病気になったとき共有不動産全体を売却するための準備
  5. 病気にかかってもなるべく慌てず処分しよう

病気がきっかけで不動産の処分を検討する人が多い理由

一般的に、終の棲家として不動産を購入した人や、子供に家を遺してあげたいと考えている人も多いと思います。

また、心情的にも一度購入した不動産はなかなか処分しにくいものです。

しかし、病気によって家が不要になるケースや、不動産を相続しても活用できないケースが近年は増えています。

また、自分が亡くなった後に家族の迷惑とならないよう、生前整理をするのも一般的になってきました。

次の項目から、病気をきっかけに不動産を売却する人たちが、具体的にどのような理由を決め手にしているのかを紹介していきます。

ご自身の不動産を処分すべきかどうかの検討材料として、参考にしてみてください。

入院や介護のための転居で家が不要&お金が必要になる

病気を治療するための入院や、介護施設への入居により、自分の家が不要になるケースがあります。

また、治療費や介護費としてまとまった資金が必要になり、不動産を売却するケースも多いようです。

不動産をもっていても、実際に住まないのであれば宝の持ち腐れといえます。

人に貸していて賃料が入るのなら話は別ですが、入院や介護施設への転居によって家に戻る予定がないのであれば、不動産は基本的に処分してもよいでしょう。

また、入院や介護が必要な状態では、不動産の管理も大きな負担となります。治療・介護を受ける本人はもちろん、家族や親戚など周囲の人たちにも面倒をかけるかもしれません。

少しでも早く処分して、管理負担をなくすことも大切だといえます。

相続しても「住まずに売却」となる場合が多い

不動産を購入したとき、子供への相続を見据えている人も多いでしょう。

しかし、現代の生活スタイルでは、親と子が離れた場所に住むのが当たり前です。

不動産を子供に遺しておこうと考えていても、実際に相続となると、だれも住まずに売却することが珍しくないのです。

また、建物の老朽化などで、不動産の管理が子供にとって負担になる恐れもあります。

これらのことから、不動産を今後どうするか、病気をきっかけに親子で話し合うケースが多いようです。

「家族に迷惑をかけないように」と生前整理をする人が増えている

相続トラブルをなくすためや、老後の生活資金を得るために、財産の生前整理をするのも一般的になってきました。

認知症になってしまうと、不動産の処分は非常にむずかしくなります。

「自分が死んだあと家族に迷惑をかけないように」と、不動産を処分する人は少なくありません。

また、老後のライフスタイルを充実させるために、住み替えやリースバック※で不動産を売却するケースもあります。

※リースバック・・・不動産を売却したうえで、その不動産にリース料を支払って住み続ける契約

病気をきっかけに自分の人生を見つめ直し、相続で起こりうるトラブルを防ぎながら資産の活用方法を考える人が増えています。

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現役世代でも病気によって住宅ローンを支払えなくなるケースがある

現役世代であっても、病気にかかって仕事ができなくなり、住宅ローンを支払えなくなるケースがあります。

治療費にお金がかかるうえ、収入が落ちれば普段の生活費も苦しくなります。住宅ローンを支払う余裕がなくなり、やむを得ずマイホームを処分する人が多いのです。

ただし、住宅ローンで団信(団体信用生命保険)に加入していた場合、病気の程度によっては残債がなくなるかもしれません。

団信とは、住宅ローン契約者が死亡、もしくは高度障害状態になったとき、保険金で残りの住宅ローンをすべて返済してもらえる制度です。

高度障害の例としては、次のような状態があげられます。

  • 両眼の視力を失った状態
  • 言語機能や咀嚼機能を失った状態
  • 脳や脊椎・臓器の障害などで、常に介護が必要な状態
  • 手足2本以上が切断や麻痺で動かせない状態

上記以外にも、特約でがん・急性心筋梗塞・脳卒中といった疾病で保険金がおりる団信もあります。

団信の加入状態や補償範囲については、保険会社やローンを組んだ金融機関に確認してみましょう。

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病気になったとき共有不動産を処分する具体的な方法とは?

病気をきっかけに、いざ共有不動産を処分しようと思っても、具体的にどんな処分方法があるかわからないという方は多いでしょう。

処分と聞いてまず思いつくのは「不動産の売却」だと思います。共有不動産の場合、不動産全体を売却する方法と、共有者それぞれの所有権である「共有持分」を売却する方法があります。

また、売却以外にも、不動産の贈与や遺言書で相続配分を明確にしておくのも、広い意味では処分方法といえるでしょう。

共有不動産の処分について、それぞれの方法を具体的に解説していきます。

共有不動産全体を売却する

一番イメージしやすい処分方法は、共有不動産全体を売却することでしょう。

共有不動産全体を売り出せば、単独名義の不動産と同じ手順・相場で売却できます。

ただし、共有不動産全体を売却するときは、共有者全員の同意が必要です。

病気で売却を検討しているのであれば、共有者同士の話し合いが体力的に負担となる可能性もあるでしょう。

また、住宅ローンが残っている場合、売却価格がローンの残債を下回っていると、通常の方法では売却できません。

住宅ローンが残っている場合は、金融機関の抵当権を外してもらうために「任意売却」という手続きを取らなければなりません。

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自分の共有持分のみを売却する

共有不動産の場合、各共有者は共有持分をもっています。

共有持分とは、所有権をそれぞれ何割もっているか表す言葉です。

基本的に、不動産取得のために出資した費用割合で決まります。不動産購入時に費用を半分負担したのならば、共有持分も1/2もっていることになります。

共有持分は自分の意思のみで売却が可能です。そのため、共有不動産全体の売却がむずかしいときは、自分の共有持分のみを売却するという選択肢が取られます。

また、売却の理由が病気の場合、少しでも早く売却したい場合もあるでしょう。

共有持分のみなら自分の意志ですぐに売り出せるので、なるべく早く処分したい場合は有効な方法といえるでしょう。

共有持分専門の買取業者なら高額&スピード買取が可能なのでおすすめ

共有持分のみを売却するときの問題点として、需要の低さがあげられます。

共有持分だけ取得しても、共有不動産全体を使用・処分するには他の共有者と話し合いをしなければいけないません。そのため、一般的な投資家や不動産業者は共有持分を取り扱わないのです。

しかし、共有持分専門の買取業者であれば、共有持分の収益化に必要な専門知識が豊富なため、高額で買取りをしてくれる可能性があります。

また、個人ではなく企業が買取るため、最短数日で現金化が可能なのも一般的な不動産取引と違う点です。

売却にかかる手続きも簡単なので、病気で売却活動が思うようにできない場合でも一度相談してみるとよいでしょう。

当サイトでもおすすめの買取業者をピックアップしているので、ぜひ参考にしてください。

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自分の共有持分を生前贈与する

共有持分は、贈与も自分の意思のみで可能です。そのため、子供などに生前贈与することで処分するケースもあります。

生前贈与をする目的としては、相続税対策が多いでしょう。贈与にも税金はかかりますが、年間110万円の基礎控除があるため、数年間に贈与をわければ節税効果があります。

また、親子間の贈与は「相続時精算課税制度」という、贈与による課税を相続発生まで先延ばしにする制度もあります。

各種制度を活用すれば、ただ相続するよりもお得に、共有持分を子供へ引き継げるでしょう。

家 譲渡 【共有持分の譲渡の仕方】やり方と方法別の税金制度についても解説!

遺言書を作成して遺産配分を明確にしておく

いますぐ処分するのではなくとも、遺言書で不動産を含む遺産の分割に道筋をつけておくのもよいでしょう。

病気になったからといって余命が少ないとは限りませんが、症状がいつ悪化するかはだれにもわかりません。病気の種類や年齢によっては、合併症の危険もあります。

遺言書を作成しておけば「自分の死後にどうなるか」という不安がなくなり、家族としても安心して生活できます。

生前整理の一環として、早いうちに遺言書を作成するのも検討してみましょう。

共有不動産を処分するときは他の共有者と合意しなければならない

共有不動産は複数人の共有者がいる状態です。そのため、共有者同士で利害関係が対立して、トラブルになりやすい状態といえます。

共有者は全員が不動産に対する権利をもっているがゆえに、不動産全体を処分するには、共有者全員の同意がそろわなければなりません。

共有不動産の処分について共有者間でトラブルになったときは、共有物分割請求を使って共有状態を解消しましょう。

共有持分の割合と共有不動産に対する行為の関係

共有不動産は、共有持分の割合によってできることが変わります。

持分割合ごとに、3つの行為にわけられます。

共有持分の割合と不動産に対する行為
処分・変更行為 共有者全員の同意が必要
利用・改良行為 「持分割合」の過半数が必要
保存・使用行為 各共有者が単独で可能

共有不動産全体を売却する場合は処分・変更行為にあたるため、共有者全員の同意を得るために話し合いが必要になります。

処分・変更行為は共有者全員の同意が必要

共有者全員の同意が必要な処分・変更行為には、代表的な例として次のものがあげられます。

  • 不動産全体の売却や贈与
  • 土地の造成(田畑を宅地にするなど)
  • 建物の建築・建替え・大規模改修
  • 5年超の賃貸借契約
  • 抵当権の設定

基本的には、一度おこなえばもとの状態に戻せないような行為があてはまると考えましょう。

利用・改良行為は「持分割合」の過半数が必要

利用・改良行為は持分割合の過半数が必要です。行為の代表例としては次のものがあります。

  • 使用方法の決定(共有者のうち実際にだれが住むのかなど)
  • 5年以下の賃貸借契約
  • 賃貸借契約の解除
  • 賃貸物件として貸し出すためのリフォーム
  • 賃料の変更

人数ではなく共有持分の割合が基準なので、だれか1人が1/2超の共有持分をもっていたら、その人が単独でおこなえます。

保存・使用行為は各共有者が単独で可能

共有持分が少しでもあれば、保存・使用行為が可能です。主な具体例は次のようになります。

  • 不動産を維持するための修理や修繕
  • 妨害排除請求(不法占拠者への明渡し請求など)
  • 法定相続による所有権移転登記

現状から物理的な変化がないものや、他の共有者にとって不利益とならないような行為があてはまります。

共有不動産の処分について揉めたときは「共有物分割請求」を利用しよう

共有不動産全体を処分したいと考えているとき、他の共有者がそれを拒否するのであれば、共有物分割請求という制度を使いましょう。

共有物分割請求とは、共有状態の解消を他の共有者に対して求めるもので、共有者全員がいつでも請求可能です。

共有状態の解消方法としては、不動産そのものをわける現物分割や、共有者間で共有持分と金銭を交換する代償分割、共有不動産を売却して金銭でわける換価分割があります。

3つのステップがあり、共有者間での協議や調停員を挟んでの調停で解決できなければ、裁判による判決で強制的に共有状態を解消します。

ただし、実際には裁判の前までに和解できるのが一般的です。

手続きには法律知識も必要なので、請求をするときは弁護士に相談してみるとよいでしょう。

共有物分割請求とは?共有物の分割方法や訴訟の手順・費用を詳しく解説

病気になったとき共有不動産全体を売却するための準備

実際に共有不動産を売却するとなったとき、具体的になにをすればよいかわからないという方も多いでしょう。

共有者全員が売却に同意していれば、売買の手続き自体は一般的な不動産売却と変わりありません。

しかし、売却価格の決定で共有者同士の話し合いが必要など、共有不動産特有の問題点があります。

また、病気で売却に関わる意思決定がむずかしい共有者は、成年後見人や代理人の選任が必要です。

共有名義不動産を売却するために必要な準備を、具体的に紹介していきます。

共有不動産全体を売るなら他の共有者と話し合おう

共有不動産の場合「売却する」という決定以外にも、他の共有者と話し合っておくべきことが数多くあります。

どのくらいの価格で売り出すのか、不動産業者はどこに依頼するのか、しっかりと決めておかなかれば、のちにトラブルとなるかもしれません。

売却活動中に「やっぱり売りたくない」といいだす共有者がいれば、購入希望者にも迷惑をかけてしまうでしょう。

共有不動産の売却をスムーズに終えるためには、共有者間での事前の打ち合わせが非常に重要です。

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最低売却価格をあらかじめ決めておこう

売却活動をはじめる前に、共有者の間で最低売却価格を決めておきましょう。

不動産の売却は、購入希望者から値段交渉をされるのが一般的です。基本的には、最初に設定した売出し価格より安く売れると思った方がよいでしょう。

「もっと高く売れると思っていた」と、売買成立の直前で不満をいいだす共有者がいるかもしれません。

そのため、事前に「この価格以上なら売却する」と決めておき、売却価格に不満が出ないようにしておくとよいでしょう。

共有不動産の価格評価については、関連記事も参考にしてください。

不動産 評価 グラフとリスト 【共有持分の価格を知ろう】共有不動産の評価基準を徹底的に解説します!

売却費用の負担割合を決めておこう

売却にかかる費用についても、負担割合をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

通常、費用負担も持分割合に応じて分担するのが原則です。

しかし、もしも共有者のなかに費用負担について考えていない人がいたら、後々トラブルになる可能性があります。

分担する費用負担の内容としては、次のようなものがあげられます。

  • 不動産業者の仲介手数料
  • 印紙税
  • 登記費用
  • その他、解体費や測量費など

窓口係を決めておこう

売却活動に関する連絡を取りまとめる、窓口係を決めおきましょう。

不動産の売却には、不動産業者や購入希望者から多くの連絡がきます。

しかし、共有者が別々に連絡を受け取るのは手間がかかるうえに、情報が行き違いになってしまう恐れもあります。

スムーズな売却活動をするために、代表者を決めておくのがおすすめです。

病気で売却活動ができない共有者は代理人を選任しよう

共有不動産の売却は、契約の締結や不動産の引き渡しの際も、共有者全員がそろっていなければいけません。

しかし、病気で入院しているなど、立ち会いが不可能な状況もあると思います。

そんなときは、代理人を選任して、売却活動に関わる手続きを代行してもらいましょう。

代理人は他の共有者のだれかや、他の家族・親戚でもかまいません。

一般的には、弁護士など法律の専門家に依頼するケースが多いようです。

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意思疎通ができない共有者がいるときは成年後見制度を活用しよう

認知症や高度障害などで、意思決定能力がなくなってしまった共有者がいる場合もあるでしょう。

病気で意思疎通のむずかしい共有者がいる場合は、成年後見制度を使いましょう。

成年後見制度とは、意思決定能力が低下した人の判断を補佐し、財産を管理する制度です。

家族や四親等以内の親戚などが家庭裁判所へ申し立て、後見人を選任してもらいます。

実際に申し立てる際は、弁護士など法律の専門家へ、手続きの相談をするようにしましょう。

共有不動産の売却で必要な書類

共有不動産を売却するときに必要な書類は、次のとおりです。

  • 登記済権利証もしくは登記識別情報
  • 地積測量図
  • 共有者全員の身分証明書・実印・印鑑証明書・住民票
  • 売却手続きの委任状(必要に応じて)

登記済権利証もしくは登記識別情報とは、不動産取得時に交付されます。

登記済権利証や登記識別情報を万が一紛失していた場合は、司法書士に依頼して本人確認情報の手続きをする必要があります。

地積測量図は、土地の境界を示す書類です。法務局に申請すれば取得できます。

ただし、土地によっては作られていないところもあり、その場合はあらためて測量するか、登記簿上の面積(公簿面積)の数値で取引することになります。

基本的には、測量は売却の前にしっかりとおこなったほうがよいでしょう。買主や近隣の土地所有者と、土地の境界でトラブルになるのを防げます。

病気にかかってもなるべく慌てず処分しよう

病気を機に共有不動産を処分したいと考えたとき、状況によっては「早く処分したい」と焦ってしまう人もいるでしょう。

しかし、不動産は焦って処分してしまうと、かえって後悔する結果になりかねません。

例えば、共有不動産全体の売却なら、急いで売ろうとしても他の共有者と意思統一がうまくいかず、トラブルになる可能性があります。また、不動産は早く売ろうと思ったら売出し価格を低くする必要もなります。

病気の具合や処分方法にもよりますが、可能な限りじっくりと考えながら処分しましょう。

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